もう少し知られていい事実・中国政府の核兵器に関する公式声明(一部訂正2009/9/3)

「中国の核は綺麗な核」というのは、ウヨが反核運動を揶揄する際によく使用するフレーズです。

ひどいのになると産経新聞の古森氏のように、時系列の再配列を行ったりしてでも、広島市長に対して、中国や北朝鮮の核を非難していない、と言いがかりをつけたりしますが、まあ、それらが言いがかりであることは以下で指摘しました。

反核運動に対する右翼の言いがかり - 誰かの妄想・はてな版*1
珍説20・原水協は北朝鮮の核保有宣言(2005)に何も抗議しなかった|誰かの妄想

既に周知のことと思いますが、広島市もこれらのデマに対して反論してます。
http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1213059705154/index.html


その他、このあたりで指摘。
産経「主張」、呼吸するように嘘をつく。他。 - 黙然日記
読者を欺き続けるデマゴーグ・古森義久 - Transnational History

で、「中国の核は綺麗な核」というフレーズについて。

実は、中国の核については、他の核保有国と比べて多少特別視すべき事情があります。


中華人民共和国は、1964年10月16日に原爆実験を行い、核保有国となりました。
この実験当日に中国政府が出した声明がこちらです。

中国政府は世界各国政府にたいして丁重につぎのように提案する。世界各国首脳会談を開いて核兵器の全面禁止,完全廃棄の問題を討議する。各国首脳会議はその第一歩として,核兵器保有国ときわめて近い将来核兵器保有する可能性のある国家が,核兵器を使用しないこと,つまり,核兵器を持たない国に対して核兵器を使用しないこと,非核武装地帯に対して核兵器を使用しないこと,そして相互の間での核兵器を使用しないことを保証する義務を負う,そのような協定に達するべきである,と。

 もしすでに大量の核兵器保有している国家が核兵器を使用しないというこの点すら保証できないとしたら,核兵器をまだ保有していない国家にかれらの平和への誠意を信じて可能なそして必要な防衛措置をとらないようどうして期待することができるだろうか。

 中国政府はこれまでと変わることなく,国際的な話し合いを通じて,核兵器を全面的に禁止し,完全に廃棄する崇高な目標の実現を促すためあらゆる努力をはらうものである。その日が来るまでは,中国政府と中国人民は国防を強化し,祖国を防衛し,世界平和を擁護するため確固として変わることなく自分の道をあゆむものである。

 われわれは確信する。核兵器は人間が作ったものであり,人間がかならず核兵器を消滅することができる,と。

http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/JPCH/19641016.O1J.html

つまり、中国は核を保有した当日に、全核保有*2に対して「核兵器の全面禁止,完全廃棄」を呼びかけたわけです。
無論政治的には、他の核保有国が乗ってこないことを確信した上での政治的パフォーマンスと見てよいでしょうが、中国が「核兵器の全面禁止,完全廃棄」を呼びかけ、他の核保有国がそれを無視した、という事実は事実です。
ちなみに、この呼びかけに対して、日本は中国の核実験を非難するだけで「世界各国首脳会談を開いて核兵器の全面禁止,完全廃棄の問題を討議する」という提案は黙殺しました。ついでに、中国の核はまだ脅威ではない、とか言っちゃってたりします*3


さて、重要なのは次の声明です。

核兵器の先制不使用宣言

中国初の核実験翌日の1964年10月17日。

原爆実験についての周首相の核禁会議提案

中共政府は,中共がいかなるときにもいかなる状況においても,核兵器を先きに使用することはないことを厳粛に宣言する。

中共政府はひきつづき国際的話し合いを通じて,核兵器の全面的禁止と徹底的廃棄の実現をめざし,このため自己の声明のなかで以下の提案をおこなった。

すなわち,世界各国首脳会議を招集し核兵器の全面的禁止と徹底的廃棄の問題を討議すること,その第1歩として各国首脳会議が核兵器保有国と核兵器を近く保有する可能性のある国が核兵器を使用しないことを保障し,核兵器を持たない国にたいし,核兵器を使用せず,非核武装地区にたいして核兵器を使用せず,相互間にも核兵器を使用しないという義務を負う協定を達成すべきであること。

http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/JPCH/19641017.O1J.html

中国は、核兵器を先制使用しない、という宣言です。


これのどこが重要?とか思う人は多分、核抑止論を勘違いしています。

核兵器による報復の意思を示すことによって抑止されるのは、何も核攻撃だけに限りません。通常の非核攻撃による劣勢を挽回するために核攻撃をちらつかせるのも核抑止のひとつです。
核兵器先制不使用の宣言は、核を保有していない国に対して核を使用しないことの意思表示であり、核保有国に対しても通常攻撃である限りは核兵器による報復をしないという宣言でもあります。
つまり、核保有国による核攻撃のみを抑止する宣言であって、それ以外の行動に対する威嚇・威圧でないことの宣言です。

