韓国側のデータが無ければ判断できないというのなら、日本側は何を根拠に火器管制レーダーを照射されたと主張しているのかな?

この件。

官房長官「日韓双方のデータ提示が不可欠」 レーダー照射問題

1/15(火) 17:54配信 産経新聞
 菅義偉官房長官は15日の記者会見で、韓国海軍の駆逐艦海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射した問題をめぐり、韓国国防省がレーダーのシステム情報に関する日本側の要求を「非常に無礼だ」と批判したことについて「客観的、中立的な事実確認を進める上で双方が必要なデータを示すことは不可欠だ」との認識を示した。
 日韓防衛当局は14日、2回目の実務者協議をシンガポールで開催した。日本側は情報などの交換を提起したが、「韓国の同意は得られなかった」(菅氏)という。菅氏は「主要な論点を議論したが、認識の隔たりを解消するには至らなかった」とも話した。
 海上自衛隊トップの村川豊海上幕僚長も記者会見で「日韓が把握する事実を突き合わせて何が真実か、どう解決していくかを話し合う必要がある」と述べ、日韓が事実関係を明らかにすべきだとの考えを示した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190115-00000580-san-pol

韓国駆逐艦から火器管制レーダーを照射されたと訴えているのは他ならぬ日本側です。
つまり、日本側は韓国側から新たに情報を得なくても、間違いなく韓国駆逐艦の火器管制レーダー(STIR-180)であるという証拠を持っている、ということで無ければなりません。
韓国側から情報を提示してもらわなければ事実関係を確認できないのであれば、日本側の今までの主張は何だったんだ、ということになります。
どうにもおかしな主張ですね。

「「過去に収集した当該駆逐艦のデータと、今回のレーダーの周波数特性が合致している」というのが日本側の主張」*1と言っている記事もありますが、そうなると“日本は広開土大王艦のSTIR-180の周波数特性をいつどこで収集したのか”という疑問が出てきます。韓国艦からFCRの照射を受けたのは今回が初めてのはずですしね。合同演習中に盗み取りでもしたなら別ですが。そもそも日本側が確かに広開土大王艦のSTIR-180だと断定できるだけのデータを持っているのなら、韓国側にデータ提供を求める必要性そのものがありません。

そうして考えると日本側の狙いは、広開土大王艦のSTIR-180の周波数特性の情報を哨戒機を使った収集ではなく、交渉テーブルで収集することのようにも取れます。

といっても発狂した日本側には理解しにくいでしょうから、逆の立場で考えてみましょう。

(仮定)
ある日、韓国軍哨戒機が日本のイージス艦周辺を飛び回り、その翌日、日本のイージス艦からFCRを照射されたと主張したとします。もちろん日本側はそれを否定しますが、韓国側は証拠があると主張します。
当然、日本側は証拠があるなら提示せよと求めます。
すると韓国側は、「データを出すなら相互主義だろう。お互いがデータを出し合い、照合して白黒つけよう」*2と言い出し、交換条件としてイージス艦のFCRデータの提示を日本側に求めます。

上記のような事態になった場合、日本はイージス艦のFCRの周波数特性のデータを韓国側に提供しますかね?
多分、絶対そんなことしないと思いますけどね。

何故なら、もし日本側がデータを提供して、その結果、疑惑が晴れたとしても、日本側のイージス艦FCRの周波数特性は韓国側に提供されてしまったという事実は変えられないわけで、一方的に日本が損するからです。

