日本はポーランド、チェコスロバキア、インドネシアと戦争状態にあったという事実
ポーランド
ポーランドは1939年9月にドイツとソ連の侵攻を受けて、ポーランドの国土はドイツに併合されるかポーランド総督府による支配を受けることになりました。亡命政権は存在しましたが、独立を回復するのはドイツ降伏後の1945年7月になってからです。とは言え、ロンドンにあったポーランド亡命政権が1941年12月11日に対日宣戦布告しており*1、形式上は日米戦争の期間中、亡命政権期を含むポーランドと日本は戦争状態にあったわけです。しかしながら「事実問題としては両国の間に戦争行為はなんら存しなかつた」*2というのが、日本側の見解です。
にも拘らず、1957年に交わした「日本国とポーランド人民共和国との間の国交回復に関する協定」では第一条に「日本国とポーランド人民共和国との間の戦争状態は、この協定が効力を生ずる日に終了する」と書かれました。
事実としての戦争行為はなく、日本が認めていない亡命政権による宣戦布告であるにも拘らず、日本とポーランドの間には戦争があったと日本政府は認めたわけです。
チェコスロバキア
チェコスロバキアは1938年3月にドイツに占領され保護領・保護国となりました。亡命政権は存在しましたが、英米は1942年頃まで亡命政権の承認を渋ります。独立を回復するのはポーランドと同じく1945年になってからです。亡命政権による対日宣戦布告は1941年12月になされていますが、やはり「事実問題としては両国の間に戦争状態はなんら存しなかつた」*3というのが、日本側の見解です。
にも拘らず、1957年に交わした「日本国とチェッコスロヴァキア共和国との間の国交回復に関する議定書」では第一条に「日本国とチェッコスロヴァキア共和国との間の戦争状態は、この議定書が効力を生ずる日に終了する」と書かれました。
事実としての戦争行為はなく、日本が認めていない亡命政権による宣戦布告であるにも拘らず、日本とチェコスロバキアの間には戦争があったと日本政府は認めたわけです。
もっとも、ポーランドもチェコスロバキアも日本敗戦以前に独立を回復していますので、独立国として存在した1945年だけについて戦争状態を認めるという詭弁もないではないでしょう。
インドネシア
インドネシアは1942年の日本軍侵攻までオランドオランダの植民地でした。日本軍が侵攻してくると形式上の独立すら認められることなく日本敗戦まで占領下におかれます。インドネシアが独立するのは、日本敗戦後の1945年8月17日です。
言うまでもなく、インドネシアという国家が日本と戦争状態になったわけじゃありません。にも拘らず、1958年1月20日に交わした日本国とインドネシア共和国との間の平和条約には、第一条に「日本国とインドネシア共和国との間の戦争状態は、この条約が効力を生ずる日に終了する」と書かれました。
そして、第四条で、「戦争中に日本国が与えた損害及び苦痛を償うためインドネシア共和国に賠償を支払う」としています。戦争中には存在していなかった国家に対する賠償をしているわけです。
第四条
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1958/s33-shiryou-001.htm
1 日本国は、戦争中に日本国が与えた損害及び苦痛を償うためインドネシア共和国に賠償を支払う用意がある。しかし、日本国が存立可能な経済を維持すべきものとすれば、日本国の資源は、戦争中に日本国がインドネシア共和国その他の国に与えたすべての損害及び苦痛に対し完全な賠償を行い、かつ、同時に日本国の他の債務を履行するためには十分でないことが承認される。
もちろん別に1945年8月17日以降を戦争状態と捉えているわけじゃありません。
第五条
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1958/s33-shiryou-001.htm
2 前記の放棄には、千九百三十九年九月一日から千九百四十五年九月二日までの間に日本の船舶に関して旧オランダ領東インド又はインドネシア共和国が執つた行動から生じた請求権並びに旧オランダ領東インド又はインドネシア共和国の手中にあつた日本人の捕虜及び被抑留者に関して生じた請求権及び債権が含まれる。
「枢軸国」として
チェコスロバキアはドイツに占領された後、分割され保護国とされたスロバキアの軍隊がナチスドイツに協力してポーランド侵攻に参加しています。
占領下インドネシアでは、多数のインドネシア人が日本軍の補助兵力である兵補として編成されました。
「韓国の人々は自分たちが枢軸国側の一員だったことを忘れないでほしい」とか「韓国の建国神話は日韓関係を将来にわたって傷づける。日本は韓国と戦った歴史などないと考えている。韓国は戦時中作られた大韓民国臨時政府が日本と戦ったと歴史づける。双方とも歴史に固執すれば友好が阻まれるだけ」とか、韓国に対する差別感情に染まっている連中にとっては、韓国の場合だけは許せないのでしょうけどね。
