戦争法案に関する安倍政権によるお粗末な説明を反中世論で風味付けした陰謀論で「解釈」する手法

まあ、何のことはなく安倍政権が提出している戦争法案はお粗末極まるもので、まともに説明できるようなものじゃありません。
まともに法案を読めば、解釈が困難になる部分や矛盾する箇所などが結構ありますし、答えに窮するようなところは安倍首相が「政府が総合的に判断」というマジックワードで逃げていましたから、普通に衆院での審議の様子を見ていれば、そのくらいわかるはずなんですけどね。

自衛隊を海外で武力行使に使いたい、軍事力による対中包囲網自衛隊を使いたい、と言った程度の低レベルな思考回路の産物に過ぎない法案で、しかも10本の法律を改正し、1本の新規の法律を作成する影響が広範囲に及ぶもので、憲法との整合性どころか法案相互の整合性すら怪しい杜撰な代物です。

審議で散々叩かれるのも当然で、それにもかかわらず60日ルールを優先して強行採決に踏み切ったわけですから、民主主義の否定と言われても仕方がないでしょう。

さすがに安倍政権に対する批判が高まってきたわけですが、それでも安倍政権を擁護しようと試みるのがネトウヨです。
擁護のやり方は、“手法はまずかったが、あれは必要な法案だった、その証拠に中国以外の国は歓迎している”というものです。

「80%の国民が説明不足」の安保法制ですが、政府が公式にちゃんと説明したら大変なことになりそう

山本一郎 | 個人投資家
2015年7月21日 12時42分

http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20150721-00047747/

安保改正法を憲法に抵触するのに急いだ理由はコレだと思う(永江国際問題妄想所)

2015年7月20日

http://www.landerblue.co.jp/blog/?p=21211

中国に対する脅威に備える法案で、それを明言できないのは、外交上の配慮だ、という陰謀論です。
山本氏も永江氏も主張の肝は、南沙諸島を中国が実効支配したら日本の危機だ、という認識ですが、これ自体がかなり歪んだ認識です。

南沙諸島の領有権は、主に中国・台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシアにより争われており、日本には領有権がありません。はっきり言えば、日本は南沙諸島の領土問題に関して第三国です。南沙諸島の領有権を中国が得たら日本にとって不利だからという理由で、日本が領土問題に介入するのはさすがに露骨過ぎで国際法的な正当性も何もありません。
また、仮に南沙諸島の領有権を主張国で分割することで合意した場合、つまり中国が南沙諸島の一部でも領有が認められた場合、日本にとって不利だという理由でその合意をぶち壊すのでしょうか。
あるいは合意に至らずとも、中国が既に完成させた飛行場はどうするんでしょうか。中国を追い出し、飛行場を破壊しますか。
しかし、法案はそんなことが出来るような内容になってませんよね。

おそらく山本氏も永江氏も法案の中身なんかほとんど読むことなく「中国の脅威ガー」と言っとけば説明になると思ってるんでしょうね。

まあ、バカな相手なら騙せるでしょうけど。