韓国政府は安倍政権日本に慰安婦問題の解決を求めることを諦めた方がいい

安倍政権とそれを支持している日本社会は、人身売買で買った女性に売春を強要することの何が悪いのか、それを理解できてません。それを人権問題だと認識できる層もいるにはいますが、その多くは人権問題よりも経済を優先すべきという理由で安倍政権を支持しています。あたかも、ナチスの暴力的傾向を知りながら経済を回復されたという理由でヒトラーを支持したドイツ人のように。
日本社会はようやく80年前のドイツのレベルにたどり着きましたが、人権問題を正しく認識できるようになるまでは後100年ほどはかかるでしょう。それまでは慰安婦問題の解決は不可能です。善悪の判断すら未成熟な幼児の行為に責任を負わせようとしても無駄なように、安倍政権日本に慰安婦問題の解決を求めても無駄です。

日韓両政府は、強姦魔が被害者に金を払うことでの「解決」を目論む

これにより、日本では強姦を和姦と強弁し、韓国では強姦被害への賠償と主張する、そんなダブルミーニングの構図ですね。
現実問題として安倍政権に対しては、これが限界でしょう。
安倍政権の閣僚は一人残らず誠意がありませんから、そんな連中に誠意ある謝罪を求めること自体が間違っています。形式的な謝罪ですら右翼政権の意を汲んだ支持者・共犯者によるせい暴力被害者への罵声で無効化されるだけなのは、1990年代から何度も繰り返されてきた光景です。20世紀最大規模の性的人身売買に関する教育すら安倍政権支配下の日本国内では期待できません。繰り返しますが日本では、人身売買で買った女性に売春を強要することの何が悪いのか、すら理解されていません。
そんなレベルの社会で慰安婦問題を教えることなど不可能です。

韓国等の慰安婦被害国はもう日本を放っておくべき

2007年の米下院決議に見られるようにこれまで何度も慰安婦問題における日本の態度が指摘されてきましたが、日本社会にはそれを問題として受け止める度量が一向に生じません。
欧米では未成年者に対する売春行為の被害者は「sex slave」「sex abuse victim」などと表現されることが多いのに対し、日本では「少女と性的関係」「淫行」など表現されます。

参考:英語圏では「sex slave」「sex abuse victim」、日本では「性的関係」「淫行」

これが今の日本社会の限界です。従軍慰安婦を「性奴隷」と表現されたら烈火のごとく怒り狂うのは、人身売買被害者に売春を強いる行為が日本では「性的関係」「淫行」に過ぎないからです。このため人身売買被害者相手の買春行為を推奨・準備した日本軍のどこが問題かという点から日本社会は理解できません。追及されても「性的関係」「淫行」は、売春側だって問題あるという認識しか持てず、被害者非難が当然のように生じます。
このような社会において慰安婦問題を理解せよということ自体が無理なのです。

韓国にしても米国にしても国連にしても、その他多くの慰安婦被害国にしても、日本国内において慰安婦問題についてちゃんと教育せよ、などという要請は無意味であると悟るべきです。そもそも慰安婦問題を人権問題として教えられる人材が日本にどれほどいますか。2014年以降の朝日バッシングを見れば、メディアにも識者にも、慰安婦問題を人権問題として認識している者はほとんど皆無だったじゃありませんか。
語られた内容は、ほとんど全てが“外交問題”としてであって、“日本は慰安婦問題で不当に非難されている”という被害者意識丸出しの主張ばかりでした。この惨状を見てれば、日本国内において慰安婦問題についてちゃんと教育などできるわけがないと容易にわかるでしょう。

「大切なことは、合意すればその後、この問題を再び提起しないことだ。妥結とはそういうことだ」*1

安倍首相は朴大統領に対してそう語ったそうです。
これは結構なことです。日韓政府が合意した後は、韓国側は粛々と慰安婦モニュメントの設置を進め、慰安婦関連文書を記憶遺産に申請すればいいわけです。日本政府はそれに対して問題を提起できません。20世紀最大規模の性的人身売買被害者を忘れないためのモニュメントをいくら設置しても、日本政府は「解決済み」の問題をいちいち提起する必要がないはずです。妥結とはそういうことです。

要するに慰安婦問題、20世紀最大規模の性的人身売買という人権問題について、日本政府や日本社会に訴えかけても無駄なのですから、日本以外のところで粛々と人類の負の遺産として記憶に留め二度とこの悲劇が繰り返されないように教育するように努めたほうが効率的だと私は考えます。
そして淡々と情報発信していけばそれでよいと思います。
日本政府や日本右翼団体が、慰安婦は合法だとかただの売春婦だとか、がなり立ててきたとしても適当に聞き流すか、そんな独自研究は日本国内でやってろと跳ね除ければいいんです。
金銭的な負担については、残念ながら存命の元慰安婦の数は多くないわけですから韓国政府や中国政府などが、日本の代わりに人道的に賄ったところで大した負担にはならないはずです。

日本のことは日本で

慰安婦問題に取り組んできたまともな研究者にとっては、これまでに無いほどの過酷な冬の時代が続くことになりますが、こういう人権意識の不毛地帯に生まれたことを運命と思って諦めるしかないでしょう。
政界、言論界、財界ことごとくが歴史修正主義に染まっている中で、細々とでも情報発信して啓蒙運動を続けるしかありません。生きているうちに成果が出るとは思えませんから、そこは諦める他ありませんが。