捏造記者・阿比留瑠比氏がまた嘘。バッシングをやめるよう書いてというお願いに対して、バッシングを助長する記事で答える

植村氏の記者会見において、自らも質問*1を行った江川氏が以下のようなツイートをしていました。

Shoko Egawa @amneris84
司法クラブ会見は、隣が産経の阿比留氏。会見後、「植村さんの娘さんや学校へのバッシングは、慰安婦問題の議論をしたい皆さん方にも障害になりませんか」とお尋ねしたら、「迷惑です」と。「ならば、阿比留さんの筆で、そういう卑劣なことはやめろと書いて下さい」とお願いしたら、「分かりました」と 2015年1月9日 19:11

http://b.hatena.ne.jp/entry/twitter.com/amneris84/status/553494381982793728

菅政権や辻元氏に対して取材も裏付けもなしにデマをばら撒き、民事訴訟で敗訴したような捏造記者である阿比留氏にこのようなお願いをしなければならない社会と言うこと自体、市民社会の末期症状と言えますね。そもそも、1990年代以降、産経新聞がどれほど韓国差別を助長するヘイト記事を書き、歴史修正主義や偏った政治思想を「報道」と偽装して垂れ流してきたかを考えると、このような新聞の記者が、その場にいること自体が異常と言えるでしょう。
まあ、それでも、右翼やネトウヨ産経新聞の主たる読者に対し(これまで産経新聞が煽ってきた)卑劣な言動を慎むよう記事に掲載するのは、ヤクザの親分が三下をたしなめる程度の効果を期待することは出来たかも知れません。

ですが、阿比留氏がこれを受けて書いたを思われる記事がこれです。

慰安婦記事の疑惑拭えず 裁判戦術も疑問 元朝日記者の文芸春秋など提訴

産経新聞 1月9日(金)18時54分配信
 文芸春秋と東京基督教大の西岡力教授を提訴した元朝日新聞記者、植村隆氏は9日の記者会見で「生存権」という言葉も使ってこう被害を訴えた。
 「名誉回復、人生の再生のために戦っていきたい。私は捏造(ねつぞう)記者ではない」
 確かに、嫌がらせや脅迫が勤務先の大学や植村氏の家族にまで及んでいる現状は看過できず、断じて許されない。ただ、この日の記者会見でも、肝心の植村氏が批判を受ける原因となった記事に関しては、説明は尽くされなかった。
 例えば植村氏は平成3年8月11日付朝日新聞朝刊の記事で、匿名の韓国人元慰安婦の証言テープをもとに「『女子挺身(ていしん)隊』の名で戦場に連行され」と書いた。
 この記事の慰安婦と勤労動員によって工場などで働いた女子挺身隊との混同と、「戦場に連行」という強制連行を連想する表現とが後に問題化し、「捏造ではないか」と疑問視されるに至った。
 ところが植村氏は、記者会見で「テープで『挺身隊』と聞いたのか」と問うても、「定かでない」との答えだった。その上で、当時は韓国で挺身隊と慰安婦が同一視されていたことを繰り返し主張し、「自分にも同様の認識があった」と述べたが、テープにない言葉を恣意(しい)的に付け加えたとの疑惑は拭えない。
 植村氏は月刊誌「世界」2月号で「暴力的に拉致する類の強制連行ではないと認識していた」と書いている。記者会見でも「記事には『だまされて慰安婦にされた』と書いている」と強調し、自身は強制連行とは書いていないと訴えた。
 この問題をめぐっては、昨年12月に朝日新聞の第三者委員会が公表した報告書も「安易かつ不用意な記載」「『だまされた』と『連行』とは両立しない」と厳しく批判している。
 報告書の指摘について植村氏にただすと、「(第三者委から)注文はついている。確かに今となってはもうちょっと(丁寧に)書いておけばよかったなあ。そのくらいの話だ」との反応で反省は示さなかった。
 「私は言論人、活字の人だから、まず活字(月刊誌などに発表する論文)で説明しようと思った」
 植村氏は、これまでインタビュー取材を受けるメディアを選別してきた理由についてこう語った。一方で代理人の神原元(はじめ)弁護士は「これから170人の代理人が、(植村氏を捏造記者と呼んだ)その他の人々も順次訴えていく」と今後の裁判戦術を明らかにした。
 言論人であるならば、こうした大規模な裁判闘争に出る前に西岡氏と堂々と論戦したり、産経新聞などの取材を受けたりして、自らの言論で白黒を決めるべきではなかったかと疑問に思う。(阿比留瑠比)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150109-00000560-san-soci

