田中実氏の情報も金田龍光氏の情報も去年報じられていて、特に新情報も無いのに改めて報じられている件

この件。
拉致被害者の田中実さんに妻子 北朝鮮、日本に14年伝達(2019/2/15 19:09、一般社団法人共同通信社)

なんか「北朝鮮による日本人拉致問題を巡り、政府が被害者に認定している神戸市の元ラーメン店員田中実さん=失踪当時(28)=が結婚し平壌で妻子と共に生活していると、北朝鮮が日本側に伝えていたことが15日、分かった。」とか書かれていますが、別に2019年2月15日に初めて判明した話でも無いんですよね。

2018年3月18日:田中実氏が北朝鮮に入国していたという情報を安倍政権はなぜ4年間も隠蔽したのだろうか?
2018年5月17日:日本政府認定拉致被害者である田中実氏に関する報道に対する日本政府の対応
ちなみに、上記では2018年3月20日と4月2日の国会議事録に言及していますが、その後、さらに2回国会で質疑されています。
第196回国会 参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 2018年6月4日 有田芳生議員による質問
第197回国会 参議院予算委員会 2018年11月7日 有田芳生議員による質問


去年2018年3月16日の共同通信は「政府認定の拉致被害者で神戸市に住んでいた田中実さんについて、北朝鮮が2014年、日本側との接触で「入国していた」と伝えていたことが16日、分かった。」と報じています。

北朝鮮に入国していたことが2018年3月にわかって、平壌で妻子と共に生活していることがわかったのが2019年2月ということでしょうか?
しかし、サンスポは2018年3月の報道で、田中実氏が「平壌で家族と共に生活」と既に報じています。

 北朝鮮は、田中さんについて「帰国するかどうかは本人の考えが尊重される」と強調。本人は平壌で家族と共に生活、現地に残る意向があると日本政府に説明した。

http://www.sanspo.com/geino/news/20180317/pol18031705020001-n1.html

2019年2月共同通信記事での新情報は、平壌で一緒に生活している家族が「妻子」であるという点ですかね。

金田龍光氏の情報も別に今回の新情報ではなく、やはり2018年3月26日に、他ならぬ共同通信が報じていたとのことです。

第196回国会 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号
平成三十年四月二日(月曜日)
    午後一時開議

○江田(憲)委員 (略)
 そこで、先月、一部報道ではありますが、お二方の拉致被害者の方の情報が報道されたんですね。
 三月十六日の共同通信の報道では、拉致被害者に認定されている田中実さんが、実は、北朝鮮が二〇一四年、日本側との接触で、入国していた、我々の立場では入境していたと伝えていたことが十六日わかった、しかも日本政府関係者が明らかにした、こういう報道なんですね。
 それから、二十六日には同じく共同通信が、これは今まで全く言及のなかった、金田、これはリュウコウさんとお読みするんですかね、金田龍光さんについても、北朝鮮が二〇一四年の日本側との接触で、入国していた、入境していたと伝えていたことが二十五日わかった、これも日本政府関係者が明らかにしたと書いてあるんですね。
 この事実関係をはっきりさせていただきたいと思います。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/196/0142/main.html

つまり、田中実氏についても金田龍光氏についても、2018年3月の時点で北朝鮮に入国していることを北朝鮮が2014年に認めていたと報じられています。

新情報と言えるものがほぼ皆無なのに、まるで新情報であるかのように2019年2月に共同通信が再報道しているのは何なんでしょうねぇ。

よくわからない「救う会」の反応

福井新聞ではこんなことを報じています。

 拉致被害者の田中実さんと、拉致の可能性が疑われる特定失踪者の金田龍光さんが、平壌ピョンヤン)で妻子と暮らしているという情報が日本側に伝わってきたことを受け、福井県内の特定失踪者家族は「私たち家族も希望が持てる」と話した。一方、関係者からは「北朝鮮は情報を小出しにし、日本の反応を見ている可能性もある。これまで通り拉致被害者全員の一括帰国を求める姿勢を貫くべき」との声もあった。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190216-00010001-fukui-l18

まず、福井県内の特定失踪者家族の人たちは去年2018年3月の報道を全く知らないんですかね?
で、「北朝鮮は情報を小出しにし」という認識も、報道では北朝鮮は2014年のストックホルム合意以前に田中氏と金田氏の情報を伝えているわけですから、「小出し」でもありません。むしろ「小出し」しているのは「日本政府関係者」でしょう。

 福井県敦賀市の特定失踪者、山下貢さん=1989年失踪当時(39)=の妹山森啓子さん(65)は「情報が正しいなら、拉致被害者は日本政府認定の17人以外にもいるということ。(特定失踪者の金田さんと)兄は同じ立場であり、前向きにとらえたい」と話した。
 救う会福井の森本信二会長(63)も「(田中さんらの)家族にとって喜ばしいこと」と語った。金田さんが北朝鮮で生活しているとの情報には「特定失踪者が北朝鮮にいると伝わってきたことは大きい。真相究明に期待が持てる。政府には毅然(きぜん)とした対応で解決に向かって進めてもらいたい」と要求した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190216-00010001-fukui-l18

