日本語読解能力も怪しいらしい。
なんかもう、白軍オタ*1は必死ですな。
次々に新しいネタ*2を提供してくれるので目が離せません。
JSFさん、大丈夫なのか?
改変1
最近のガザの報道では「化学兵器では無い」という注釈は目立ってきました。朝日新聞や毎日新聞ですらそのように報道しています。
■イスラエル軍「白リン弾」使用か ガザの死者885人に (1月11日 朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0111/TKY200901110133.html
>化学兵器とはみなされておらず、国際条約上、明確に使用が禁止されてはいない
■ガザ侵攻:イスラエル軍が「白リン弾」使用…人権団体指摘 (1月11日 毎日新聞)
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
http://mainichi.jp/select/world/news/20090112k0000m030064000c.html
>白リン弾は国際条約で明示的に禁止された兵器ではなく、化学兵器ともみなされていない。
細かい指摘だけど。
「化学兵器とみなされていない」=「化学兵器ではない」
ではないよ。
もう少し引用部分を増やしてみよう。
(朝日新聞)
同通信(引用者註:AP通信)によると、ガザの病院の医師が11日、「白リン弾で少なくとも民間人55人がやけどをした」と証言。AP通信は女性1人が死亡、100人以上が負傷したと伝えた。白リン弾は、主に敵の目をそらす煙幕を張るために用いることが多いが、ざんごうなどに隠れている敵をあぶりだす際にも使われる。化学兵器とはみなされておらず、国際条約上、明確に使用が禁止されてはいないことから、米軍が04年にイラクで、イスラエル軍も06年のレバノン紛争で白リン弾を使った。
だが、高熱を発するためやけどだけでは済まず、体に深刻なダメージを与えることもあり「非人道兵器」との指摘も多い。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)も10日、ガザのような人口密集地での使用は国際人道法に違反すると訴えた。
http://www.asahi.com/international/update/0111/TKY200901110133.html
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/world/news/20090112k0000m030064000c.html
白リン弾は国際条約で明示的に禁止された兵器ではなく、化学兵器ともみなされていない。だが、皮膚に触れると骨を溶かすほど激しく燃焼し続け、人体に深刻な被害をもたらすのが特徴だ。第二次大戦の空爆などにも使用され、消火が難しいことからその非人道性が指摘された。
まあ、人によって文のとらえ方は異なるでしょうが、私としては、化学兵器とみなしていないのは誰なのかも、その根拠も明示されていませんので、米国やイスラエルなど*3が現に保有*4していること、それに対して現時点で化学兵器禁止条約の視点から白燐弾の違法性を国際的に検討していないこと、などの状況を示す程度の意味合いしか感じません。もちろん、朝日新聞や毎日新聞の考えとして、白燐弾を化学兵器とみなしていない、と言っているとも思えません。
「朝日新聞や毎日新聞ですらそのように(註:「(白燐弾が)化学兵器では無い」と)報道しています」と言うのは、勇み足でしょう。少なくとも挙げた記事からはそうは読み取れないと思います。
でもま、これは細かい話。
改変2
蛮行 許しがたい イスラエルの国連施設空爆 国連スタッフら非難 (2009年1月17日(土)「しんぶん赤旗」)
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UNRWAのガザ地区を担当するジョン・ギング部長は、イスラエル軍が残虐兵器である白リン弾を多用しているとされることに言及。白リン弾が放つ炎に水をかけた場合、強い毒性ガスが発生するために消火活動が困難をきわめていると語りました。
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白燐に水を掛けると強い毒性ガスが発生・・・って、そりゃ何て名前のガスでどんな化学式ですか?
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
ここも細かいですけどね。一応指摘しておきます。
「白リン弾が放つ炎に水をかけた」→(改変)→「白燐に水を掛ける」
元記事は、白燐火災時の放水消火の場合について述べているのであって、ただ「白燐に水を掛け」た場合について言っているのではありません。
意図的なら、性質の悪い改変ですねぇ。
あれだけ苦労してデマを駆逐して、今では朝日新聞や毎日新聞も「化学兵器ではない」と記事を書いて成果も出てきたのに、また逆戻りですかそうですか・・・もういい加減にして下さいよ。
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
愉快な認識をする人だ。
おもしろ1
以下は太平洋戦争時に配られた政府広報で、攻撃用の黄燐(白燐)焼夷弾に対処する方法を記したものです。
週報 第336号(昭和18年3月24日号)>:週報でみる戦時生活
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黄燐焼夷弾の白煙は10分くらい吸っても無害とのことで、防毒面は附けずに消火活動を行うとのこと。
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
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参考:週報336号
・・・・ なぜに太平洋戦争時の資料?
