中国の通貨スワップ外交(2013年6月)

とりあえず現状。

合意日 相手 スワップ 期間 円相当額*1
2008年12月12日 韓国 1800億元/38兆ウォン 3年 2.88兆円
2009年1月20日 香港 2000億元/2270億香港ドル 3年 3.2兆円
2009年2月8日 マレーシア 800億元/400億リンギット 3年 1.28兆円
2009年3月11日 ベラルーシ 200億元 3年 3200億円
2009年3月23日 インドネシア 1000億元/175兆インドネシアルピア 3年 1.6兆円
2009年3月29日 アルゼンチン 700億元/380億アルゼンチンペソ 3年 1.12兆円
2010年6月10日 アイスランド 35億元 3年 560億円
2010年7月23日 シンガポール 1500億元/300億シンガポールドル 3年 2.4兆円
2011年4月18日 ニュージーランド 250億元 3年 4000億円
2011年4月19日 ウズベキスタン 7億元 3年 112億円
2011年5月6日 モンゴル 50億元 3年 800億円
2011年6月13日 カザフスタン 70億元 3年 1.12兆円
2011年10月21日 韓国(拡大) 3600億元/64兆ウォン 3年 5.76兆円
2011年12月22日 タイ 700億元/3200億バーツ 3年 1.12兆円
2011年12月23日 パキスタン 100億元/1400億パキスタンルピー 3年 1600億円
2012年1月17日 UAE 350億元/200億ディルハム 3年 5600億円
2012年2月8日 マレーシア(拡大) 1800億元 3年 2.88兆円
2012年2月21日 トルコ 100億元 3年 1600億円
2012年3月20日 モンゴル(拡大) 100億元/2兆トゥグルグ 3年 1600億円
2012年3月22日 オーストラリア 2000億元/300億豪ドル 3年 3.2兆円
2012年6月26日 ウクライナ   150億元/190億グリブナ 3年 2400億円
2013年3月26日 ブラジル    1900億元/600億レアル 3年 3.04兆円
2013年6月22日 イギリス    2000億元/200億ポンド*2 3年 3.2兆円
2013年6月27日 韓国(延長)*3 3600億元/64兆ウォン*4 3年 5.76兆円


次はフランスかな?という状況です。

フランス、中国と通貨スワップ協定締結に向け協議 数日以内に合意の見通し=大統領
2013年 06月 26日 02:16 JST
[パリ 25日 ロイター] - フランスのオランド大統領は25日、中国と通貨スワップ協定の締結に向けて取り組んでいることを明らかにした。
オランド大統領は財界人との会合で「フランスは、人民元の国際化で主要な役割を果たす用意がある」と表明。「数日以内にフランス銀行(中央銀行)と中国人民銀行(中銀)が通貨スワップ協定で合意する見通しだ。欧州中央銀行(ECB)との協議も進んでいる」と述べた。
フランス銀行はこの件についてコメントを控えている。
イングランド銀行(英中銀)は22日、中国人民銀と通貨スワップ協定を結ぶことで合意したと発表した。中国が主要7カ国(G7)と通貨スワップ協定を結ぶのは英国が初めて。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0F13AB20130625

孤立に喜ぶ倒錯国家」などで何度も繰り返し言ってきましたが、通貨スワップ協定を相手国に対する“施し”と見なし、相手国から要望させるものとみなす「中華思想」に取り付かれている日本では、中国が各国相手に進めている通貨スワップ協定の意味が理解されないでしょうね。

韓中通貨交換協定を3年延長 2017年10月まで
聯合ニュース 6月27日(木)22時2分配信

【世宗聯合ニュース】韓国と中国が560億ドル(約5兆5000億円)相当の通貨交換(スワップ)協定の期限を3年延長した。
 中国を訪問中の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と習近平国家主席が27日の会談後に署名した「韓中未来ビジョン共同声明」によると、両国は2014年10月に終了する通貨交換協定の期限を2017年10月まで延長することで合意した。
 声明には、必要であれば通貨交換枠の規模も拡大できるとの内容が盛り込まれた。韓国政府関係者は「状況に応じて規模拡大もあり得るという内容であって、現時点ではいかなる交渉も進められていない」と明らかにした。
 韓中の通貨交換の規模は過去最高水準である上、1年以上残っている期限をさらに延長したことから、これまで以上に両国間の協力も強化されたと評価されている。
 韓中通貨交換協定の延長は、韓国と日本が来月3日に期限を迎える30億ドル分の通貨交換協定を延長しない方針を決めたこととは対照的だ。これについて、韓国が日本への経済依存度を下げる代わりに中国への依存度を拡大しているとの見方も出ている。
 韓国政府関係者は「日本との通貨交換協定は規模が大きくなく、現在の韓国経済の状況では必ずしも必要ではないとの判断に基づき延長しなかった。韓中通貨交換協定も急を要するものではないが、貿易促進などの目的が協定に新たに反映されたため延長の必要性があると判断した」と説明した。
 hjc@yna.co.kr
最終更新:6月27日(木)22時2分

はっきり言って排外差別意識に基づく尊大な日本は、韓国から敬遠されたと言えるでしょう。まあ、首相自体が差別主義者で、その差別主義者の首相を大勢の国民が支持している状況ですからねぇ。


もちろん、いかに差別意識に染まっているとは言え、金融の専門家まで通貨スワップ協定の意味を理解していないほど日本政府の官僚が低脳揃いというわけではありません。

また、日本とマレーシアは、今後、以下の項目について二国間協議を継続的に行っていくことで合意しました。
1.二国間スワップ取極の再締結を通じた、危機時における流動性供給の強化

http://www.mof.go.jp/international_policy/financial_cooperation_in_asia/bilateral_financial_cooperation/20130503_malaysia.htm

また、日本とシンガポールは、以下の項目について継続的に協議を行っていくことで合意しました。
I. 危機時における通貨・金融市場のセーフティネットの強化
A) 二国間スワップ取極の再締結。
B) 日本国債を担保とした、銀行へのシンガポール・ドル流動性供給の促進。

http://www.mof.go.jp/international_policy/financial_cooperation_in_asia/bilateral_financial_cooperation/20130503_singapore.htm

I.危機時における通貨・金融市場のセーフティネットの強化
− 二国間スワップ取極の再締結。

II.タイで事業展開する日系企業向けバーツ建て資金供給の促進
C)通貨スワップを利用した長期のバーツ建て融資の促進。
− 銀行間の通貨スワップに対するJBIC保証の供与。

http://www.mof.go.jp/international_policy/financial_cooperation_in_asia/bilateral_financial_cooperation/20130503_thailand.htm

このような形でマレーシア、シンガポール、タイとの二国間通貨スワップ協定を模索しています。特にタイでは「通貨スワップを利用した長期のバーツ建て融資」と言った中国型の通貨スワップ協定の利用を検討しています。

ですが、2008年から着実に進めた中国の通貨スワップ協定に比べて数年は遅れていると言えるでしょうし、日韓通貨スワップ協定で見せた日本の見苦しい態度が間違いなくマイナスに作用するでしょうね。

*1:2013年3月のレート、1元=16円で計算

*2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130624-00000045-scn-cn

*3:2014年10月終了予定を2017年10月まで延長

*4:http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2013/06/27/0500000000AJP20130627003800882.HTML