適当な話

一応、TBが来てたので返しておきます*1

韓国人一般が日本閣僚の靖国参拝に反感を覚えるのは、そりゃ被害国だから当然の心情であっていちいち論理性を問う必要もありません。韓国は植民地支配を受けた被害者であり、靖国に合祀されているA級戦犯は植民地支配時代の日本人指導者の象徴的存在ですから。歴史や政治に詳しくない一般人がその程度の理解で反感を覚えても、別に不思議ではありませんし、不合理だとも言えません。少なくとも加害国から指摘するようなことではありません。
犯罪被害者が加害者の人格を全否定したとしても、加害者がそれを不当だと反論するのはまず倫理的に好ましく思われないのが普通です。まして、加害者が被害者を中傷するようなことをすれば、被害者の発言を言いすぎだと感じている第三者でさえ加害者の態度の方を問題視するでしょう。
以前の記事で取り上げた内容は、そういう問題です。

さて。

その以前の記事に対してTBでこう書かれています。

こんな酷い論法は久しぶりに見た。
そもそも東條が政治家として意思決定に深く関わったのは、日米開戦である。それから30年も前の日韓併合になど全く関与していない。
大体「A級戦犯」というのは、東京裁判で裁かれた被告の事を指す。東京裁判の管轄権の範囲は検察側の主張を採用しても1928年以降であり、1910年の日韓併合など争点になっていない。要するに「A級戦犯」と言う肩書きと日韓併合には何の関係も無いのだ。

http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20130822/1377176859

この人の認識では、日米開戦当時に韓国は日本に併合された状態では無かったことになっているのでしょうか。それとも、韓国併合の問題は併合したその時点だけの問題であり、それ以降のことは問題ではないと考えているのでしょうか。多分、自身の嫌韓感情を否定されたくないが故に深く考えられないだけでしょうね。

>朝鮮を植民地支配し、朝鮮人を「奴隷状態」にしていた責任者の一人がA級戦犯東条英機である以上、韓国が靖国問題に文句を言う理路は別に不思議でもなんでもありません。

要するに、韓国併合期間内に責任者(政治家)であったから文句を言われるのが当然なのだと言っているのだろうか?そんな理屈がまかり通るのなら、「A級戦犯」以外にも該当する責任者はいるはずで、その者達も非難の対象になるはずだ。「A級戦犯がいるから駄目」などという主張が根底から覆るでは無いか。

http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20130822/1377176859

併合期間内の政治責任者である以上、植民地にされている方から非難されるのは至極当然ですが何か?
武断政治から文化政治に転換した斎藤実が非難されるのは許せないとかならまだしも、皇民化政策で朝鮮の戦時動員を進めていった時期の首相では擁護する方に無理があります。
あと、「「A級戦犯」以外にも該当する責任者はいるはずで」という主張は、「A級戦犯がいるから駄目」などという主張を否定する根拠にはなりません。少し冷静になってほしいと思います。


しかし、カイロ宣言は中々興味深い。

>前記三大国ハ朝鮮ノ人民ノ奴隷状態ニ留意シ軈テ朝鮮ヲ自由且独立ノモノタラシムルノ決意ヲ有ス

カイロ宣言に関わった国とされるイギリスは、1905年の第二次日英同盟締結時に、「イギリスのインド植民地支配を日本が尊重する」代わりに「日本の朝鮮植民地支配を尊重する」という約束事を交わしている。要するにイギリスが日本の朝鮮支配にお墨付きを与えた事になる。1943年の時点でまだインドを支配していた状態のイギリスがどの面を下げてこんな宣言を出せるのかと言う話だ。

http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20130822/1377176859

この辺もこの人が言っていることを踏まえると色々と味わい深いですね。
韓国併合は当時の列強も認めてるじゃないか、と言わんばかりですが、その理屈を是とするなら、東京裁判においてパルの無罪論は採用されず、多数意見の方が当時のほぼ全世界に認められていることを受け入れるべきじゃないんですかね。
パル信者のこの人がどの面下げてこんなこと言うのかな、と言う話です。

*1:最近はこういう相手にこういう反論するのはあまり気が進まないのですけどね・・・。