もうひとつ重要な点は、この核兵器先制不使用の宣言をしている核保有国は中国(追記2009/9/3:インドも先制不使用の宣言をしてました。)だけという点です*4 *5


この宣言を見る限り、本来、日本が中国の核兵器をことさら警戒する必要はないわけですが、産経新聞などのウヨクの人たちはやたら中国の核戦力がどうのとがなりたてています。
軍ウヨのなかにも同様に中国敵視は多いのですが、なぜか核兵器先制不使用の宣言をしている核保有国は中国だけと言う事実には触れません(例えば、このブログとか。*6


一方で、核兵器廃絶を進める立場として考えれば、まず核兵器の使用を制限させるのが現実的な選択肢です。
現在の核保有国に対して核兵器先制不使用を約束させることは、核廃絶に向けた重要な一歩なのですが、被爆国日本の首相はこのような態度ですね。

核の先制不使用宣言「現実的でない」=麻生首相、長崎で会見
 麻生太郎首相は9日昼、長崎原爆忌の式典出席のため訪れた長崎市で記者会見し、核兵器保有国が先制不使用を宣言する構想について「『わたしは先制攻撃しません』と言っても検証する方法はない。先制不使用の考え方は、日本の安全を確保するには、現実的にはいかがなものか」と述べ、否定的な見解を示した。「米国に核の先制不使用を求める考えはあるか」との質問に答えた。 
 また、自民党内に、敵基地攻撃能力の保有の検討を求める声があることに関しては、「日米間の役割分担に関する話は、検討すべきものと考えている」と述べた。(2009/08/09-13:25)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009080900053

宣言など意味はないよ、とでも言いたげですね。「検証」云々は言い逃れですね。実際に使用すればわかる話ですし、使用以前であれば宣言の存在は外交上の意味を持ちますから*7

まあ、麻生首相に求めても無駄だというのは当然なんですけど、実は日本政府は1960年代から一貫して核兵器の先制不使用に対して反対の態度をとっています。

核兵器先制不使用に反対する日本

以下は、1994年6月20日の参議院外務委員会での共産党議員と政府委員のやりとり。

立木洋君 私が計算すると三十五本あるんですよね。これは核兵器の使用禁止に関する条約、あるいは核保有国に対してすべての核兵器の先制不使用宣言を求める決議を内容とするいわゆる核不使用と核戦争防止の決議だとか、それから核中性子兵器禁止の決議だとか、いろいろあります。それからその条約を締結するための会議開催に関する決議だとか、これ全部挙げると三十五本あります。これは全部採択された。
 ところが日本政府が賛成したのは一九六一年のただ一本ですね。あと全部反対しているか棄権しているんですよ。使用は禁止されるべきだという政府がそういう使用を禁止することを内容とした国連の決議になぜ棄権だとか反対をするのか。口では使用を禁止するという立場は政策的にはとっていると言って、いわゆる国際法上は禁止されていないと。私は詭弁だと思うんですよ。政策に一貫性があるならば、丹波さん、私に一貫性があると言うなら、そうです、私、日本共産党は一貫性を持っていますよ、核兵器は。最初から禁止すべきだと。だけど最初に賛成していたのがなぜ棄権に回ったり反対に回ったりしたんですか。その理由を端的に述べてください。

○政府委員(林暘君) 今御指摘のとおり、一九六一年の決議について日本は賛成をいたしまして、その他のものについては棄権ないし反対をいたしております。
 一九六一年の決議について賛成いたしましたのは、そこにありますようなまさに核の惨禍を防止しなければならないという、そういう道義的な立場を踏まえて賛成したわけでございますが、その後の、今、先生御指摘のとおり核兵器の使用禁止だけではなくていろいろな種類のものがございますので一言では申し上げかねますけれども、例えば一九六二年以降の同様の決議に棄権をいたしましたのは、決議の内容がどちらかといえば核兵器
の使用禁止条約を署名するための特別会議の招集に重点を置いた決議であるという、そちらの方に重点が置かれているということで棄権をしているわけでございます。
 それから反対をした決議が、例えば核使用禁止の決議で八〇年と八一年に反対をいたしております。これはそのときの投票の……

