「日本が拠出した10億円は韓国の国庫に繰り入れる方向で検討するという」朝日報道について

この記事。

韓国女性家族相、元慰安婦支援財団を清算の意向

ソウル=牧野愛博
2018年1月23日10時53分
 韓国の鄭鉉栢(チョンヒョンベク)・女性家族相は日韓慰安婦合意に基づいて設立された元慰安婦を支援する財団を清算する考えを示した。23日付の韓国紙・京郷新聞に掲載されたインタビューで語った。財団は事実上、機能を停止したと説明。1年ほどかけて清算する見通しを示した。
 日本が拠出した10億円は韓国の国庫に繰り入れる方向で検討するという。またユネスコ(国連教育科学文化機関)の「世界の記憶」(旧・記憶遺産)に慰安婦関連の資料を登録することを目指し、慰安婦に関する国際会議を開いて日本に圧力をかける考えも示した。今年中に慰安婦問題を扱う研究施設を開く方針も示した。(ソウル=牧野愛博)

https://www.asahi.com/articles/ASL1R3CLDL1RUHBI00N.html

この記事で一番気になったのは、「日本が拠出した10億円は韓国の国庫に繰り入れる方向で検討するという」と記載している部分。
鄭鉉栢女性家族部長官が、日本が拠出した10億円を韓国国庫に繰り入れることを主張している、と読めるわけで、そのまま理解すれば違和感覚える部分ではあります*1

で、京郷新聞の該当箇所。

•일본이 제공한 10억엔은 어떻게 할 것인가.

“피해자나 관련 단체들이 전액 국고 환수를 주장하고 있어서, 정부로서는 그분들의 견해를 존중하면서 일을 처리할 수밖에 없을 것 같다. 2주 전에도 김복동 할머니, 길원옥 할머니 등 피해자 분들을 만나뵈었다. 당장 재단을 해산하고 10억엔을 환수하라고 하시면서도, 대통령님을 비롯해 국내 여러 분들이 신경 쓰고 도와주시는 것에 대해서 감사하게 생각하시는 마음을 표현하더라. 일 처리하는 속도가 늦어지는 사이에 할머님들이 돌아가실 수도 있어서, 그러면 우리도 마음이 많이 힘들 것 같다. 가능하면 빨리 하려고 노력을 하겠다.”

機械翻訳
日本が提供した10億円は、どのようにするのか。

「被害者や関連団体が全額国庫還収を主張していて、政府としてはその方の見解を尊重しながら仕事を処理するしかないようだ。2週間前に金復東祖母、ギルウォンヒスイおばあさんなど、被害者の方々に会って訪ね。すぐに財団を解散し、10億円を返還するようにしながらも、社長様をはじめ、国内の多くの方が気にして助けてくださることに対して感謝しておられる心を表現したよ。仕事の処理速度が遅くなるとの間におばあちゃんが亡くなることもあって、その後、私たちも心がとても大変そうだ。可能な場合は迅速にしようと努力をする」

http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201801230005001&code=940100

まず、全額国庫還収(전액 국고 환수)を主張しているのは元慰安婦や関連団体で、“韓国政府としてはそれを尊重して処理するしかないようだ”というのが、鄭長官の発言ですから、朝日記事とは少しニュアンスが異なっています。
単語の意味も少し気になっていて「還収(환수)」って“返還する”とか“取り戻す”とかいう意味ですから、「10億円を韓国国庫に繰り入れる」という意味でいいのか、気になるところです。別の箇所では「10億円を返還するように(10억엔을 환수하라고 )」という表現もありますし、受け取りを拒否している元慰安婦らの発言であることも考慮すれば、“日本政府に返還する”という意味ではないのかなぁ、と思えるんですけどね。

まあ、私は韓国語を解さないので、web翻訳と辞書に頼っての推論にすぎず、韓国語に堪能な方の見解をいただきたいところですが。



*1:まあ、日本政府に返還するにあたって、一時的に韓国政府が管理するという意味であればわかりますが、記事の記載だけだとそうは読めませんので。