右翼と共同親権推進の悪魔合体を回避した件

自民党民主党などの議員を含む、拉致問題を口実に北朝鮮敵視外交・在日朝鮮人差別を推進する連合*1の人たちが、アメリカに拉致問題での協力を求めに行って、ハーグ条約に絡む離婚後の日本人親による子どもの拉致についての協力をアメリカ側から求められ、日本側が逆ギレしたことについて以前書きました。

外交的には「問題の構造は違うが、愛する子供や家族と引き離される悲しみはよくわかる。家族のためにお互い協力しよう」とでも言えば、満点の結果だったはずですが、オレはお前に協力しないが、お前はオレに協力しろ、という傲慢さ溢れるこの上なく痛い対応をしてきたわけですね。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20120508/1336497755

拉致問題に関するアメリカ側の積極的な支持と協力を得たいのであれば、少なくともハーグ条約問題に関して前向きに取り組む、とでも言っておくべきでした。どうせ舌を何枚も持っている人たちなのですし、ハーグ条約に直接関るわけでもないのですから。
この件に関して、TBを頂いたたんぽぽさんもこのように述べています。

アメリカが拉致問題の解決と平行して、共同親権問題の解決をすることを、提示してきたとき、ハーグ条約共同親権が、ミギミギしい問題となるのかと、わたしはちょっと思ったのでした。
今回の拉致問題の訪米団の態度を見るかぎり、そうしたことはなさそうです。

http://taraxacum.seesaa.net/article/270788020.html

私も同じような感想を抱きました。

ハーグ条約に最も強く反対しているのは女権団体です。日弁連もその影響を強く受けています。上記、排外差別推進連合にとっては、女権団体も日弁連も本来反りの合う相手ではありません。日本国内の離婚における子供の連れ去り問題でも、被害を受けるのは多くは父親であるため、母親同居親による人質調停や虚偽DVの訴えなどに対して著しく同居親に甘い対応をしてきた司法に対する訴えは自然、反フェミニズム的な傾向を内包しています。
そういう点で、排外右翼と共同親権・ハーグ推進派との共闘はありえるかもと考えたわけですが、実際にはそうなりませんでした。原因としては、共同親権が右翼のパラダイムに受け入れられなかったという点が考えられそうですが、検討課題ですね。


ちなみに、共同親権ではなく共同養育に関しては、歴史修正主義者の下村博文自民党議員が積極的です。

「実現しよう!離婚後の共同養育」に出席
公開日: 2010年9月26日 | 投稿者: 下村博文
 全国ネットワーク主催で中央大学キャンパスにおいて集会があった。毎年25万組の夫婦が離婚し、そのうち60%に未成年の子供がいる。そしてその65%は非親権者となった片方の親と面会が出来なくなっている。このようなことから、子供に会えなくなった親が子供との面会交流や共同養育を求めるために全国ネットワークの集会を開いた。
 離婚を促進させるようなことはあってはならないが、夫婦は別れれば赤の他人だが、親子は永遠に血のつながった親子である。少なくとも子供が成人するまでは、別れた親であっても子どもを養育することを義務とするべきであるし、また親子面談を実現することが、子供の養育や教育の立場から私は必要なことだと考える。会の終わりに「離婚後の共同養育を求める」声明が発表されそれを受理した。
 すでに4月には、法務委員会でこの問題を取り上げたが、これからも孤立化・孤独化する社会への対応策として、子どもの立場から親子の絆を深める法改正を求めていきたいと考えている。尚、このような観点から選択的夫婦別姓は親子別姓でもあり、この法律案についても付言した。

http://hakubun.jp/tag/%E9%9D%A2%E4%BC%9A%E4%BA%A4%E6%B5%81/

下村氏自身、父親を交通事故で亡くし片親家庭で育っていますので、家庭問題に関しては積極的な議員と言えます。
離婚後同居親により子供と引き離されている別居親に対して、共産党社民党が積極的な救済に動いている様子は伺えません。いずれも女権団体や日弁連の側に立つ傾向からと言えますが、その結果、引き離しにあっている別居親は、下村氏などの自民党議員に頼らざるを得ません。
しかし、その自民党自身、ハーグ条約共同親権には積極的とは言えません。右翼の国家観は、天皇を頂点とし、臣を兄、民を赤子とみなし統治するのが基本で、国家を構成する細胞である家族についても、同様の戸主を頂点とし、妻子を統治する、という構造になっています。共同親権はこの構造に当てはまらないため、右翼にとっては忌避すべき対象となっているようです*2

*1:「家族会」、「救う会」、「拉致議連」と自称。

*2:夫婦別姓もこのために忌避されている感じですね。