立木洋君 それ以後もある。

○政府委員(林暘君) それ以後のものは、これは先制不使用の方の決議でございまして、これについては御指摘のとおり反対をいたしております。


唯一の被爆国、平和憲法非核三原則。そのような国である日本が、核兵器先制不使用に対しては、一貫して反対している。
核廃絶すべきとの国会決議などは何度も出しているのだが、どうにも実態を伴っているようには思えない。
外務省: ご案内- ご利用のページが見つかりません

国内に向けた顔と国外に向けた顔は全然違うようだ。

補足

日本共産党はアメリカの核保有には反対したのにソ連の核保有は認めた」という主張がありますが、ニュアンスがちと違います。この元ネタは1961年のソ連による水爆実験に対してのものですが、当時から共産党はすべての核保有国に対して核廃絶を求めています。
ソ連の1961年の核実験に対しては、もめたものの原水協も非難していますし、日本共産党核兵器全面禁止路線を変更していません。
一方で、1961年のソ連の水爆実験に日本共産党が理解を示したのは確かです。ただ、これも核兵器全面禁止路線とセットになってますね。
「このためにこそわれわれは、戦争放火者を圧倒するために必要な社会主義の防衛的軍事力の発展を支持しつつ、同時に核兵器の全面禁止を含む全般的軍縮をめざす人民の平和運動を力をつくして強化している(略)」*8
こんな感じです。核兵器全面禁止を求めるが、アメリカが圧倒的な核戦力をもって他国(特に東側諸国)を蹂躙できるような状況に陥らないようにソ連が対抗措置を講ずることは理解できる、と。

この辺は社会党ともめたところでもあり、反核運動が分裂したきっかけではあります。

ですが、日本共産党ソ連の核実験に理解を示したのは、当時の状況から理解できなくもありません。核実験の2年前1959年の時点ではソ連は既にフルシチョフの時代になっており、訪米してアイゼンハワー大統領と会談するなど、米ソ対立は緩和されつつありました。しかし、1960年5月にソ連領内でアメリカのU-2偵察機が撃墜され情勢が一変します。アメリカ政府は当初、否定しましたが、捕虜となったパイロットが公表され、アイゼンハワーは開き直り「真珠湾は二度とごめんだ」とスパイ飛行を正当化しました。
当時、米ソの核戦力は圧倒的にアメリカが優勢でしたが、偵察飛行でそれを知ったアイゼンハワーは「もう軍拡は不要だ」と言いましたが、利権化した軍拡は止まりませんでした。一方のフルシチョフソ連の核戦力劣勢が知られたことであせります。
また、キューバ革命後、アメリカに国交を拒絶されたカストロは1960年、ソ連に支援を求めます。これに対してケネディ大統領は1961年4月にピッグス湾事件*9を起こします。
さらに、東ドイツでは講和問題がこじれ、フルシチョフ東ドイツとの単独講和を示唆。東から西への亡命者が増大し、それを懸念した東ドイツ政府は1961年8月、ベルリンの壁の構築を始めます。
この他、アメリカは1961年からトルコ・イタリアにIRBMジュピターミサイルの配備を開始しています。
ソ連の水爆実験はこういった状況下でのことです。特に「U-2事件」や「ピッグス湾事件」などのアメリカの対応はめちゃめちゃ不評でした。その意味ではソ連の核実験が受動的なものと介する余地はあったわけです。

少なくとも、核廃絶を国是としつつ核兵器先制不使用の提案に反対している日本政府を擁護するような人には、1961年の日本共産党の態度を非難する資格はないでしょう。

補足2

1961年当時の日本共産党ですが、この当時既に中ソ対立が顕在化しつつありました。共産党内部でも親ソ派と親中派の対立があったのではないかぁ、と推測。調べてないのでこれ以上書けない。
自民党自民党でこの頃、親米派とそれ以外のやり取りが面白そうなのだが。岸信介とかは核武装憲法違反じゃないとかのたまって問題になってますね。

