この記述で「通州事件」をどうやって教えるのだろう?

通州事件を記載した教科書が出たということでネトウヨらは大喜びしていましたが、

反日的な記述残り  ロシア革命も肯定的
2011.3.30 21:31 (2/3ページ)
 一方、「1937年7月末には、北京東方の通州で、200人の民間日本人が親日政権の兵隊に惨殺される、通州事件がおこった」(自由社)と、日本側の民間人被害を加えた教科書もある。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/110330/edc11033021330011-n2.htm

正直言って、この記述を授業でどう説明するのかよくわかりません。
親日政権」ではなく「傀儡政権」の方が適切だとは思いますが、事実関係としては間違ってません。ただ、「民間日本人が親日政権の兵隊に惨殺される」とだけ読んでも、意味がわからないのではないか、と思うんですよね。まじめにこの記述を読んだ学生はまず「なんで親日政権の兵隊が日本人を殺したの?」と疑問に思うでしょう。
この前段にあるであろう盧溝橋事件からの流れで、親日政権でさえ日本の侵攻に立ち向かった、とも解釈できます。その解釈は産経やネトウヨにとっては望ましくないはずですよね。
通州事件(1937/7/29)に日本人が怒り、中国と戦争した、と言う解釈も、既に盧溝橋事件(1937/7/7)から戦争が始まっていますから、そういう解釈も難しいはずです。

産経やネトウヨにとっては、”中国人は異常だから日本人を見境なく殺した”と生徒に思って欲しいはずでしょうから、そのように生徒を誘導するためには、盧溝橋事件は中共あるいはコミンテルンの陰謀説を持ち出したり、日中戦争は第二次上海事変(1937/8/13)からと強弁したりしなければいけませんが、教科書以外の副読本を読めば、そのような陰謀説は破綻してしまいますからどうするつもりなのか。

まあ、もともと学校の授業を適当に受けるような生徒が大学生や社会人になった時、「通州事件で日本人が虐殺されたから止む無く日中戦争になった」というデマを繰り返し繰り返し、ネットや低俗メディアで流し続けて洗脳できればよい、くらいに思ってるのかもしれません。

そういえば、”真珠湾攻撃ルーズベルトは知っていた”という陰謀論や”ハルノートは事実上の宣戦布告”という俗論が結構普及していて日本軍の免罪に多用されている現状を見ると、”通州事件”もそのように利用できればよい、程度なのかもしれません。