政府認定の拉致被害者以外の特定失踪者がいたということは確かに重要なんですが、なぜ2018年3月の報道時点で声をあげていないのかが不思議です。

島田洋一氏のおかしな認識

 北朝鮮は日本人拉致被害者について「8人死亡」の主張を変えておらず、田中さんと金田さんは含まれていない。救う会副会長の島田洋一福井県立大教授は、日本側に情報を流してきた北朝鮮の思惑について「日朝首脳会談を考えている兆候ではあるだろう」と分析した上で「(死亡とされる)8人以外の人間の情報を流し、日本の反応を見ている可能性がある。8人死亡を既成事実化したいという狙いがあるのかもしれないが、日本側は全員の一括帰国を訴えていくべき」と強調した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190216-00010001-fukui-l18

北朝鮮が田中氏と金田氏の情報を日本側に伝えたは2014年ですから、「日本側に情報を流してきた北朝鮮の思惑について「日朝首脳会談を考えている兆候ではあるだろう」と分析」するのは時空を超越していますね。
何ですか?2019年現在の北朝鮮日朝首脳会談を考えて、時間を遡り2014年の日本に情報を伝えたとか、そんな認識なんですかね?

まあ、このままいくと、来年の2月・3月には、田中氏と金田氏の好きな食べ物あたりが共同通信から報じられるかもしれませんねぇ。





田中実さん平壌に 福井の特定失踪者家族「私たちも希望持てる」

2/16(土) 12:32配信 福井新聞ONLINE
 北朝鮮による日本人拉致問題を巡り、政府が被害者に認定している兵庫県神戸市の元ラーメン店員田中実さん=失踪当時(28)=が結婚し平壌ピョンヤン)で妻子と共に生活していると、北朝鮮が日本側に伝えていたことが2月15日、分かった。2014年以降の両国の接触で複数回、伝えてきた。政府が「拉致の可能性を排除できない」としている田中さんと同じラーメン店の店員だった金田龍光さん=同(26)=にも「妻子がいる」と伝達。日本政府関係者が明らかにした。
 拉致被害者の田中実さんと、拉致の可能性が疑われる特定失踪者の金田龍光さんが、平壌ピョンヤン)で妻子と暮らしているという情報が日本側に伝わってきたことを受け、福井県内の特定失踪者家族は「私たち家族も希望が持てる」と話した。一方、関係者からは「北朝鮮は情報を小出しにし、日本の反応を見ている可能性もある。これまで通り拉致被害者全員の一括帰国を求める姿勢を貫くべき」との声もあった。
 福井県敦賀市の特定失踪者、山下貢さん=1989年失踪当時(39)=の妹山森啓子さん(65)は「情報が正しいなら、拉致被害者は日本政府認定の17人以外にもいるということ。(特定失踪者の金田さんと)兄は同じ立場であり、前向きにとらえたい」と話した。
 救う会福井の森本信二会長(63)も「(田中さんらの)家族にとって喜ばしいこと」と語った。金田さんが北朝鮮で生活しているとの情報には「特定失踪者が北朝鮮にいると伝わってきたことは大きい。真相究明に期待が持てる。政府には毅然(きぜん)とした対応で解決に向かって進めてもらいたい」と要求した。
 北朝鮮は日本人拉致被害者について「8人死亡」の主張を変えておらず、田中さんと金田さんは含まれていない。救う会副会長の島田洋一福井県立大教授は、日本側に情報を流してきた北朝鮮の思惑について「日朝首脳会談を考えている兆候ではあるだろう」と分析した上で「(死亡とされる)8人以外の人間の情報を流し、日本の反応を見ている可能性がある。8人死亡を既成事実化したいという狙いがあるのかもしれないが、日本側は全員の一括帰国を訴えていくべき」と強調した。
福井新聞社

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190216-00010001-fukui-l18

拉致被害者の田中実さんに妻子 北朝鮮、日本に14年伝達

2019/2/15 19:09 2/15 19:47updated ©一般社団法人共同通信社
 北朝鮮による日本人拉致問題を巡り、政府が被害者に認定している神戸市の元ラーメン店員田中実さん=失踪当時(28)=が結婚し平壌で妻子と共に生活していると、北朝鮮が日本側に伝えていたことが15日、分かった。2014年以降の両国の接触で複数回、伝えてきた。日本政府関係者が明らかにした。
 政府が「拉致の可能性を排除できない」としている田中さんと同じラーメン店の店員だった金田龍光さん=同(26)=にも「妻子がいる」と伝達。田中さんと金田さんの帰国意思は「ない」と説明した。日本側は2人と面会していない。

https://this.kiji.is/469078779462452321

拉致被害者の田中実さん、妻子とともに平壌で生活 北朝鮮、14年に日本へ伝達

2019.2.15 19:13
 北朝鮮による日本人拉致問題を巡り、政府が被害者に認定している神戸市の元ラーメン店員田中実さん=失踪当時(28)=が結婚し平壌で妻子と共に生活していると、北朝鮮が日本側に伝えていたことが15日、分かった。2014年以降の両国の接触で複数回、伝えてきた。日本政府関係者が明らかにした。
 政府が「拉致の可能性を排除できない」としている田中さんと同じラーメン店の店員だった金田龍光さん=同(26)=にも「妻子がいる」と伝達。田中さんと金田さんの帰国意思は「ない」と説明した。日本側は2人と面会していない。
 日本の外務省幹部は「ノーコメント」と話した。
 北朝鮮は14年の日本との接触で、2人が「入国していた」と初めて伝えてきた。両国が、北朝鮮による拉致被害者の包括的調査などを決めた「ストックホルム合意」を交わした14年5月より前だった。合意後、調査が再開したが、「大きな成果はなかった」(日本政府高官)とされた。

https://www.sanspo.com/geino/news/20190215/pol19021519130004-n1.html