ある種の人たちはどう動くのか

名古屋市長の河村たかし氏の政治家としての起点は、民社党春日一幸委員長の秘書からになります。「(現)民主党=(旧)社会党」というレベルのウヨ知識しか持たない人は知らないでしょうが、民社党と言えばかなりの右派政党*1春日一幸氏も反共右派と知られる政治家です*2
春日氏は1989年に死去し、冷戦終結後の政界再編で民社党は解党。その前後に河村氏は日本新党などに鞍替えしていますが、結局は民社党の吸収先である新進党に入り、民主党へと入ったのです*3

河村氏の経歴から見て、南京事件否定論がその口から語られるのは何の不思議もありません。

現実問題として公人による歴史修正主義発言が容認、黙認、放置されているのは、メディア、あるいは学会など専門家の責任と言うこともでき、一般人自身が興味を持っていないという意味での責任もあるでしょう。公人自身の歴史観に負うところも大きいでしょう。
しかし、個人的な意見ながら、それよりもさらに大きな問題として、政治家に対する影響力を持つ団体として反歴史修正主義を掲げる団体が少ない、というのがあると思っています。少なくとも、歴史修正主義を公然を標榜している団体に政治的に対抗しうる勢力では存在しないと言ってもいいでしょう。
もっとも、歴史修正主義を標榜する団体にしても、歴史修正主義によって一般の支持を得ているわけでもなく、どちらかと言えば一般人が持つ”漠然とした第二次大戦での被害者意識”がこれら歴史修正主義の跋扈を支えているわけですが。

ここまでは余談。

河村氏の持論は、南京事件否定論の中ではかなりレベルの低いものです。

河村氏による南京事件犠牲者侮辱発言は、史実派によって当然のように批判されていますが、私個人としては、リアリストを自称する軍事クラスタ近辺がどの程度、この河村発言を批判するのかに若干の興味を抱いています。

”デマをデマと指摘する”人たちが、選択的にスルーするのかしないのか。
批判するとしてどの程度踏み込むのか。

さてどうなんでしょうね。

*1:母体は社会党ですが、アメリカからの工作資金を得て社会党内右派が結党した反共色の強い政党です。

*2:共産党公明党を糾弾するなど、今のネトウヨから見ればヒーロー的存在と言えます。

*3:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E6%9D%91%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%97