蓮舫氏を差別している連中がとうとう“戸籍はプライバシーじゃない”とか言い出した。

誰かと思えば、産経の古森義久氏でした。
肩書きが「ジャーナリスト・麗澤大学特別教授」とかになってますが、「活動家」に代えるべきだと思います。

【まとめ】
・「二重国籍問題」で民進党蓮舫代表、戸籍開示は「プライバシーに属する」と発言。
・しかし戸籍は私文書ではなく、国や地方自治体など公的機関が管理する公的文書。
・従って戸籍は個々人が独占的に所有する私的な情報であり開示はプライバシー侵害と断じるのは「勘違い」である。
民進党代表の蓮舫氏の二重国籍問題での発言にはまだまだ不可解な点がある。自分自身の戸籍を一部でも開示することが「プライバシーに属する」から本来は「あってはならない」と述べたこともその一つだ。この点は朝日新聞の社説もまったく同じことを主張していた。
だが戸籍は私文書ではない。国や地方自治体など公的機関が管理する公的文書なのだ。一般にいうプライバシーの対象となる文書類とは基本が異なるのだ。個々人が所有し、保管する文書とは基本が別なのである。しかも蓮舫氏は私人ではなく公人なのである。

http://blogos.com/article/236802/

一言で言えば、“戸籍は公文書だからプライバシーじゃない”という内容です。

あほか、の一言で反論終わらせたい気分でいっぱいです。こんなバカの妄言にもいちいち指摘したほうがいいのかなぁ・・・。

とりあえず個人情報保護法を示しておきます。

個人情報保護法

(目的)
第一条  この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO057.html

第2条の定義を見れば、戸籍の情報はもろに個人情報であることがわかりますね。
で、この個人情報について、国・政府には保護の義務があることが明記されています。

(基本理念)
第三条  個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。

(国の責務)
第四条  国は、この法律の趣旨にのっとり、個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を総合的に策定し、及びこれを実施する責務を有する。

(法制上の措置等)
第六条  政府は、個人情報の性質及び利用方法にかんがみ、個人の権利利益の一層の保護を図るため特にその適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報について、保護のための格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO057.html

ちなみに、改正法で「要配慮個人情報」の概念が追加され、以下のように定義されています

(改正法で追加された記載)
3  この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。

誰がどう見たって戸籍に記載されているのは、要配慮個人情報に相当しますよね。それがわからないのは産経読者くらいじゃないですかね。

そもそも、古森氏の言うように「国や地方自治体など公的機関が管理する公的文書」が「一般にいうプライバシーの対象となる文書類とは基本が異なる」と言うのであれば、個々人の犯罪歴や犯罪被害歴などはプライバシーではないことになりますよね。
改正個人情報保護法で要配慮個人情報と定義されている「犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実」は、いくらでも開示して流布して構わないことになります。一度犯罪を犯したものは、いくら罪を償い反省しても生きている限り差別され続けますし、強姦など性暴力を受けた被害者はいつまでも好奇の目に晒され続けることになります。

原爆被爆者の情報は国が管理していますから戸籍情報とあわせて、どこの誰が被爆者でその家族はどんな人間かを公開しても、古森説では構わないことになります。古森氏の思考回路では、結婚相手の家族に被爆者がいないか調べて暴露してもプライバシーの侵害にはあたらないようです。

病歴も保険などのデータとして国が管理していますから、どこの誰がいつどんな病気にかかり、どんな薬を処方されたか、その公開を迫っても、古森説ではプライバシー侵害にはあたらないようです。精神疾患性感染症の病歴、妊娠・堕胎の記録、それらがあちこちにばら撒かれても、古森氏の解釈によればプライバシーの侵害にはあたりませんね。

とても信じられない世界観です。


産経新聞はここまで個人情報に関してデタラメな認識の人物を記者として雇っていたわけですから、産経新聞では適切に個人情報が管理されているのか非常に不安になりますね。
産経新聞に対してはいかなる個人情報も絶対に提供しない方が良さそうです。