日韓立場が逆なら絶対応じないことを韓国に対してはやって当然のような態度を示すのは、そりゃ「無礼」でしょうね。



まあ、日本の方から売った喧嘩を買ってくれたということであろう

この件。

韓国、新しい国防白書から「韓日が基本価値を共有」文言削除

1/15(火) 14:08配信 中央日報日本語版
韓国国防部が15日に刊行した「2018国防白書」の中の周辺国との国防交流協力に関する部分で、韓中協力が韓日協力よりも先に記述され、韓日間の「基本価値を共有」という記述も削除されていたことが分かった。
今回の国防白書では「わが軍は韓半島朝鮮半島)と北東アジア地域の平和と安定のために韓米同盟を基盤に、中国、日本、ロシアと国防協力関係を発展させている」と記述した。前回の2016年版では韓日国防交流協力を先に記述して韓中、韓露はその後に紹介していた。
また「第3節 国防交流協力」の中の「韓日国防交流協力」の部分で「韓日両国は地理的、文化的に近い隣国であり、世界平和と繁栄のために共に協力していかなければならないパートナー」と表現した。2016版では韓日関係について「韓日両国は自由民主主義と市場経済の基本価値を共有しており、北東アジア地域はもちろん、世界の平和と繁栄のために共に協力していかなければならない隣国」と記述していた。2018年版からは「自由民主主義と市場経済基本価値の共有」という文言が消えたのだ。
一部ではこのような国防白書の記述の変化は、韓国大法院(最高裁)の日帝強制徴用賠償判決や「レーダー照射葛藤」などをめぐって両国関係が悪化した影響だという分析が出ている。またこれに先立ち、日本政府が韓日関係に関連して「基本的価値を共有」という文言を政府関連文書から削除したことも影響を及ぼしたと分析されている。日本外務省は2015年3月、ホームページの「最近の日韓関係」の項目で、「わが国と自由と民主主義、市場経済などの基本的価値を共有する重要な隣国」という韓国についての文言を削除し、「最も重要な隣国」という表現に変更していた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190115-00000041-cnippou-kr

「一部ではこのような国防白書の記述の変化は、韓国大法院(最高裁)の日帝強制徴用賠償判決や「レーダー照射葛藤」などをめぐって両国関係が悪化した影響だという分析が出ている」とのことですが、強制連行被害者に対する韓国大法院判決はともかく、さすがに2018年12月20日に起きたレーダー照射疑惑に関しては、2019年1月15日刊行の韓国国防白書の記載に間に合うのか疑問です。
やはり一番大きな要因は、日本外務省が「2015年3月、ホームページの「最近の日韓関係」の項目で、「わが国と自由と民主主義、市場経済などの基本的価値を共有する重要な隣国」という韓国についての文言を削除し、「最も重要な隣国」という表現に変更していた」という点への対応でしょうね。

どうも日本社会は“韓国相手ならいくら殴っても殴り返してこない”と思っているようで、殴ったことすら忘れる悪癖があるようですが。



「謝罪と責任を回避する日本政府の誤った態度は、これ以上指摘する必要もない」とか言っても質問されたら答えるしかないわけで

自民党韓国支部と揶揄される自由韓国党もなかなか大変であろうという状況。

対日関係「危険水位に」=「文氏が刺激」と批判―韓国野党幹部

1/14(月) 16:47配信 時事通信
 【ソウル時事】韓国保守系最大野党「自由韓国党」のナンバー2、羅卿※(※王ヘンに爰)・院内代表は14日、元徴用工訴訟で韓国の裁判所が新日鉄住金の資産差し押さえを認めたことなどに「日本政府が強く反発している」と述べ、「韓日関係は危険水位を行き来している」と懸念を表明した。
 幹部会である非常対策委員会での発言を同党が公表した。
 羅氏は「文在寅大統領も新年の記者会見で、不必要に日本を刺激する発言をしたのではないか」と批判した。文氏は会見で、「日本の政治家が歴史問題を政治争点化し拡散させていくことは賢明な態度ではない」などと述べていた。
 羅氏は「謝罪と責任を回避する日本政府の誤った態度は、これ以上指摘する必要もない」と強調。一方で、日本企業への賠償を命じた最高裁判決に関し「これまでの行政府の立場と異なる司法府の判決だ」と述べ、「文政権がどのように外交的に解決しようとしているのか見えない」と主張した。 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190114-00000039-jij-kr