1960年4月5日 衆議院 日米安全保障条約等特別委員会
○岸国務大臣 私の前後の質疑応答を、竹谷委員の今の御質問で、私は混同されておるように思うのであります。私は、日本の自衛隊は、一切核武装しない、また、核兵器の持ち込みはこれを認めないということを申し上げておることは、一貫して少しも変わっておりません。ただ問題は、秋山長造君にお答えをした問題は、憲法解釈としての議論でございます。私が先ほど申し上げているのは、憲法核兵器というものを持ち込むこと及び核武装することを、一切憲法違反なりと今日申し上げているわけではございません。こういうものをしないということを私は申しておる。憲法解釈として考えるならば、自衛権というものを持っておって、その自衛権を裏づけるに必要な最小限度の実方しか憲法上し持てないのです。その自衛権の裏づけとして必要な最少限度のものをこえているものは、これは一切できないのであります。従って、今日言う原水爆のごとき、防衛の目的ではなしに、他国を攻撃する意図を持っておるようなものが持てないことは、自衛権という内容から見まして、これは当然憲法の解釈として問題ないわけです。ただ、名前が核兵器であり、核を用いているものは、核という名がつけば一切、憲法違反だというふうに憲法の解釈をすることは、正当でないということを申し上げたわけでございます。

社会党はどうだったのかなあ・・・。


補足3

日本共産党は1961年のソ連核実験に理解を示したことを都合が悪いので隠している、的な主張もあるようだが、「日本共産党の60年」には記載されているので別段隠す意図はないと思う。


付録

主要核保有国の核実験回数(臨界前核実験を含まない)*10

  • アメリカ:1030回(1992年を最後とする)
  • ソ連・ロシア:715回(1990年を最後とする)
  • イギリス:45回(1991年を最後とする)
  • フランス:210回(1996年を最後とする)
  • 中国:45回(1996年を最後とする)

ブクマに回答(2009/8/14)

id:dagama 核 『使用以前であれば宣言の存在は外交上の意味を持ちますから』宣言だけはしておいて、いざとなったら先制でぶっぱなせってことですか? 2009/08/13

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20090812/1250093629

まあ、実際はそうするかも知れませんね。
ただ現に使用していない状況では、中国は「先制核攻撃を行う用意がある」という外交上の威嚇は使えないわけです*11。その意味では中国は外交上の選択肢を減らし、その代わりに既存の核保有国に対する牽制を行っているわけです。そういう点で外交上の意味がある、と。これが重要。

id:fuldagap 国際 核の先制不使用というのは、陸続きの国との通常兵力バランスによるのかもなーとソ連・ロシアの不使用宣言・宣言撤回で思う。核保有ウスリー川以降だと中国の態度も変わったかもとか。(エントリ批判ではなく)

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20090812/1250093629

ロシアが不使用宣言を撤回したのは、EUとの通常戦力バランスが悪化したからだそうですから、その通りでしょう。保有時期によって中国の態度が変わっていた、というのもあり得る話だと思います。

id:tano13 中国, 軍事 へー。まあでもだからって絶対安全とは言えないよな。自衛隊だってよそから見れば立派な軍隊なんだし、「9条があるから安心して下さい」って言ってもなかなか信じてもらえんだろう 2009/08/13

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20090812/1250093629

実際、9条があるからと言っても完全に信頼されているわけじゃないのは現状からわかりますからその通りでしょう。核兵器の危険から「絶対安全」になりたいのなら、核廃絶しかないわけですが、全ての核保有国が先制不使用宣言をするように働きかけるのはそのための第一歩とも言えますね。


id:big_song_bird はてなサヨク, これはひどい 「この宣言を見る限り、本来、日本が中国の核兵器をことさら警戒する必要はないわけです」ここは笑うところですか?攻撃の理由など、後付でなんとでも言える。日中戦争ベトナム戦争のきっかけは何だったかなぁ?

id:torin 軍事 "宣言を見る限り、本来、日本が中国の核兵器をことさら警戒する必要はない"何を言っているんだ…/そもそも中国は他国への核供与における先進国なんですが

id:m-matsuoka 軍事, 国際, これはひどい 中国国内の核管理の実態が不明な以上、宣言を信じるのは危険。通常兵器の管理だって怪しいのに。

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20090812/1250093629

まあ、宣言は所詮宣言ですから、実際に戦争になったら履行されるかどうか保障の限りじゃありませんわな。重要なのは、戦争になる以前の外交上での話。
どうも、戦争になった場合の話をしたい人が多いようですが、戦争にならないような外交努力についても、もう少し熱心に考えてほしいものです。

