池田信夫のすりかえの手口を学ぶ

捏造王・池田信夫氏の手口について。

こども版

どうして憲法第9条を改正しないの?

池田 信夫
共産党の志位委員長が「安保条約も自衛隊も認める」と発言したことが、ちょっと話題を呼んでいます。といっても民主党岡田代表は「共闘は無理だ」といっているので現実的な影響はありませんが、今まで党の綱領で「安保・自衛隊の破棄」を明記してきた党がそれを「凍結」したことで、国会議員の100%が安保と自衛隊を認めたことになります。

http://agora-web.jp/archives/1658186.html

ここで最初の改竄とすりかえが発生しています。
そもそも志位氏は「安保条約も自衛隊も認める」などと発言していませんので、この部分は池田氏による改竄です。志位氏ははっきりこう述べています。「先ほど私は日米安保条約を凍結するというのは戦争法の廃止を前提にした上で現行の法律と条約の枠組みで政府としては対応すると言った。だから自衛隊の運用は現行の自衛隊法、戦争法が可決される前の自衛隊法で運用することになる。日米安保条約にかかわる問題も、現行の条約の枠内で対応することになる。現行の日米安保条約第5条に、日本が武力攻撃を受けた際には共同で対処することが述べられている。この条約で対応することに政府としてはなる。党としては日米安保条約を廃棄して日米の友好条約に置き換えるという大方針を変更するわけではない。この大目標を私たちは一貫して追求する。しかし、国民連合政府にそれを求めることはしない。凍結とはそういう意味だ」*1
池田氏はこれを「「安保条約も自衛隊も認める」と発言した」と改竄しています。
すりかえの方は、「党の綱領で「安保・自衛隊の破棄」を明記してきた党がそれを「凍結」したこと」を「国会議員の100%が安保と自衛隊を認めたこと」とすりかえています。
はっきりと「党としては日米安保条約を廃棄して日米の友好条約に置き換えるという大方針を変更するわけではない」と志位氏が述べていたにも関わらず、池田氏はそれをトリミングして自分勝手な解釈を基に前提のすりかえを行っています。

池田氏による曲解と歪曲を経た「国会議員の100%が安保と自衛隊を認めたことになります」という偽造された前提条件が以下の文章に続くわけですから、以降全て間違っているということになります。

ところが憲法第9条には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と書いてあるのです。自衛隊はだれが見ても戦力だし、安保条約は軍事同盟です。それにもとづいて日本国内には米軍基地がたくさんあります。今の状態が憲法第9条に違反することは明らかです。
それでも実質的に現状を「解釈改憲」として認めるのなら、わざわざ改正する必要もないのですが、今年の国会では野党が途中から「集団的自衛権の行使は憲法違反だ」と騒ぎ始めました。自衛隊憲法違反の軍隊なんだから、それを海外派兵するのは憲法違反に決まっています。
だから共産党は安保法案に反対するなら、党の綱領に従って「安保条約を破棄して自衛隊を解散しろ」というべきだったのです。それができない理由は明らかです。志位さんでさえ、そんなことができるとは思っていないからです。

http://agora-web.jp/archives/1658186.html

多分、池田氏は長文が読めないんだと思いますが、志位氏はちゃんと説明していますね。そもそもが戦争法廃止というシングルイシューを目的とした構想である以上、戦争法廃止以外の野党間で意見が一致しないものについては凍結するのが当然です。
池田信夫レベルの連中もそうですが、そもそも連立政権は、連立相手が妥協できない政策については凍結することで成立するわけですからね。何から何まで政策目標が同じ政党なら、合併すればいい話です。合併せずに連立するということは、一部の政策の凍結を伴うということです。

北朝鮮には頭のおかしい指導者がいて数百発のミサイルをもっています。自衛隊も米軍基地もなくなったら、ミサイルが飛んできても国民の命は守れません。記者会見で「有事が起きたら、自衛隊在日米軍の出動を要請するのか」という質問に対して、志位さんは「自衛隊法がある以上、有事の時に自衛隊を活用するのは当然のことです」と答えました。

http://agora-web.jp/archives/1658186.html

頭のおかしい池田信夫氏にはわからなかったようですが、志位氏の発言はこうなっています。

国民連合政府が安保問題にどう対応するか。私たちは、日米安保条約の問題について言えば、政権の対応としては凍結という対応をとるべきだと考えている。戦争法は廃止した上で、残ってくる法律が当然ある。例えば自衛隊法が残っている。だから当然、急迫不正の主権侵害が起こった場合には、この政権は自衛隊を活用するのは当然のことだ

http://www.sankei.com/premium/news/151015/prm1510150009-n2.html

戦争法廃止というシングルイシューで成立する国民連合政府下で「急迫不正の主権侵害が起こった場合」は、戦争法による改悪前の自衛隊法に基づいて「自衛隊を活用する」と言っているわけですね。
共産党が党として自衛隊解消を掲げているのは変わりないわけですが、国民連合政府では戦争法廃止が最優先で、そもそも共産党が想定している自衛隊解消は時間をかけて行なうもので、「自衛隊解消に取り組む過渡的な時期」に侵略された場合には自衛隊を活用する、と10年前から言っています。

2005年5月18日(水)「しんぶん赤旗

憲法九条と自衛隊 どう考える?

こうして自衛隊解消に取り組む過渡的な時期に、仮に急迫不正の主権侵害があったり、大規模災害にみまわれるなど、必要にせまられた場合には、可能なあらゆる手段でこれを排除する一方策として、そのときに存在している自衛隊を活用するのは、国民に責任を負う政府の当然の責務です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-05-18/0518faq.html

志位氏の発言は、これに沿ったものに過ぎません。

どうしてこう、どいつもこいつもちゃんと調べないんでしょうかね。
まあ、池田信夫だしなぁ・・・。