日本政府は中国に対してどんな要求をしているのか −東シナ海ガス田問題における日本政府のヤクザ論法−

東シナ海において日本と中国は尖閣諸島(釣魚列島)の領有権を争っていますが、それとは別に東シナ海の日中境界についても争っています。
中国側は大陸棚の延長として沖縄トラフまでを中国側と主張していますが、日本側は日中の200海里が重複する部分の中間線までを日本側と主張しています。いずれの主張も海洋法条約に反するものではありません(中国側の大陸棚自然延長の主張は、海洋法条約第6部(第76〜85条)に沿ったもの。)。

したがって、日本側が主張する日中中間線と中国側が主張する沖縄トラフに囲まれた部分が、日中間の係争領域となります。

現に係争している領域内では、日中いずれも資源開発などの行為が現実問題として出来ません。このため、中国側は日本側が主張する日中中間線の中国側でのみガス田開発を行なっています。これは中国側が日本側に配慮していると言ってよく、本来なら非難されるいわれはありません。

それでも日本政府は、中国政府に抗議しています。どんな理屈があるのでしょうか。

それがこれです。

中国による東シナ海での一方的資源開発の現状

平成27年7月22日
(参考)東シナ海における資源開発に関する我が国の法的立場
(略)
3 このような前提に立ってこれまで、我が国は、境界が未画定の海域では少なくとも中間線から日本側の水域において我が国が主権的権利及び管轄権を行使できることは当然との立場をとってきた。これは中間線以遠の権原を放棄したということでは全くなく、あくまでも境界が画定されるまでの間はとりあえず中間線までの水域で主権的権利及び管轄権を行使するということである。したがって、東シナ海における日中間の境界画定がなされておらず、かつ、中国側が我が国の中間線にかかる主張を一切認めていない状況では、我が国が我が国の領海基線から200海里までの排他的経済水域及び大陸棚の権原を有しているとの事実に何ら変わりはない。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/higashi_shina/tachiba.html

つまり、日本政府は境界が未画定であるという理由で、日本側基点の200海里全ての領域について「排他的経済水域及び大陸棚の権原を有している」と主張しているわけです。もちろん、この領域は、日中中間線を遥かに越えて広がっています。
具体的にはこのくらいです*1

丸1で示される領域が日本の200海里であり、見ての通り中国浙江省の沿岸にまで広がっています。要するに中国が浙江省沿岸で資源開発をすることすら、日本政府は認めていないという、かなり無茶苦茶な主張をしているわけです。

“双方の200海里が重複する領域の境界を地理的中間線で合意しろ、さもなくば、こちらの200海里が全て日本領とみなす”というのが日本政府の主張なわけです。

どっちが無茶苦茶な主張をしているか、客観的に見れる目があればわかると思いますがね。