NEXT MEDIA "Japan In-depth" 2017年07月26日 12:50

蓮舫氏と朝日新聞の勘違い

古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
【まとめ】
・「二重国籍問題」で民進党蓮舫代表、戸籍開示は「プライバシーに属する」と発言。
・しかし戸籍は私文書ではなく、国や地方自治体など公的機関が管理する公的文書。
・従って戸籍は個々人が独占的に所有する私的な情報であり開示はプライバシー侵害と断じるのは「勘違い」である。
民進党代表の蓮舫氏の二重国籍問題での発言にはまだまだ不可解な点がある。自分自身の戸籍を一部でも開示することが「プライバシーに属する」から本来は「あってはならない」と述べたこともその一つだ。この点は朝日新聞の社説もまったく同じことを主張していた。
だが戸籍は私文書ではない。国や地方自治体など公的機関が管理する公的文書なのだ。一般にいうプライバシーの対象となる文書類とは基本が異なるのだ。個々人が所有し、保管する文書とは基本が別なのである。しかも蓮舫氏は私人ではなく公人なのである。
蓮舫氏はこの点を無視し、現実をあえてねじ曲げて、自分が架空の「差別」や「排外」の被害者であるかのようなイメージを作り出そうとしているかにもみえる。
蓮舫氏は長年の自分自身の二重国籍を認めた。その点について事実と異なる主張を長年、続けてきたことも認めた。長年の虚偽であり、違法の行為の自認だった。だがその虚偽は故意ではなく過失だったと言い張る。
しかし十代でも二十代でも、どの国の人でも、そもそも自分の国籍がなんなのかを知らないままでいる人間がいるだろうか。まして蓮舫氏のように十代でも明らかに日本からの出国、日本への入国を繰り返していたような人物が自分の国籍がどうなっているか、知らなかったと考えるのは、あまりに無理がある。二重国籍であることを知っていて、そうではないと主張していたのならば、これは明白なウソとなる。
しかし蓮舫氏の言い逃れには他にもおかしな点がある。それは戸籍謄本の開示を求められることが、なにか差別や排外の悪しき動きだと批判することである。この批判はそもそも戸籍とはなにかを理解していない、あるいは理解していないふりをしている結果だとしか思えない。
蓮舫氏は7月13日の記者会見で以下のように述べていた。
「戸籍謄本はすぐれてプライバシーに属するものです。差別主義者、排外主義者に言われてこれを公開することが絶対にあってはならないと思っています」
蓮舫氏は続いて7月18日の会見でも次のような発言をした。
「本来、戸籍は開示すべきではないと思っています。また誰かに強要されて戸籍をお示しをするということはあってはならないことは、まずもって申し上げさせていただきたいと思っています」
朝日新聞も7月13日付社説で同じ主張をしていた。「民進党 勘違いしていませんか」という見出しの社説だった。問題なのは長い社説の以下の一部だった。
「(前略)もう一つ懸念されるのは、蓮舫氏が戸籍謄本を公開することが社会に及ぼす影響だ。本人の政治判断とはいえ、プライバシーである戸籍を迫られて公開すれば、例えば外国籍の親を持つ人々らにとって、あしき前例にならないか。民進党蓮舫氏はいま一度、慎重に考えるべきだ」
ここでもごく簡単に「プライバシーである戸籍」などと記されている。「外国籍の親を持つ人々」というのはその事実をまず隠さねばならないかのように言及されているのだ。
では戸籍とはなにか。最も簡単な定義は以下である。
「戸籍とは、戸と呼ばれる家族集団単位で国民を登録する目的で作成される公文書である」
戸籍簿については以下の説明がある。
「戸籍簿には、日本国籍を有する者のほとんどについて、氏名生年月日などの基本情報と、結婚などの事跡が記載されており、行政事務においてきわめて重要な役割を持っている。戸籍は日本国籍を有する者の身分関係を証明する唯一無二の公的証書である」
これだけでも明白なように、戸籍簿は個人の所有ではなく、公文書なのである。公的証書とも定義づけられる。国家やその他の行政当局が保有する国民の公的記録なのだ。個人が当局に登録をした記録だともいえる。だから本来、公的な場所に管理されている公文書なのである。
個々の戸籍の内容を一般にすべて公開することは普通は起きない。だが戸籍とはその個人だけが知っている秘密やプライベートの情報では決してなく、公的機関が把握している情報なのだ。
日本国民は誰でも日本国旅券を取得する場合、個人の戸籍謄本を提出せねばならない。戸籍の内容はその時点で個人の手を離れ、公的機関に届けられる。戸籍の開示である。結婚や離婚の手続きも同様に、戸籍謄本あるいは戸籍抄本を管轄の地方自治体に出すことになる。戸籍とはその人物の身元を証明する公的資料なのだ。その内容をすべて隠すことが正常な状態では決してないのである。
戸籍は当局に提出した段階で、開示に等しい状態になるともいえる。この公的証明の開示が人権の侵害になる、という理屈にはかなりの飛躍や倒錯がある。日本国民が戸籍に依拠した旅券で外国に行けば、日本国民としての適切な処遇は受ける。その根拠は戸籍に基づく旅券なのだ。だから戸籍に記録された情報はそこですでに本人の手を離れ、他者に向けて開示されたことになるともいえる。
蓮舫氏も、朝日新聞社説も、以上のような戸籍の公的文書としての本質を無視して、あたかも個々の人間が独占的に所有する私的な情報とみなし、その開示はプライバシーの侵害と断じて、批判しているのだ。
蓮舫さん 勘違いしていませんか」「朝日新聞 勘違いしていませんか」と、つい告げたくなる。

http://blogos.com/article/236802/