たった一文「確かに、嫌がらせや脅迫が勤務先の大学や植村氏の家族にまで及んでいる現状は看過できず、断じて許されない。」と申し訳程度に書いただけで、後はこれまで通り、植村氏に対する個人攻撃を煽る記事になっています。
阿比留氏が煽った内容を受けて、コメント欄にはこのように植村氏に対するバッシングを正当化する意見がついています。

swi*****| (2015/01/09 19:11)
「そのくらいの話だ」
植村氏にとっては、これが全てなんでしょうね。
自身の名誉棄損については声高に主張するけど、
日本の名誉を傷つけたことについては、「そのくらいの話だ」と。
許せないよ、この人。

mak*****| 2日前(2015/01/09 21:00)
自身の書いた記事だし責任は本人に有ると思うよ
今の状況のようになることも予測できた上で
表現の自由を貫いたわけだし。
今まで強い立場から散々バッシングしておいて
自分がバッシングされる事を許さないなどと
都合の良い事が通るわけ無いでしょう

江川氏が「阿比留さんの筆で、そういう卑劣なことはやめろと書いて下さい」とお願いした結果書かれた記事に対する反応がこれですが、これに対して江川氏の感想をできれば聞きたいものです。阿比留氏の記事は「卑劣なことはやめろ」と書いているのに、上記コメント書いているネット民がおかしいという理解なのか、そもそも阿比留記事自体が上記のような反応を誘発させるような煽動性を持っていたと言う理解なのか。
私はどう見ても、阿比留記事は煽動を目的としたもので、後のエクスキューズとして申し訳程度の一文をつけただけだと思いますが。

阿比留氏が、未だに植村記事を「「捏造ではないか」と疑問視され」て当然かのように書くこと自体、捏造に加担する行為

植村記事に問題があるとすれば、「挺身隊」と「慰安婦」の混同くらいのものですが、当時韓国内で慰安婦のことを「女子挺身隊」あるいは「挺身隊」と呼んでいたと記者会見で説明しています。

私の記事は、リードで「女子挺身隊」という言葉を使いました。当時、韓国では慰安婦のことを「女子挺身隊」あるいは「挺身隊」という言葉で表現しておりました。

http://blogos.com/article/103130/?p=1

このことはこれまで何度も何度も指摘されています。
2014年8月5日に朝日新聞は「「挺身隊」との混同 当時は研究が乏しく同一視」とそれだけでひとつの記事を挙げて説明しています。

記者が参考文献の一つとした「朝鮮を知る事典」(平凡社、86年初版)は、慰安婦について「43年からは〈女子挺身隊〉の名の下に、約20万の朝鮮人女性が労務動員され、そのうち若くて未婚の5万〜7万人が慰安婦にされた」と説明した。執筆者で朝鮮近代史研究者の宮田節子さんは「慰安婦の研究者は見あたらず、既刊の文献を引用するほかなかった」と振り返る。

http://www.asahi.com/articles/ASG7M01HKG7LUTIL067.html

朝鮮で「挺身隊」という語を「慰安婦」の意味で使う事例は、46年の新聞記事にもみられる。44年7月に閣議決定された朝鮮総督府官制改正の説明資料には、未婚の女性が徴用で慰安婦にされるという「荒唐無稽なる流言」が拡散しているとの記述がある。

http://www.asahi.com/articles/ASG7M01HKG7LUTIL067.html

第三者委員会の検証でさえ、当時韓国内で慰安婦のことを「女子挺身隊」あるいは「挺身隊」と呼んでいたことを事実認定としては認めざるを得ませんでした。

(2)国内メディアの報道状況
国内における初期の報道では、朝日新聞以外の報道機関においても、慰安婦と挺身隊を混同して報じた記事が存在する。
(略)
オ 「『挺身隊』との混同」の項目について
a 挺身隊や慰安婦については、1990年代初頭ころまで、韓国でも日本でも研究が乏しく、書籍等の出版物における慰安婦や挺身隊の人数についての説明もさまざまであり、当時実態が正確に把握されていなかった。
(略)
1980年代当時の韓国においては、「挺身隊」がほぼそのまま「慰安婦」を指す言葉として用いられていた。
(略)
1991年から1992年ころにかけ、急速に「挺身隊」と「慰安婦」の相違が意識されるようになるまでは、両者を混同した不明確な表現が朝日新聞に限らず多く見られたという実態があったことは事実であると解され、2014年検証記事の記載に誤りがあるとは言えない。

http://www.asahi.com/shimbun/3rd/2014122201.pdf

植村記事が書かれた当時において、「挺身隊」と「慰安婦」が混同されたのは当時知られていた情報からやむをえないことであり、それを後知恵で“誤り”だとか“捏造”だとか非難するのであれば、STAP細胞や佐村河内氏をもてはやして報道した記者・メディアは全て捏造記者・捏造メディアということになるでしょう。
しかも、STAP細胞や佐村河内氏*2の問題に関していえば、当時誤報したことについて、どのメディアも訂正も謝罪もしていません。メディアが誤報の訂正や謝罪の代わりにやっているのは、小保方氏や佐村河内氏に対する個人攻撃ばかりです。
日本のメディアは、誤報の訂正・謝罪よりも、責任を他者になすりつけバッシングするという手段の方が効果的だということですし、視聴者もそのレベルに留まっているわけです。