個人的に“韓国の櫻井よしこ”と見ている나경원(羅卿瑗・ナ・ギョンウォン)議員*1ですが、「羅氏は「謝罪と責任を回避する日本政府の誤った態度は、これ以上指摘する必要もない」と強調。」といった感じで日本の味方と見られないように予防線を張りながら、「「文在寅大統領も新年の記者会見で、不必要に日本を刺激する発言をしたのではないか」と批判」というアクロバティックなことをやっています。

しかも面白いことに、リアルメーターの調査では、「徴用工訴訟やレーダー照射問題をめぐる韓国政府の対日姿勢」に関して「もっと強く対応すべきだ」と回答した割合は、与党・共に民主党支持層では40%であったのに対して、野党・自由韓国党支持層では44.2%と、自由韓国党支持層の方が“もっとやれ”的に煽っている観が強かったりします。
(ただし、「自制すべきだ」と回答した割合については自由韓国党支持層が20.4%と比較的高い結果も出ています。)

実際問題としては、慰安婦問題だけでなく徴用工訴訟やレーダー照射問題などでの日本側の過剰反応が、本来日本に親和的な保守層にまで日本に批判的な印象を植えつけ、ために保守層において進歩層よりも強く「もっと強く対応すべきだ」という意見が出ていると思われますね。



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まあ中国に対して曲解を煽るのは遠藤氏だけではないのだが。

遠藤誉らしく、まるっきり文意・文脈を無視して「武力統一」だとミスリードさせている件。
「平和統一」か「武力統一」か:習近平「台湾同胞に告ぐ書」40周年記念講話(遠藤誉 | 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士 、1/6(日) 14:13)

くだんの講話の内容は以下。

第三,坚持一个中国原则,维护和平统一前景。尽管海峡两岸尚未完全统一,但中国主权和领土从未分割,大陆和台湾同属一个中国的事实从未改变。一个中国原则是两岸关系的政治基础。坚持一个中国原则,两岸关系就能改善和发展,台湾同胞就能受益。背离一个中国原则,就会导致两岸关系紧张动荡,损害台湾同胞切身利益。
统一是历史大势,是正道。“台独”是历史逆流,是绝路。广大台湾同胞具有光荣的爱国主义传统,是我们的骨肉天亲。我们坚持寄希望于台湾人民的方针,一如既往尊重台湾同胞、关爱台湾同胞、团结台湾同胞、依靠台湾同胞,全心全意为台湾同胞办实事、做好事、解难事。广大台湾同胞不分党派、不分宗教、不分阶层、不分军民、不分地域,都要认清“台独”只会给台湾带来深重祸害,坚决反对“台独”分裂,共同追求和平统一的光明前景。我们愿意为和平统一创造广阔空间,但绝不为各种形式的“台独”分裂活动留下任何空间。
中国人不打中国人。我们愿意以最大诚意、尽最大努力争取和平统一的前景,因为以和平方式实现统一,对两岸同胞和全民族最有利。我们不承诺放弃使用武力,保留采取一切必要措施的选项,针对的是外部势力干涉和极少数“台独”分裂分子及其分裂活动,绝非针对台湾同胞。两岸同胞要共谋和平、共护和平、共享和平。

http://www.npc.gov.cn/npc/xinwen/2019-01/02/content_2070110.htm

普通に読めば、“平和統一を志向するが、外部勢力が干渉したり台湾独立派が分裂活動したりする場合には武力の使用を排除しない”という意味ですね。むろん、これを脅迫めいた表現であると解釈すること自体は間違っていません。「我们不承诺放弃使用武力」なる一文を入れる必要は必ずしもなく、「保留采取一切必要措施的选项」だけでも十分だともいえるからです。
ただ、このレベルの発言はトランプ政権が北朝鮮に対して述べた「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」という発言と同じであって、特異なものでもありません。ちなみに日本政府は2017年4月にこういったトランプ政権の発言を評価しています。

このレベルの発言を武力行使を意図する発言としてトランプ政権であれ習近平政権であれ批判してきたのならば、戦争反対という点で一貫していますが、そうでなければ単なるポジション・トークです。