ま、いいけど、その消火活動はさぞかし効果を挙げたのでしょうね、きっと(白々しい?)。
ああ、ちなみにこんなこと言う人もいますね。
wiseler ソースが戦前の日本の雑誌、小説、マンガですか。私はアンチソース至上主義だけどこれはさすがに。/
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090114/p1
いえ、別に私の意見というわけじゃありませんが。
ついでに言うと、「週報 第336号(昭和18年3月24日号)」の出された1943年3月って、本格的な本土空襲はまだ開始されてませんね。
1942年4月のドーリトル空襲以降、1943年7月に千島列島が空襲されるまで、空襲を受けてません。
千島列島以外の日本本土が、実際に空襲されるのは1944年6月になってからです。
http://www10.ocn.ne.jp/~kuushuu/jun44.html
1943年3月時点で、どれほどの現実味を感じて空襲対策を練ったのか、激しく疑問です。
さて、現在の黄燐火災時の措置についてはどうでしょうか?
5 火災時の措置
http://www.jaish.gr.jp/anzen/mms/datasheet/mms-10800.html
消火剤
水噴霧、土砂、泡消火薬剤、粉末消火薬剤。
使ってはならない消火剤
棒状水(棒状水を注ぐと溶けた黄リンが細かい粒子となり、飛散って危険である。)
火災時の特定危険有害性
火災時に刺激性もしくは有害なフュ−ムやガス(三酸化リン、五酸化リン等)を発生する。
熱により液状となって燃え拡がる。
燃焼中に激しく酸化物の白煙を発生し、燃焼物体の確認が困難になる。
特定の消火方法
初期消火は、湿った土砂等で覆って消火する。
大規模火災の場合は、噴霧水を多量に用いて消火する。
消火作業は、保護具を着用し、安全な距離と防御出来る位置から行う。
溶融し流れ出して燃えている場合は、周囲を土砂で囲って水封して、固体状となるまで、冷却注水を続ける。
消火後、再発火することがあるので注意すること。
周辺火災の場合は、速やかに移動可能な容器を安全な場所に移動する。
移動不可能な場合には、容器及び周囲の施設などに散水して冷却する。
消火を行う者の保護(保護具等)
消火作業の際は、必ず保護具(呼吸器保護具、化学防護手袋、化学防護、及び防火性化学防護服等)を着用する。
ですってよ。
何ともまあ、実際の戦場で行うには相当難しそうな消火方法ですね。「噴霧水」とか「水封」とか「冷却注水」とか。
おもしろ2
黄燐(白燐)が燃焼した際に生じる煙(五酸化二燐)の毒性とはこの程度です。
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
元記事には「黄燐(白燐)が燃焼した際に生じる煙(五酸化二燐)」とは書いてませんね。
しかし白燐弾を開けた野外でしかも空中炸裂させて酸欠なんて事態にはなりません。
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
そりゃそーだけど、誰がそんな主張をしているのだろう?
そのような設計を一切行わず素の白燐欠片をバラ撒くだけのM825A1白燐弾は殺傷能力、引火性ともに低いのです。
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
なるほど、低いながらも殺傷能力はあるということですね。勉強になります。
また政府広報の週報第336号には焼夷弾の消火には「何より必要なのは大量の水」とあります。もし黄燐(白燐)に水を掛けて猛毒ガスが発生するなら、その事を注意する記述がある筈ですがそのようなものはありません。逆に発生する煙は毒性が低いから10分吸い続けても大丈夫、防毒マスクは付けずに消火活動を行え、と書かれている以上、消火活動の放水で猛毒ガスが発生するような事は有り得ないでしょう。
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
焼夷弾により引火した家屋などに対する消火活動と、燃焼している白燐そのものに対する消火活動をごっちゃにしてませんか?
http://www.geocities.jp/aobamil/kanchousitu/shuuhou/336.htmlのサイトって、要約であって原文でもないようですし、使用価値は極めて低いように思いますけどねえ・・・。
抜粋の仕方
黄りん :滋賀県医務薬務課より黄りん(白リン)の特徴を抜き出してみます。
・アルカリ水溶液と反応して自然発火の有毒なホスフィン(りん化水素:PH3)を発生する。
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
・小規模火災の場合土砂等で覆って消火する。
・大規模火災の場合は霧状の水を多量に用いて消火する。
・棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である。
公的機関からの抜粋なので信頼度高いですね!
