NHKのミスリーディング

この件。
民進党の32億円「希望」「立民」「無所属」に一部 “流出”(2018年12月4日 4時49分)
民進党の資金が事実上ほかの政党に流れる形」として批判的に報じていますが、個人的には別に問題あるとは思いません。まあ「正式に分党手続きなどを取って配分すべきだった」というのは筋論で言えばその通りでしょうけど、2017年9月の民進党分裂騒動の経緯はかなり特殊であり、その点を考慮せずに表面的な筋論だけを並べ立てるのは不誠実です。
一応、上記NHK記事では「民進党分裂の経緯」についても述べられていますが、これが酷いミスリーディングな内容です。

民進党分裂の経緯

去年の衆議院選挙を前に、当時の民進党の前原代表は「政権交代を実現するためだ」として民進党の候補者は擁立せず、東京都の小池知事が立ち上げた「希望の党」に事実上合流する方針を決めました。
しかし枝野元官房長官らは、理念と政策の方向性が異なるとして「立憲民主党」を結成し、民進党は分裂しました。
当時の「希望の党」の小池代表は民進党出身者を無条件には全員受け入れない方針を示し、希望の党からだけではなく無所属で立候補する議員が出ました。
こうして当時の民進党の出身者は「希望の党」「立憲民主党」「無所属」の3つに別れる形で立候補しました。
衆議院選挙では「立憲民主党」が野党第1党になる一方、「希望の党」は選挙前の議席を下回り、候補者を擁立しなかった民進党も党勢の低迷が続きました。
そしてことし5月、希望の党民進党に合流する形で「国民民主党」が結成されました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181204/k10011733411000.html

この内容だと、前原代表(当時)が民進党希望の党への合流方針を決めてすぐに枝野氏らが立憲民主党を結成して分裂し、希望の党の小池代表(当時)が「民進党出身者を無条件には全員受け入れない方針」を示したのは、立憲民主党結成後であるかのように読み取れます。
しかし、実際の時系列はこんな感じです。

9月25日:希望の党結党。
9月26日:前原代表、小池代表が合流を巡って協議。
9月27日:前原代表、希望の党への合流を民進党内に提案。
9月28日:民進党両院議員総会で合流方針を了承。民進党公認を取り消し。
9月29日:小池代表、民進党出身者のうちリベラル派を排除すると明言。

http://scopedog.hatenablog.com/entry/2017/10/31/073100

そして立憲民主党の結成は2017年10月3日です。
前原民進党民進党としての公認しないことを宣言し、その上で希望の党への合流を発表した後に、今度は小池希望の党がリベラル派排除を宣言したわけで、その結果、民進党からも希望の党からも排除された形になった議員らが立憲民主党を結成して衆院選に望んだわけです。
衆院選直前の状況で「正式に分党手続きなどを取って配分すべきだった」という建前に従っていれば、リベラル派議員は全滅していた可能性が高いといえますが、その場合、“リベラル派の議員もいるから民進党を支持した有権者”の民意は完全に無視されることになります。
それは果たして「政党助成金の趣旨」を尊重したことになるのでしょうかね。




民進党の32億円「希望」「立民」「無所属」に一部 “流出”

2018年12月4日 4時49分選挙
去年の衆議院選挙で候補者を擁立しなかった当時の民進党が、ほかの政党などから立候補した民進党の出身者に合わせて32億円余りを支出していたことが、総務省が公表した政治資金収支報告書から分かりました。こうした資金の一部は候補者を通じてほかの政党に寄付されるなどし、民進党の資金が事実上ほかの政党に流れる形になっていました。
去年10月の衆議院選挙で当時の民進党は候補者を擁立せず、民進党出身の候補者は選挙の直前に設立された「希望の党」や「立憲民主党」、「無所属」として立候補しました。
NHKが先月30日に総務省が公表した政治資金収支報告書を調べたところ、当時の民進党衆議院選挙の直前の去年10月初めから、
▽旧希望の党の候補者に合わせて19億6000万円、
立憲民主党の候補者に合わせて6億6500万円、
▽無所属の候補者に合わせて5億8000万円を寄付し、民進党出身の候補者およそ220人への寄付は合わせて32億円余りに上っていました。
候補者はこうした資金の一部を「希望の党」や「立憲民主党」に貸し付けたり寄付したりしていて、民進党の資金がほかの政党の運営資金に充てられていました。
去年の民進党の収入の大半は国が政党に対して交付する「政党助成金」で占められていましたが、こうした資金が事実上ほかの政党に流れる形になっていました。
政治資金に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「理念が同じメンバーがいるとはいえ、民進党に交付された資金が事実上ほかの党に流れており、政党助成金の趣旨を逸脱している。正式に分党手続きなどを取って配分すべきだった」と指摘しています。

民進党分裂の経緯

去年の衆議院選挙を前に、当時の民進党の前原代表は「政権交代を実現するためだ」として民進党の候補者は擁立せず、東京都の小池知事が立ち上げた「希望の党」に事実上合流する方針を決めました。
しかし枝野元官房長官らは、理念と政策の方向性が異なるとして「立憲民主党」を結成し、民進党は分裂しました。
当時の「希望の党」の小池代表は民進党出身者を無条件には全員受け入れない方針を示し、希望の党からだけではなく無所属で立候補する議員が出ました。
こうして当時の民進党の出身者は「希望の党」「立憲民主党」「無所属」の3つに別れる形で立候補しました。
衆議院選挙では「立憲民主党」が野党第1党になる一方、「希望の党」は選挙前の議席を下回り、候補者を擁立しなかった民進党も党勢の低迷が続きました。
そしてことし5月、希望の党民進党に合流する形で「国民民主党」が結成されました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181204/k10011733411000.html

2017.9.29 17:31更新

希望の党代表・小池百合子都知事記者会見詳報(上)】「リベラル派は排除いたします」「明日は『三都物語』ということで」

(抜粋)
 --民進党前原誠司代表が「(民進党から希望の党に)公認申請すれば、排除されない」と発言したことに関し、小池氏は「安全保障、憲法改正で一致した人のみ公認する」と明言している。前原氏をだましたのか? リベラル派“大量虐殺”なのか?

 「前原代表がどういう発言をされたのか承知していませんが、排除されないということはございません。排除致します。というか、絞らせていただくということです。それはやはり、安全保障や憲法観という根幹部分で一致していくことが政党の構成員として必要最低限のことではないかと思っています」

https://www.sankei.com/politics/news/170929/plt1709290069-n1.html