ましてや遠藤氏のように曲解までするのはどうかと思います。

 そして何より、習近平国家主席としての在任中の最後の10年単位の記念日となるだろう。
 したがって、「平和統一」ができなければ「武力統一」を選ぶ。
 そうしてでも、在任中に「台湾統一」を成し遂げようというのが、習近平の決意だ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20190106-00110266/

講話では「「平和統一」ができなければ」などという条件ではなく、「针对的是外部势力干涉和极少数“台独”分裂分子及其分裂活动,绝非针对台湾同胞」を条件としていて、その場合でも「「武力統一」を選ぶ」ではなく、「不承诺放弃使用武力」と言っています。

まあ、トランプ・レベルの軽率な表現と言えなくもありませんが、米軍による北朝鮮攻撃と違って中国の場合は形式的には内戦になりますし、もともと蒋介石時代の台湾が大陸反攻を標榜していたことも考えるとトランプ発言よりはマシかもしれません。

とは言え、中国に対するこの手の曲解は欧米メディアでもよく見られるのですけどね。



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現場海域についての簡単な情報整理

韓国駆逐艦が日本哨戒機に対して火器管制レーダーを照射したとされる事件ですが、その現場海域の具体的な座標については公表されていません。

初期の日本側公式発表では「能登半島沖」(2018年12月21日防衛省プレスリリース)とだけあり、後に公表した動画では「能登半島沖(日本EEZ内)」というキャプションを入れています。
韓国側が公開した動画では「동해 해상(東海(日本海海上)」とだけあり、具体的な場所はわかりません。

2018年12月21日の東亜日報は政府筋情報として「동해 대화퇴어장(東海大和堆漁場)」での出来事だと報じており、以下のような地図を付けています。

[단독]해군, 동해 표류 北어선 구조… 日 “韓 레이더, 우리 초계기 조준”
윤상호 군사전문기자 , 서영아 특파원 입력 2018-12-22 03:00수정 2018-12-22 03:00
f:id:scopedog:20190114174939j:plain

http://news.donga.com/List/3/all/20181221/93410051/1

この地図だと暫定水域内であることがわかります。
1999年に発効した日韓漁業協定で定められた暫定水域は大和堆の西半分を含んでいます。

f:id:scopedog:20190114174953g:plain

http://kokushi.fra.go.jp/H28/H28_66.html

さて、日本防衛省は現場を日本EEZだと主張していますが、これは暫定水域内とする東亜日報報道と矛盾するでしょうか。
これは実はかなり面倒な問題です。
暫定水域は独島(竹島)の領有権が絡みEEZ境界を確定できなかったために設定されたという経緯があります。そのため、厳密にいえば暫定水域は日本側EEZでも韓国側EEZでもないことになりますが、独島(竹島)領有権未確定の事情だけで決められたわけでもなく、大和堆附近は独島(竹島)を韓国領とした場合でも韓国側EEZにはならない場所になっています。

f:id:scopedog:20190114175011j:plain

http://www.kmunews.co.kr/news/articleView.html?idxno=9183

そのため、暫定水域の概念を無視すると、大和堆全域が日本EEZだとも言えます。
例えば、産経新聞は「日本の排他的経済水域EEZ)にある日本海の好漁場「大和堆」付近での北朝鮮漁船による違法操業問題で、海上保安庁が現場海域に複数の巡視船を投入し、」*1といった表現をしています。厳密にいえば、日本EEZと暫定水域にまたがっている「大和堆」を日本EEZにあると表現しているわけです。
日本防衛省公表動画にある「能登半島沖(日本EEZ内)」が厳密な意味での日本EEZであり、日韓暫定水域を含まないのか、それとも暫定水域を無視した上で日本EEZと確定できる部分を指しているのか、それによって状況の判断は変わります。

なお、現場が日韓暫定水域内であったとすれば、その水域内では日韓双方の漁船が操業可能なため、韓国漁船が当然存在します。また暫定水域内では旗国主義のため、韓国漁船を監視・保護するのは韓国海洋警察の仕事になります。

つまり現場が東亜日報報道通り日韓暫定水域内であるなら、韓国海洋警察艦艇がいるのは日韓漁業協定上何の問題もないわけです。

その辺を理解せずに、陰謀論をたくましく論者が多すぎて困りますね。



日本に関連する質疑に対する文大統領の応答に関する件

2019年1月10日に文在寅大統領が新年記者会見を開きました。
その際の演説全文はこれです。
2019 문재인 대통령 신년기자회견 연설 2019-01-10

この演説の中に“反日”的な記載はどのくらいあるかというと、皆無です。というか、日本に対する直接的な言及自体がありません。

強いて言うなら、この部分が“反日”ですかね?

