「嘘も100回言えば本当になる」を地でいく水間政憲氏

ジャーナリストと称する事実上の排外活動家の水間政憲氏です。
外交権のあった1899年の教科書に竹島は韓国領外と明記」という国内向けプロパガンダ記事を2013年7月19日にあげています。

まあ、そもそも日本政府は1877年時点で独島(竹島*1は「日本領にあらず」と明言していますし*2、1904年時点でも「韓国領地ノ疑アル莫荒タル一箇不毛ノ岩礁*3と認識していましたので、日本政府の「我が国は、遅くとも江戸時代初期にあたる17世紀半ばには、竹島の領有権を確立」*4という主張がデタラメであることに明らかです。日本が独島(竹島)を支配したのは、日本軍が大韓帝国を軍事占領していた1905年になってからであるに過ぎません。

さて、記事では以下のように記載されています。

 韓国が主張する竹島領有の根拠は、金大中元大統領が「1905年に日本が竹島の領有を閣議決定」したことに対して、「当時の韓国政府が何も問題提起をしなかったことを根拠に領有権を主張するのは、認めることができません。日露戦争当時のわが国は事実上、日本の支配下にあって反論できなかった」と、2005年5月23日に開催された東京大学主催のシンポジウムで述べたレトリックに集約される。
 これは、第一次日韓協約(1904年)、第二次日韓協約(1905年)によって保護国になり外交権を失っていたことを指摘した発言だが、その論拠は破綻している。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130719-00000003-pseven-kr

水間氏はレトリックと決め付けていますが、日本が領有権を宣言した1905年当時、韓国が日本軍占領下にあったことは事実ですから破綻しているとは言えません。

「大韓地誌」

 まだ外交権があった光武3年(1899年)に韓国で使用されていた教科書『大韓地誌』には、「わが大韓民国の位置はアジアの東部に在り、支那の東北部から日本海黄海渤海の間に突出した半島国で、北緯33度15分より42度25分に至り、東経124度30分より東経130度35分に至り…」と竹島の位置(東経131度52分)が韓国領外であることを明確に記述している。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130719-00000003-pseven-kr

「大韓地誌」は、水間氏に限らず韓国側の主張に反駁する際によく用いられています。引用文が「わが大韓民国」になっているのは水間氏の誤記でしょうが。
「大韓地誌」が韓国の独島(竹島)領有権主張に対する反駁になっているのは、「北緯33度15分より42度25分に至り、東経124度30分より東経130度35分」という記述で、この範囲内に独島(竹島)が存在しないからに他なりません。実際、独島(竹島)は、北緯37度15分、東経131度52分に位置しています。
しかし、「大韓地誌」記載の範囲にないから韓国領ではない、とするのはあまりに雑な主張です。
それは鬱陵島の位置を考慮するとよくわかります。鬱陵島は北緯37度30分 東経130度52分に位置しています。つまり鬱陵島も「大韓地誌」記載の範囲外に位置しているのです。言うまでも無く鬱陵島は韓国に属する島で「大韓地誌」以前から韓国の主権下にありました。もちろん日本政府も鬱陵島が日本領でないことは認めています*5

鬱陵島の例から明らかなように「大韓地誌」記載の経度緯度の範囲に含まれていないからといって、韓国がそれらを韓国領でないと宣言したことにはなりません。

「大韓地誌」の「北緯33度15分より42度25分に至り、東経124度30分より東経130度35分」というのは、中朝国境の東西端と済州島を含む南北端を示した程度の記述であって離島も含めた記述ではないと解釈するのが自然でしょう。


*1:ここでの地名表記は、実効支配している側の名称を主とし、施政権を持たない側の名称を括弧書きで示しています。

*2:http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20130215/1360949754

*3:http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20130221/1361401764

*4:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/g_ryoyu.html

*5:http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20130215/1360949754