でも、もうちょっと多めに抜き出してみましょう。
出 火 時
(周辺火災の場合)
速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能の場合は、容器及び周囲に散水して冷却する。
(着火した場合)
小規模火災の場合土砂等で覆って消火する。
大規模火災の場合は霧状の水を多量に用いて消火する。
黄りん火災の際に発生する燃焼ガスを吸入すると肺水腫を起こすことがある。また黄りんが身体に触れると激しいやけど(薬傷)を起こすので必ず保護具を着用する。
棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である。消火後は上記漏えい時の措置を採る。
(消火剤)
水、土砂暴 露・接 触 時
http://www.pref.shiga.jp/e/imuyakumu/dokugeki/o01.html
人体に対する影響
(吸入した場合)
黄りんが燃えて発生する燃霧は鼻、のど、肺を激しく刺激する。
(皮膚に触れた場合)
激しいやけど(薬傷)を起こす。
(眼に入った場合)
激しい障害を起こす。
あれ?
「黄りん火災の際に発生する燃焼ガスを吸入すると肺水腫を起こすことがある。また黄りんが身体に触れると激しいやけど(薬傷)を起こすので必ず保護具を着用する。」は何で抜き出してないの?
「黄りんが燃えて発生する燃霧は鼻、のど、肺を激しく刺激する。」これも抜き出してないんだ。ふーん。
まあ、確かに「抜き出して」はいるわけだが・・・。
ホスフィン
3年前のファルージャ白燐弾デマ騒動でも有毒ガス「ホスフィン」の名は出ましたが、見ての通り水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を掛けないと発生しないので、消火用の水でホスフィンが発生するようなことはありません。
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
ホスフィンについてはそうかも知れませんね、うんうん。
「棒状の水を注ぐ」とは「直線状の水流で高い水圧を掛ける」こと?
また水を用いた消化方法も、直線状の水流で高い水圧を掛けるなと言う注意書きであり、白燐そのものが飛び散ってくると言う話であって「強い毒性のガスが発生する」というのはウソです。
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
・・・「棒状の水を注ぐ」ってのを「直線状の水流で高い水圧を掛ける」と解釈するんだ。ふーん。
「注ぐ」という表現に「高い水圧を掛ける」という印象を感じないのは、私の感性の問題でしょうか?
飛び散っているのは何だろう?
これは浮遊性の高いゾルが発生するという事ではありません。あくまで飛び散った先が新たに発火する場合に消火作業が滞ると言う意味です。エアロゾルなら「飛び散る」という表現は有り得ません。他には燃焼し有害な強い刺激臭のある煙霧、つまり五酸化二燐の煙についても言及されていますが、既に述べられている通り、10分間吸い続けても平気な程度の弱い毒性です。
http://obiekt.seesaa.net/article/112955335.html
この部分は何の根拠資料も示していないので、JSF氏の解釈と考えてよいのでしょうかね?
そうだとすると、安全情報センターの資料にある「火災時に刺激性もしくは有害なフュ−ムやガス(三酸化リン、五酸化リン等)を発生する。」、特に「有害なフュ−ム」はどう解釈すればよいのでしょうか?
ちなみに「フュ−ム」と言うのは以下の通り。
ヒューム
http://www.safe.nite.go.jp/management/term/termCategory/term-Emain.html
ふりがな ひゅーむ
英語 fume
同義語
定義 金属の蒸気等の凝縮によって生じた微小な固体粒子(粒径1μm以下)が空気中に浮遊しているもの。
関連語 粉じん、ミスト
「・棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である。」で言っている「細かい粒子」ってこのヒュームのことじゃないですか?