올해는 3.1독립운동, 임시정부수립 100년이 되는 해입니다.
지난 100년, 우리는 식민지와 독재에서 벗어나 국민주권의 독립된 민주공화국을 이루었고, 이제 평화롭고 부강한 나라와 분단의 극복을 꿈꾸고 있습니다.
우리는 지금 그 실현의 마지막 고비를 넘고 있습니다.

今年は3.1独立運動、臨時政府樹立100年になる年です。
過去100年には、私たちは、植民地と独裁から脱して国民主権の独立した民主共和国を遂げ、今で平和富強な国と分断の克服を夢見ています。
私たちは、今、その実現の最後の峠を越えています。

https://www1.president.go.kr/articles/5288

まあ、これが“反日”に読めるなら、バカじゃねーの?としか言えませんけど。

ともあれ、日本が今騒いでいるのは、この部分ではありません。文大統領が演説の後に、記者からの質問に答えた質疑応答の部分です。
2019 문재인 대통령 신년기자회견(질의응답) 2019-01-10

30ほどあった質問のうち、NHKの高野記者が無理やり割り込んで質問した形となった1つの質疑応答、それだけです。

質問内容

  • 타카노 히로시 NHK 기자 : (한국말로)감사합니다. 일본 NHK 지국장 타카노라고 합니다. 한일관계에 대해서 질문 드리겠습니다. 경제 분야에서도 사회 분야에서도 긴밀한 한일관계가 너무 중요하다고 생각합니다만 지금 양국 간에는 너무 어려운 상황입니다. 어제 일본 정부가 한일청구권협정에 기반해서 한국 측에 합의를 요청했습니다. 이에 대해서 대통령님은 어떠한 대응을 고려하고 계십니까? 그리고 대법원 판결에 관해서 아직 한국 정부는 구체적인 대응책을 발표하시지 않고 계신데 언제쯤 발표할 계획이신지, 또 한국 정부가 새로운 기금이나 재단을 설립할 가능성도 있는지 구체적으로 말씀해 주시면 감사드리겠습니다.

機械翻訳

  • タカノ・ヒロシNHK記者:(韓国語で)ありがとうございます。 日本NHK支局長タカノといいます。 韓日関係に対してお聞きします。 経済分野でも社会分野でも緊密な韓日関係がとても重要だと考えますが今両国間にはとても難しい状況です。 昨日日本政府が韓日請求権協定に基づいて韓国側に合意を要請しました。 これに対して大統領様はいかなる対応を考慮していらっしゃいますか? そして大法院判決に関してまだ韓国政府は具体的な対応策を発表しなくておられたがいつ頃発表する計画なのか、また、韓国政府が新しい基金や財団を設立する可能性もあるのか具体的におっしゃれば感謝申し上げます。
https://www1.president.go.kr/articles/5297

NHK高野記者が質問した以外には日韓以外の外国メディアも含めて誰も日韓関係に興味を持っていないという状況(ワシントン・ポスト、人民日報、フィガロBBCなどの記者が参加)なのはご愛嬌。

