日本の「国民情緒法」の事例

こういうブコメが付いたので。
韓国では「産経新聞記者への刑事訴訟」「帝国の慰安婦訴訟」「対馬の仏像」などなど、韓国司法の「国民情緒法」の例がたくさんあるけど、この人が日本が国民情緒法が幅を利かせていると思う理由を知りたい。 - netowlのコメント / はてなブックマーク


産経新聞記者への刑事訴訟」と「帝国の慰安婦訴訟」は普通に名誉毀損で告訴された事件。前者は無罪判決が出ているし、後者一審・二審で判断が分かれているのでどの辺が「国民情緒法」なのかよくわからない。「対馬の仏像」は、別に韓国に限らず略奪美術品関連の訴訟としてはよくある話で、これを「国民情緒法」の例とみなす理由が不明。

日本の「国民情緒法」の事例としては、新潟少女監禁事件で逮捕監禁致傷罪の法定刑上限懲役10年を超えた懲役14年で判決が確定した件がわかりやすいですね。これ監禁期間が9年以上に対し、法定刑上限が10年は短すぎるという“国民情緒”に阿った結果として、無理やり併合罪にして懲役15年の求刑をした上に未決拘置日数(350日分)を加算から除外するようにとの進言までされてます。さすがに判決では加算されましたが。

訴訟が継続中ですが、朝鮮学校を高校無償化の対象から除外したのも「高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的とする」法律の趣旨から外れた政治的理由による朝鮮学校狙い撃ちの処分であって、北朝鮮関連の民族学校に対してならどんな差別的な対応をしても構わないとする“国民情緒法”の事例ですね。
朝鮮学校無償化除外に関する大阪地裁判決に関する雑感 - 誰かの妄想・はてなブログ版
朝鮮学校排除を認めた広島地裁判決はどこがおかしいか - 誰かの妄想・はてなブログ版

地裁で違法との判断が出ましたが、群馬県による朝鮮人追悼碑設置更新不許可なども安倍政権下でなら朝鮮人強制連行に関連する施設を撤去させても許容されるだろうという“国民情緒”あるいは“忖度”の事例でしょう。
群馬県の朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑に関する歴史修正主義的策謀としての設置期間更新不許可処分に対する前橋地裁判決の件 - 誰かの妄想・はてなブログ版

他には、森友学園事件関連で勾留されている籠池氏の件がありますね。2017年7月31日に逮捕されてから既に7か月以上、保釈も起訴もなく拘置所で拘留され続けています。「産経新聞記者への刑事訴訟」では、起訴された加藤達也氏に出国禁止処分が下されましたが、あくまで在宅起訴であって籠池氏のように拘留されたわけではありませんし、その期間も2014年10月から2015年4月までの7か月弱。籠池氏の場合は、加藤氏の出国禁止処分の期間以上の長期間にわたって拘置所に勾留されています。安倍政権に楯突く者にはこのようなリンチ紛いの勾留をして構わないという“国民情緒”あるいは“忖度”が働いていると言えますね。

まあ、ぱっと思いつくのはこんな感じですかねぇ。
オウム関連とか、人質事件での家族の態度に対する糾弾とか、「国民情緒法」と呼べそうなのは他にも色々ありますけどね。