阿比留記者による植村氏に対する個人攻撃を煽動する記述

 例えば植村氏は平成3年8月11日付朝日新聞朝刊の記事で、匿名の韓国人元慰安婦の証言テープをもとに「『女子挺身(ていしん)隊』の名で戦場に連行され」と書いた。
 この記事の慰安婦と勤労動員によって工場などで働いた女子挺身隊との混同と、「戦場に連行」という強制連行を連想する表現とが後に問題化し、「捏造ではないか」と疑問視されるに至った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150109-00000560-san-soci

上に書いたとおり、1991年時点において慰安婦と挺身隊を混同したことに瑕疵があったとはいえず、これにつていは何度も指摘されているにも拘らず、それを無視して植村氏の責任を問うなど後知恵での中傷行為に他なりません。

 ところが植村氏は、記者会見で「テープで『挺身隊』と聞いたのか」と問うても、「定かでない」との答えだった。その上で、当時は韓国で挺身隊と慰安婦が同一視されていたことを繰り返し主張し、「自分にも同様の認識があった」と述べたが、テープにない言葉を恣意(しい)的に付け加えたとの疑惑は拭えない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150109-00000560-san-soci

当時韓国内で慰安婦のことを「女子挺身隊」あるいは「挺身隊」と呼んでいたと説明されているにもかかわらず、阿比留氏は植村氏に対して「恣意的に付け加えたとの疑惑」があるとあくまでも植村氏に対する右翼による個人攻撃を煽動する記述を繰り返しています。

「だまされた」と「連行」が両立しないのなら、「だまされた」と「拉致」は両立するのか

これは第三者委員会の検証報告に対する指摘でもありますが、日本国内においては直接的な暴力を用いた連れ去りのみを「強制連行」と呼ぶことが多いのに対し、韓国内では詐欺などだまされた場合も「強制連行」と呼ぶという違いを踏まえていないいい加減な認識が、慰安婦問題において特に日本の論者に良く見られるのは問題です。
まして「強制連行」ではなく「連行」と書いただけでも、“強制連行を連想させる”などという理由で「『だまされた』と『連行』とは両立しない」などと指摘されることなど異常としか言えません。

だまされて北朝鮮に連れて行かれた被害者を「拉致」被害者と呼ぶことには全く躊躇しないにも拘らず、だまされて日本軍慰安所に連れて行かれた被害者を「強制連行」被害者と呼ぶことには異常に厳しい定義を当てはめる行為は、ダブルスタンダード以外の何者でもないでしょう。

 植村氏は月刊誌「世界」2月号で「暴力的に拉致する類の強制連行ではないと認識していた」と書いている。記者会見でも「記事には『だまされて慰安婦にされた』と書いている」と強調し、自身は強制連行とは書いていないと訴えた。
 この問題をめぐっては、昨年12月に朝日新聞の第三者委員会が公表した報告書も「安易かつ不用意な記載」「『だまされた』と『連行』とは両立しない」と厳しく批判している。
 報告書の指摘について植村氏にただすと、「(第三者委から)注文はついている。確かに今となってはもうちょっと(丁寧に)書いておけばよかったなあ。そのくらいの話だ」との反応で反省は示さなかった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150109-00000560-san-soci

阿比留氏は「反省は示さなかった」と植村氏に対してネガティブな印象操作を行っていますが、そもそも何を反省しろというのか、阿比留氏はそれを具体的に書くべきでしょう。
具体的に何が問題で、どう反省しろというのかを示さずに、ただ“反省しろ”と迫るやり方は悪質なクレーマーやヤクザと何も変わりません。

最後に一点、阿比留氏に対する評価として付け加えたいのは、自身は辻元氏に対する社会的影響の大きなデマをばら撒きながら訂正も謝罪もせずに逃げ回っている人間性についてですね。
震災に関するデマについて

阿比留氏はまず自身の過った言動について謝罪するべきなんじゃないですかね。人間として。
それとも安倍政権と癒着している人間はデマをばら撒いても責任は生じないんですか。

*1:江川氏の質問は「植村さんへの批判には「反日」というレッテルも貼られていると思う。こうした記事を書く際に、植村さんは日本についてどのように考えているのか。また、最近台頭しているといわれているナショナリズムについて、どのように考えているのか。 」というものです。

*2:佐村河内氏の報道に関しては訂正・謝罪がありましたので訂正。指摘多謝。2015/1/14