回答内容

▲ 문 대통령 : 우선은 약간 기본적인 이야기부터 하면 과거 한국과 일본 간에 어떤 불행했던 그 역사가 있었습니다. 35년가량 지속된 그런 역사입니다. 그 역사 때문에 한국과 일본이 새로운 외교관계를 수립하면서 한일기본협정을 체결했지만 그것으로 다 해결되지 않았다라고 여기는 그런 문제들이 아직도 조금씩 이어지고 있습니다. 이것은 한국 정부가 만들어낸 문제들이 아닙니다. 과거의 불행했던 오랜 역사 때문에 만들어지고 있는 문제입니다. 저는 일본 정부가 그에 대해서 조금 더 겸허한 입장을 가져야 한다고 봅니다. 한국 정부는 그럼에도 불구하고 그 문제는 그 문제대로 별개로 양국이 지혜를 모아서 해결하고, 그것으로 인해서 미래지향적인 관계가 훼손되지 않도록 하자고 누누이 이야기를 하고 있습니다. 그러나 그런 문제에 대해서 일본의 정치인들, 또 지도자들이 자꾸 그것을 이렇게 정치 쟁점화해서 문제를 더 이렇게 논란거리로 만들고 확산시켜 나가는 것은 저는 현명한 태도가 아니라고 생각합니다.
한국 대법원의 판결에 대해서 일본도 마찬가지이고 한국도 마찬가지이고 세계 모든 문명선진국들이 다 마찬가지입니다. 삼권분립에 의해서 사법부의 판결에 정부가 관여할 수가 없습니다. 정부는 사법부의 판결에 대해서 존중해야 합니다. 일본도 마찬가지입니다. 일본이 한국 법원의 판결에 대해서 불만을 표시하실 수는 있습니다. 그러나 한국 정부로서는 한국 사법부의 판결에 대해서 존중의 입장을 가져야 되고, 일본도 불만이 있더라도 기본적으로 그 부분은 어쩔 수 없다라는 인식을 가져주어야 합니다. 그렇다면 그런 상황 속에서 한일 간에 어떻게 지혜를 모아서 그 문제를 해결할 것인가, 지금 한국 사법부가 한일기본협정 가지고 아직 해결되지 않았다라고 판단하는 문제들에 대해서, 그리고 그 피해자들의 실질적인 고통들을 치유해 주는 문제에 대해서 한일 양국이 어떻게 해결해 나갈 것인가라고 정말 그 부분에 대해서는 진지하게 지혜를 모아 나가야 한다고 생각합니다. 그런 문제를 정치적 공방의 소재로 삼아서 미래지향적인 관계까지 훼손하려고 하는 것은 대단히 바람직하지 못하다고 봅니다.
새로운 재단이나 기금의 가능성 이런 부분들은 조금 더, 그 사건에 대해서 지금 심지어 수사까지 되고 있는 그런 상황이기 때문에 그런 상황들이 정리되는 것을 지켜보고 판단해야지 않을까 그렇게 생각합니다.
사실은 그 뒤의 분을 지목한 것이어서, 제가 질문 기회를 드리겠습니다.

機械翻訳
▲文大統領:先ずは若干基本的な話からすれば過去韓国と日本間にどんな不幸だったその歴史がありました。 35年ほど持続したそのような歴史です。 その歴史のために韓国と日本が新しい外交関係を樹立して韓日基本協定を締結したがそれでみな解決されなかっただとここはそのような問題がまだ少しずつ続いています。 これは韓国政府が作り出した問題がありません。 過去の不幸だった長い間の歴史のために作られている問題です。 私は日本政府がそれに対してもう少し謙虚な立場を持つべきだと見ます。 韓国政府はそれにもかかわらず、その問題はその問題のとおり別個で両国が知恵を集めて解決して、それによって未来指向的な関係が毀損されないようにしようと幾度も話をしています。 しかしそのような問題に対して日本の政治家たち、また、指導者が度々それをこのように政治争点化して問題をさらにこのように論議の的で作って広めていくのは私は賢明な態度でないと考えます。
韓国大法院の判決に対して日本も同じで韓国も同じで世界すべての文明先進国がみな同じことです。 三権分立によって司法府の判決に政府が関与することはできないです。 政府は司法府の判決に対して尊重しなければなりません。 日本も同じことです。 日本が韓国裁判所の判決に対して不満を表示されることはできます。 しかし韓国政府としては韓国司法府の判決に対して尊重の立場を持たなければならなくて、日本も不満があっても基本的にその部分は仕方ないという認識を持たなければなりません。 それならそのような状況の中で韓日間にどのように知恵を集めてその問題を解決するのか、今韓国司法府が韓日基本協定持ってまだ解決されなかっただと判断する問題に対して、そしてその被害者の実質的な苦痛を治癒する問題に対して韓日両国がどのように解決していくのかだと本当にその部分に対しては真剣に知恵を集めていかなければなければならないと考えます。 そのような問題を政治的攻防の素材として未来指向的な関係まで傷つけようとするのは非常に望ましくないと見ます。

