人種差別撤廃委員会の最終見解(2010年3月)

2010年2月15日〜3月12日の国連人種差別撤廃委員会の報告書の外務省による日本語訳。

1.委員会は、2010年2月24日及び25日に開催された第1988回及び第1989回会合(CERD/C/SR.1988 及びCERD/C/SR.1989)において、日本の第3〜6回報告(CERD/C/JPN/3-6)を審査した。2 0 1 0 年3 月9 日に開催された第2 0 0 4 回及び第2 0 0 5 回会合(CERD/C/SR.2004 及びCERD/C/SR.2005)において、下記の最終見解を採択した。
(略)

C.関心事項及び勧告
(略)

13.締約国による説明に留意するとともに、委員会は、締約国の本条約第4条(a)及び(b)への留保について懸念する。また、在日韓国・朝鮮学校(Korean schools)に通う生徒を含むグループに対する不適切で下品な言動、及び、インターネット上での、特に部落民に対して向けられた有害で人種主義的な表現や攻撃という事象が継続的に起きていることに懸念をもって留意する(第4条(a)及び(b))。

委員会は、人種的優越や嫌悪に基づく思想の流布を禁止することは、意見や表現の自由と整合するものであるという意見を再度表明し、この点において、本条約第4条(a)及び(b)への留保の維持の必要性を、留保の範囲の縮小及びできれば留保の撤回を視野に入れて、検証することを慫慂する。委員会は、表現の自由の権利を行使することは、特別な義務と責任、特に人種主義的思想を流布しない義務が伴うことを喚起し、本条約の規定が自動執行力のない性格のものであることに鑑みれば、第4条は義務的性質があるとする一般的勧告7(1985 年)及び一般的勧告15(1993年)を考慮することを改めて要請する。委員会は締約国に以下を勧告する。

(a) 本条約第4条の差別を禁止する規定を完全に実施するための法律の欠如を是正すること。
(b) 憎悪的及び人種差別的表明に対処する追加的な措置、とりわけ、それらを捜査し関係者を処罰する取組を促進することを含めて、関連する憲法民法、刑法の規定を効果的に実施することを確保すること。
(c) 人種主義的思想の流布に対する注意・啓発キャンペーンを更に行い、インターネット上の憎悪発言や人種差別的プロパガンダを含む人種差別を動機とする違反を防ぐこと

(略)

22.委員会は、バイリンガル相談員や7言語による就学ガイドブックといった締約国による少数グループへの教育を促進する努力に評価をもって留意する。しかしながら、教育制度における人種差別克服のための具体的施策の実施に関する情報が欠如していることを遺憾に思う。さらに、委員会は以下の事項を含め、子どもの教育に差別的な影響を及ぼす行為について懸念を表明する:

(略)

(e) 締約国において現在国会にて提案されている公立及び私立の高校、専修学校(technical colleges )並びに高校に相当する課程を置く多様な機関の授業料を無償とする法制度変更において、北朝鮮の学校を除外することを示唆する複数の政治家の姿勢(第2条及び第5条)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/pdfs/saishu3-6.pdf

政府が率先して民族差別を推進している安倍自公政権では、まったく改善が期待できません。
高校無償化から「北朝鮮の学校を除外することを示唆する」どころか、文部科学大臣が明言し、大手メディアがそれに賛同するという官民ともに救い難い人種的偏見に染め上げられている現状では今後数年〜10数年は難しいでしょうね。
残念なことです。