雑感

民進党の都議選結果を“大敗”“惨敗”扱いする論調が増えた時点で懸念できたのが、自民党の大敗*1から民進党に目をそらせて責任問題を曖昧にしたいんだろうな、という点。
実際、都議選大敗の責任を自民党総裁安倍氏はほとんど問われていません。
その一方で、何故か民進党代表の責任は問われているという不思議。

民進党民主党の時代から党内権力争いにあたって党外にリークして外圧を煽り執行部を追い詰めるというやり方が多かった印象がありますよね。
今回もそれで、民進党内の元維新・今井雅人議員が蓮舫代表の「二重国籍」問題を今さら取り上げ、党外からの戸籍開示要求を煽るという差別攻撃をはじめています。この時点で今井氏に対して差別煽動をやめるようにという指摘がメディアや論者から出てもよかったと思いますが、結局、都議選“大敗”“惨敗”の声も含めて追い詰められた蓮舫氏が戸籍公開に言及するまで、戸籍公表を要求することが差別だと指摘する声は出ませんでした。
現在は、また分裂だの何だのと言った声が出ています。

しかし今、民進党が分裂して喜ぶのはまず、安倍首相などの右翼改憲勢力ですよね。
民進党内の右派議員が改憲賛成の声を堂々と上げられるようになって安倍側に合流するでしょう。その結果、改憲勢力は余裕で3分の2を維持し、公明党への配慮も不要になる可能性があります。
せっかく、公明党都ファ側についた都議選で自らの存在感を十分に示す大勝を収め改憲にブレーキをかけるぞと脅しをかけるだけの余裕を得たのに、それが台無しになってしまいます。都議選での自民大敗は、自民党に対して公明党がいなければ選挙で苦戦すると警戒させるのに十分な結果でしたので、公明党は政権内での発言権を強め、支持母体に対して改憲に慎重な姿勢を示すくらいのことが出来たわけです。安倍政権にしても改憲を目指すなら公明党の協力が不可欠でしたので、ごり押ししにくい状況になったわけです。
これはおそらく都議選の結果がもたらした唯一のメリットでしょう。

ところが民進党が分裂して改憲賛同勢力が大挙安倍側に擦り寄ってくると、公明党には改憲に慎重な姿勢を示す余裕がまたも無くなってしまいます。政権与党にしがみつくためには、簡単に改憲賛同に舵を切るでしょうね。公明党にとっては政権にしがみつくことが平和や信仰よりも重要ですから。

前も言いましたけど民進党には改憲に賛同するような右派議員の首に鎖をつけた状態で、安倍改憲に反対する姿勢を維持してほしいものです。

あと、都議選結果について民進党上層部の責任を問う声がありますけど、あの小池都ファに圧倒的に追い風が吹いてる状況で、誰がどのように運営していればより良い結果を得られたと言うのか説明してほしいものですね。おそらく誰がやっても大差無かったと思いますし、場合によってはよりひどい結果になってたんじゃないですかね。

誰が代表だったら、離党し都ファに奔った候補者を止められたのか?
誰が代表だったら、15議席以上取れたのか?

個人的にはあの逆風の中でよく5議席でも維持できたものだと思いますけどね。

一応言っときますが、蓮舫氏の政治信条については私は支持していません。ですが、選挙における野党協力路線と安倍改憲に反対する方針を堅持する限り、蓮舫氏が民進党代表であり続けることを望みますし、野党統一候補となった民進党候補には投票するつもりです。

*1:政権与党が地方選で議席数を過去最低に減らしたわけで、これこそが大敗。しかも、都議選では、自民と都ファの対決ばかりがクローズアップされていた。