新しい財団や基金の可能性このような部分はもう少し、その事件に対して今さらに捜査までなっているそのような状況なのでそのような状況が整理されるのを見守って判断するべきでしないだろうかそのように考えます。

事実はその後の方を指定したことなので、私が質問機会を差し上げます。

https://www1.president.go.kr/articles/5297

日本のメディアや論者はここから一部だけを切り取って嫌韓感情を煽っていますが、至極もっともなことしか言っていません。

問題の根源が35年間の植民地支配にあり日韓基本条約ですべてが解決されたわけではなく未解決の問題が続いている、というのは基本的な事実でしかありません。韓国政府が作り出した問題ではなく、過去の不幸な長い歴史によって作られた問題だというのも当たり前の話ですし、別に日本のせいだと言っているわけでもありません。

美根慶樹氏などは「外交問題を相手方の責任だと一方的に押し付けることはあってはならないことですし、また文大統領の発言には日本側の姿勢を道徳的に非難する意味合いがあり、言い過ぎであって、日本に対して失礼ではないでしょうか。」*1などと言ってますが、まるっきり読み違えてるとしか思えません。
文大統領はあくまでも過去の不幸な長い歴史によって作られた問題と述べており、「外交問題を相手方の責任だと一方的に押し付け」てなんかいませんからね。そして、過去の不幸な長い歴史によって作られた問題であるということを理解して謙虚になることを日本に対して求めているに過ぎず、それをもって「日本側の姿勢を道徳的に非難する」というのもおかしな話です。
過去の不幸な長い歴史によって作られた問題それも未解決の問題に対して、政治争点化しているのは少なくとも文政権下の日韓関係においては明らかに一方的に日本側ですし。
まあ、だいたい相手に責任を「一方的に押し付け」て「道徳的に非難する」なんて日本政府が散々やらかしているくせに、それをスルーする時点でおかしいですね。

質問内容である大法院判決についても、三権分立で行政が司法の判断を尊重するのは当たり前の話です。日本が韓国司法判断に不満を表明するのは構わないが、韓国政府としては韓国司法を尊重せざるを得ないという点について、「基本的にその部分は仕方ないという認識」を持ってほしい、という回答は非常に抑制されたものです。

質問した当のNHKはこの部分をこう報じています。

そして「日本も韓国も三権分立の国だ。韓国政府は司法の判決を尊重しなければならない。日本政府も判決内容に不満はあっても、『どうすることもできない』という認識を持ってもらう必要がある。政治的な攻防のイシューとみなして未来志向的な関係まで損なうのは、非常に望ましくない」として、日本政府に冷静な対応を求めました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190110/k10011773331000.html

NHKは回答内容を明らかに曲解して報じています。文大統領が言っているのは、“韓国政府としては韓国司法を尊重せざるを得ないという点について、「基本的にその部分は仕方ないという認識」を持ってほしい”であって、判決内容そのものに対して「『どうすることもできない』という認識を持ってもらう必要がある」とか言ってません。
判決内容に対する不満の表明はむしろ認めていて、ただ韓国政府が韓国司法を尊重せざるを得ないという点について“「基本的にその部分は仕方ないという認識」を持ってほしい”と当然のことを言っているに過ぎません。
NHKまでが嫌韓を煽るために、NHK自らが取材して得た回答を改竄して報じるなんて世も末ですね。