「そもそも中国は他国への核供与における先進国」てのは、よくわかりません。具体的な指摘をソース付で希望。

id:saloth_sar 当時の中共政府が米ソの核抑止戦略をどれだけ把握していたかは知らないが、1964年の時点では概ね大量報復戦略は時代遅れと認識されていたわけで、特段画期的では無いと思う。戦術核も持っていないわけだし。

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20090812/1250093629

意味がよくわからない。確かに1964年はアメリカが柔軟反応戦略から確証破壊戦略に移行しつつあった時期で大量報復戦略から脱却している*12が、そういう話をしているわけでもなく*13、中国による核兵器先制不使用を画期的と評価しているわけでもないのだが。
単に、中国は核兵器先制不使用を宣言しているが、他の国は宣言していない、という指摘。

id:itochan 核 戦争しないで外交してる分にはまあ 2009/08/13

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20090812/1250093629

戦争しないで外交している時点での話ですよ。そこに気づいて頂けただけで十分です。
なぜか、戦争になった場合の話ばかりする人が多いのでねぇ。「宣言を信じるのは危険」なんて公言してたら外交はできません。信じてる振りくらいはしないとね。


id:GoldExperience 「中国の核は綺麗な核」を否定しようと長文書いたら、「中国の核は綺麗な核」が正しい事が証明されたでござる 2009/08/13

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20090812/1250093629

単に、中国は核兵器先制不使用を宣言しているが、他の国は宣言していない、という話なのに、そう読めるのか、ふーん。

id:youtone はあ。これだからはてな左翼は…。ここまで中国寄りだとかありえねーーーー。これはむしろ右翼による左翼のイメージダウンキャンペーンとしか思えない。

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20090812/1250093629

事実を書いただけでこのような反応とは・・・。




もう少し深い話

”宣言は信用できない”的な単純なコメント*14が多いのですが、もう少し深く考えてみた方が面白いですよ。

例えば、「在日米軍が中国に対し先制核攻撃をした場合、中国が日本国内の米軍に対する核報復を行うのは、核兵器先制不使用宣言に抵触するのか?」とか。
答えは私も知りません。調べてません。誰か教えて。


追記2009/9/3

別途、エントリーをあげてますが、核保有国としてはインドも、先制不使用の宣言をしていました。
中国はNPT体制での核保有国中、唯一の先制不使用宣言国に訂正します*15

*1:この記事に予想外に多くのブクマがついたのでちょっと驚きました。ネット上で直接見に行けばわかる情報ばかりだったし、それほど調べこみはしなかったので・・・。役に立てたのであれば望外の喜びです。

*2:米英仏ソ中

*3:原爆実験についての官房長官談話(1964/10/17) http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/JPCH/19641017.S1J.html

*4:ソ連・ロシアは一時期、核兵器先制不使用を宣言していましたが、撤回しています。アメリカでは、カーター大統領が似たような宣言をしたことがありますが、通常兵器による攻撃でも核兵器による反撃を否定しない不十分な内容です。http://blog.goo.ne.jp/ryuzou42/e/fcd310774e2fd033fe120d8baf550e80

*5:また、中国人民解放軍内部でも、この核兵器先制不使用宣言を撤回すべきとの意見があります。

*6:http://blogs.yahoo.co.jp/nanamama946/58721413.html アメリカに核兵器先制不使用を求めようという動きに対して「しかし、日本が言える立場かね。中国への内政干渉はしなくてもアメリカには言えるわけね。」とか言ってます。多分、中国が核兵器先制不使用宣言していることを知らないのでしょう。

*7:「核攻撃を辞さない」が威嚇であることは言うまでもないでしょう。宣言はその威嚇という選択肢の放棄でもあります。

*8:「前衛」62年10月号所収「2つの平和大会と修正主義理論」上田耕一郎 http://www.geocities.co.jp/WallStreet/7903/stalin/ussr/ueda.htm

*9:アメリカが亡命キューバ人部隊を使ってカストロ政権転覆を企てた事件

*10:http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/peace/japanese/abolish/trend.html

*11:威嚇した途端に非難の的でしょう。

*12:スプートニク・ショックに負うところが大きい。

*13:これらの核戦略は、どちらかといえば、アメリカの対ソ戦略に限定される話。

*14:それって、外交放棄の態度丸出しなだけでしょうが・・・。1938年1月の近衛声明と同レベルかそれ以下だよ。

*15:NATOやロシアが最近、宣言した事実があるようならご指摘ください。