“子どものために”というならば、両親がいかに離婚後も育児協力していくかという視点で語られるべき

2004年にオーストリアのSusanne Strobach(スザンネ・シュトロバッハ)*1によって執筆された「離婚家庭の子どもの援助」(日本語版は2007年)の記載。

離婚家庭の子どもの援助
(P9-10)

離婚という状況下で、どのように子どもを支援すればよいか?

  • 何が起こっているのか、子どもにとって何が変化するのか、自分の将来がどのようになってしまうのか、といったことに関する具体的なことを、子どもたちに伝えた方がよい。たとえ伝えなくても、子どもたちは、何がどうなっているのか、ということをうすうす感じとっているものだが!
  • 子どもたちには、質問できる環境と、子どもの年齢にふさわしい答えを受けられる状況が必要である。あらぬ想像と不安は、現実よりも脅威なのである!
  • 子どもたちは、自分の感情を表現し、家族の中で悲しめる状況になければならない。
  • 親もまた、「自分も悲しいのだ」ということを、子どもに示すことが大切である!
  • 愛にはさまざまな形がある、ということを子どもに説明する(パートナーへの愛は、親や兄妹への愛とは別だということを!)。そうしなければ、子どもは、自動的に、「いつ子どもへの愛が終わってしまうのか」という疑問を抱いてしまうだろう。
  • 離婚相手について、悪く言わないようにいつも心がける。親のいずれもが順調で、ただ互いに一緒にいることがよくなかっただけなのだ、というように話す方がよい。
  • さまざまな真実がある、ということを子どもに説明する。離婚という状況は、当事者によってそれぞれ見方が異なっている。そして、そのすべてが正しいのだ。そうでなければ、子どもは、親が自分をだましていると受け取ってしまうだろう。
  • 子どもたちは、家庭の内外を問わず、親密な人間を必要としている。自分を慰めてくれて、自分が信頼できる人を必要としているのである。
  • 子どもがいろいろな場所に行けるよう、一緒に計画を立てる、彼らは非常に創造的であり、自分にかかわるさまざまな決定を、親と一緒にたやすく決めることができる。
  • 去った親との面会日の前後に見られる症状は、当然のものである。面会の毎に片親が離れていくことは、離婚の再演と考えてよい。このとき、「もし僕がいなくなったら、パパとママはどうなるんだろう?」という不安が生じる。子どもは、ゆっくりと少しずつ、離婚によって変化した状況を受け入れていくしかない。別居できたことを父と母が喜んでいたりすると、子どもはしばしば、面会日の終わり頃にとつぜん怒り出すだろう。いずれにせよ、面接日での別れを通じて、子どもと去った親はより気持ちが軽くなっていく。
  • 重要なのは、葛藤の中で子どもに生じるものすべてが、(絵を描くこと、対話、物語、演劇、ロールプレイなどによって)表面に現れるということだ。そうなって初めてようやくいろいろなことが理解できる。

「はじめに」の部分ではこう書かれています。

本書は、いかにして親たちが離婚の後もうまく付き合っていくか、ということと、親の双方が子どもたちを養い続けるためにどのようにしたら良いのか、ということが主要なテーマです。

日本では、別居親から養育費を取り立てるのは法で強制せよ、面会交流は当事者に任せて国は放っておけ、というのが主流という状況なんですよね。