報道が事実だとすれば解釈改憲も当面は実現しなさそうだけど・・・

集団的自衛権の解釈見直し、来夏に先送り
読売新聞 11月8日(金)3時6分配信
 政府は7日、年内に行うことを目指してきた集団的自衛権の行使を禁じる憲法解釈の見直しについて、来年夏に先送りする方針を固めた。
 複数の政府筋が明らかにした。見直しに慎重な公明党内閣法制局との調整が進んでおらず、時間をかける必要があると判断した。先送りにより、来年を想定してきた自衛隊法や周辺事態法などの改正は、2015年の通常国会までずれ込む見通しだ。
 政府の憲法解釈見直しのたたき台となる「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」(座長=柳井俊二・元駐米大使)の報告書の首相への提出も、来春以降に先送りする方向で調整する。
 安倍首相は憲法解釈見直しを安全保障政策立て直しの目玉と位置づけてきた。首相官邸側は安保法制懇での議論と並行して、内閣法制局との調整を進め、公明党に対しても、解釈見直しを受け入れるように水面下で求める方針だったが、内閣法制局との調整が進まず、解釈見直しに慎重な公明党との調整を年内に終えるのは困難だと判断した。
最終更新:11月8日(金)3時6分

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131107-00001505-yom-pol

参院選勝利の余勢を駆って、安倍政権は改憲解釈改憲をごり押ししてくると予想していましたので、ここに来て先送りというのは多少意外な感じがします。秋口あたりから改憲の見込みが薄くなって解釈改憲に主軸を移したようし、この報道だけで安心はできないかも知れませんが。来春になると消費増税が間近ですので、現実問題として改憲解釈改憲ができるような情勢ではなくなるでしょう*1。最悪の事態は当面回避できそうな見込みですね。

もっとも国内的には大丈夫でも、対外的な問題が発生する懸念は残っています。石原慎太郎元都知事による尖閣購入意思表示という政局的策謀をきっかけとして悪化した尖閣諸島での軍事的緊張が日中両軍の衝突を招いた場合、一気に改憲世論に進む危険性があります。
そして、この危険性は必ずしも偶発的あるいは中国側の意図的に発生するとは限りません。自衛隊側から中国軍に対して過剰に挑発行為を繰り返し暴発させる可能性やわざと事故を起こして中国側の仕業と主張する可能性だってあります。トンキン湾事件(1964)や柳条湖事件(1931)のような可能性です。このような事件が起きても、近々に成立するであろう特定秘密保護法により自衛隊側の問題行動が暴露されることはありません。
田母神氏はじめ腐るほどトンデモ極右論者を輩出している幹部自衛官に、極右思想や安倍政策に同調する現役自衛官が少なからずいるのは間違いないと見ていいでしょう。彼らが意図的に暴発を引き起こす可能性は高いとはいえないかも知れませんが、無視していいほども低くもないと考えます。
もし2014年前半に尖閣で日中武力衝突が発生すれば、民主主義国家としての日本終了のお知らせと見ていいように思います。もちろん、その時の日本国内では軍オタ・反中が大喜びするだけでなく、世論全体が安倍政権支持で熱狂するでしょうが。
かくて
This is how liberty dies. With thunderous applause.

*1:その意味では、野田前首相が解散前に仕掛けた爆弾が功を奏したと言えるかもしれません。