文大統領の回答の中で最も重要なのは、「その被害者の実質的な苦痛を治癒する問題に対して韓日両国がどのように解決していくのかだと本当にその部分に対しては真剣に知恵を集めていかなければなければならないと考えます」という部分です。
被害者の苦痛をどう治癒するのか、それが日本政府、日本メディア、日本社会に欠けている視点です。実際、そういう視点について日本側で報じているメディア・論者はほぼ見かけません。発言自体は毎日記事*2で論評なしで言及されてたりもしますが、論評となると、外交の駆け引きだとか、日本に対する侮辱だとか、被害者そっちのけの国家レベルの面子にこだわった主張ばかりです。


さらにNHK記事ではこんなことまで書いています。

一方、この裁判をめぐっては、原告側から日韓両政府と企業による財団を設立し、一括して補償を進めるべきだという主張が出ていて、ムン大統領は会見の中で「新たな財団や基金については状況が整理されるのを見守り判断しなければいけない」と触れました。
ムン大統領が財団設立という解決方法に言及したのは初めてで、韓国政府内で選択肢の1つとして検討対象になっていることを示唆しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190110/k10011773331000.html

まるで文大統領が自ら財団設立の案を述べたかのようなNHK報道ですが、NHK記者が「韓国政府が新しい基金や財団を設立する可能性もあるのか具体的におっしゃれば感謝申し上げます」と聞いたからに過ぎませんし、その言及も「新しい財団や基金の可能性このような部分はもう少し、その事件に対して今さらに捜査までなっているそのような状況なのでそのような状況が整理されるのを見守って判断するべきでしないだろうかそのように考えます。」といった程度であって、これをもって「韓国政府内で選択肢の1つとして検討対象になっていることを示唆しました」とか報じるNHKの感覚の方が異常でしょう。

NHK基金や財団を設立する可能性はあるのか?」
文大統領「基金や財団の可能性は状況が整理されてから判断すべきと考える」
NHK「文大統領が財団設立という解決方法に初めて言及した!韓国政府内で検討対象になっている!」

どんなマッチポンプだよ。

会見の様子

会見の模様はこちらで動画公開されていて、NHK記者との質疑応答部分は、1時間38分40秒頃~1時間43分40秒頃です。
www.youtube.com



あれぇ?韓国は世界中で嫌われてるはずなのになぁ・・・

この件。

「世界最強のパスポート」、日本が依然トップ 韓国2位に

1/9(水) 18:18配信 CNN.co.jp

(CNN) ビザ(査証)なしで入国できる国・地域の数に基づいて世界各国のパスポート(旅券)を比較したランキングの最新版で、日本が依然としてトップに立っていることが9日までに分かった。
ランキングは英コンサルティング会社のヘンリー・アンド・パートナーズが航空運輸業界団体の国際航空運送協会(IATA)のデータと独自の調査を基にまとめ、随時更新している。
ある国のパスポートを持っている人が、ビザなしで全227カ国・地域のうち何カ国・地域に入れるかをその国のスコアとし、全199カ国の順位をつけている。
日本は昨年10月に発表されたランキングで初めてトップに立った。
日本のスコアは190、2位のシンガポールが189で、いずれも前回と同じ。前回3位だった韓国は、新たにインドとの間で到着時ビザ(VOA)の制度を導入したため、ワンランク上がってシンガポールと並んだ。これにより、トップ3をアジアが独占することになった。
アジアではこのほか中国が、2017年の85位から今年は69位まで急上昇した。
14年には米国と英国が同点でトップに立っていたが、両国とも6位に落ちている。
英国は今年3月末に欧州連合(EU)から離脱することになっている。離脱条件をめぐり議会がこう着状態に陥っていて、ビザ制度への影響も不透明のままだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190109-35131058-cnn-int

韓国人がビザなしで入国できる国は189カ国だそうです。日本の190カ国には及びませんが、189と190ですから実質的な差があるとは言えないでしょうね。
嫌韓バカに言わせると、韓国は世界中で嫌われているらしいのに、おっかしいですねぇ・・・。