「現員徴用」について少しだけ補足

以下のサイトでの説明について、著者に誤解があるように思いましたので補足説明しておきます。

イ.朝鮮に於ける労務動員の方式
凡そ徴用、官斡旋、勤務報国隊、出動隊の如き四つの方式がある
徴用は今日迄の所極めて特別なる場合は別問題として現員徴用(之も最近の事例に属す)以外は行われなかつた、然し乍ら今後は徴用の方法を大いに強化活用する必要に迫られ且つ其れが予期される事態に至ったのである

補足:上記のように、自らの食糧も事欠いているのに強制的な供出が求められるという悲惨な状況に於いてさえ、「徴用、官斡旋、勤務報国隊、出動隊の如き四つの方式」にて徴集されることは、「徴用は別として」「其れはもし事前に於て之を知らせば皆逃亡する」ほど嫌がれていたということであるが、上記の「現員徴用」とは、朝鮮半島内の工場や鉱山への動員かと思われる。これは1944年春、日本へ連行するための「徴用」に先だって実施されていた。

http://www10.ocn.ne.jp/~war/kyousei.htm

「現員徴用」とは、現に就業している企業からの退職、転職を法的に禁止することを指します。要するに以後の移動を認めない、というものです。1943年12月の軍需会社法および同施行令、施行規則に基づくもので、1944年1月18日の第一次の軍需会社の指定を受けた日本国内の重化学工業で現員徴用が発動されています(朝鮮人含む)。この時点では炭鉱への適用はありませんでした(「朝鮮人強制連行 (岩波新書)」P147)。
上記サイトの主旨に大きな影響を与える箇所ではありませんが、一応補足させていただきました。