燃焼中の黄燐に対して、棒状水を”注ぐ”ことによって、黄燐ヒュームが発生するとするなら、「白リン弾が放つ炎に水をかけた場合、強い毒性ガスが発生する」と表現するのは、全く何の違和感も生じませんね*5。
仮に黄燐のヒュームでないとしても、「火災時に刺激性もしくは有害なフュ−ム(略)を発生する」ことは事実でしょうから、デマとは呼べないですよね?
ヒュームであって、ガスではない、とか主張するなら別ですが・・・。
デマって・・・
UNRWAのジョン・ギング部長が白燐の化学特性も知らずにデタラメな証言を行い、また再び白燐弾が「水を掛けると強い毒性ガスを発生する」という謎の超兵器と化そうとするとは・・・数年前にデマを叩き潰した努力は一体、なんだったんだ・・・
えーと、とりあえず化学の素人として、UNRWAのジョン・ギング部長の発言とJSF氏の発言のどっちを信じるかと言われたら、迷うことなく前者を信じますが、私はデマに惑わされているのでしょうか?
「数年前にデマを叩き潰した努力」とやらは、化学物質取扱い作業者の黄燐に対する安全性意識を低下させるという効果として実ってたりして・・・。
気になる点2
まあしかし、ここまで明確に「白リン弾が放つ炎に水をかけた場合、強い毒性ガスが発生する」という発言を「白燐の化学特性も知らずにデタラメな証言」と断言する以上、JSF氏は、実際に白燐を使って、実験を行なっているんでしょうねえ、きっと。
実際に、保護具もつけずに、燃焼中の白燐に棒状の水をかけて消火した経験がおありなのでしょう*7。きっと。多分。
どうやって白燐を入手したのかは知りませんが。
せっかくそこまでやったのだから、
滋賀県医務薬務課に抗議して、「黄りん火災の際に発生する燃焼ガスを吸入すると肺水腫を起こすことがある。また黄りんが身体に触れると激しいやけど(薬傷)を起こすので必ず保護具を着用する。」*8という記載を削除させては如何でしょう?*9
デマは許せないですからね!
マジな話
実際に黄燐を扱う職業に従事している方及び学校などでの実験で黄燐を扱う機会のある教師・生徒に対して。
実際に黄燐火災に遭遇した場合、下らないブログやWikipediaなんかを信用せず、公的機関の発する注意事項に従って消火などの行動をとってください(会社レベルでの規則もあると思いますが)。
あなたの命に関わります!
大事なので繰り返し表示します。
出 火 時
(周辺火災の場合)
速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能の場合は、容器及び周囲に散水して冷却する。
(着火した場合)
小規模火災の場合土砂等で覆って消火する。
大規模火災の場合は霧状の水を多量に用いて消火する。
黄りん火災の際に発生する燃焼ガスを吸入すると肺水腫を起こすことがある。また黄りんが身体に触れると激しいやけど(薬傷)を起こすので必ず保護具を着用する。
棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である。消火後は上記漏えい時の措置を採る。
(消火剤)
水、土砂暴 露・接 触 時
http://www.pref.shiga.jp/e/imuyakumu/dokugeki/o01.html
人体に対する影響
(吸入した場合)
黄りんが燃えて発生する燃霧は鼻、のど、肺を激しく刺激する。
(皮膚に触れた場合)
激しいやけど(薬傷)を起こす。
(眼に入った場合)
激しい障害を起こす。
*2:引用先との合わせ技で、自爆ネタとなっている、などハイレベルなネタになっています。引用先も要チェック!
*3:だけじゃありませんが
*4:使用も
*5:粒径1μm以下の微小な固体粒子なんて、現場の感覚では「ガス」と呼んで何の問題もないでしょう。
*6:マジな感想として、JSF氏のコメント欄に書き込んで賛同しているような人たちの中に、実際に黄燐を取扱う職業に従事している人がいないことを切に願います。いや、ほんとマジで。死亡とか重症とかになったら、洒落にならんぞ。
*7:良い子は真似しちゃ駄目だよ!
*8:JSF氏は引用しなかった部分ですが。引用しなかったのはひょっとして滋賀県医務薬務課の職員に対するJSF氏の優しさからですか!感動した!
*9:一応、言っとくけど真に受けないように。