ドイツが徴兵制をやめたのは冷戦が終結したからであって海外派兵をやるからではない

徴兵制とは軍事的には、防衛計画上必要な戦力を志願制だけで保持できない場合に必要になる制度です。

以前、「冷戦末期から兵員数を半分に減らした上で徴兵制を廃止したドイツと一貫して兵員数を変えていない日本では事情が異なる」で書いたように、1990年時点で52万人の軍隊を抱えていたドイツは、18.5万人まで兵員数を削減しました。
冷戦が終結したことにより防衛上、大兵力が不要となって徴兵制が廃止になったわけです。
同時期にドイツは海外派兵を行うようになりましたが、冷戦終結に伴う兵員数削減により、志願制でも賄えるようになったからにすぎません。

翻って、日本の場合は1990年以前から一貫して22〜25万人の兵員数で推移しています。この上、海外派兵の任務が追加された場合に自衛隊は必要になる兵員数を志願制で賄えるのかどうか、一考の余地があります。

ドイツが海外派兵を積極的に行うようになって以降に徴兵制を廃止している、とのみ主張するような論者*1は、読者に誤った因果関係を植えつける意図があるか、論者自身が誤った因果関係を信じているかのいずれかでしょうね。