安倍晋三、ゴールポストを動かす

安倍首相が「2%の物価安定目標に届いていないのは事実だが、政治の場で大切なのは雇用だ」とゴールポストを動かした件。
安倍首相「政治で大切なのは雇用」=アベノミクスの成果強調-参院予算委(2019年03月04日17時32分)

ゴールポストはともかく「政治の場で大切なのは雇用だ」と言ってて、似たようなことを言って安倍政権を擁護する一部の論者もいましたので、完全失業率について調べてみます。

政権 終了日 終了月の失業率(季節調整値) 差分 期間
第一次安倍政権 2007年 8月27日 3.7% ----- ------
福田政権    2008年 8月 2日 4.1% △0.4 12ヵ月
麻生政権    2009年 9月16日 5.4% △1.3 13ヶ月
鳩山政権    2010年 6月 8日 5.2% ▼0.2 9ヶ月
菅政権     2011年 9月17日 4.2% ▼1.0 15ヶ月
野田政権    2012年12月26日 4.3% △0.1 15ヶ月
参考1      2013年12月 3.7% ▼0.6 12ヶ月
参考2      2014年12月 3.4% ▼0.3 12ヶ月
参考3      2015年12月 3.3% ▼0.1 12ヶ月
参考4      2016年12月 3.1% ▼0.2 12ヶ月
参考5      2017年12月 2.7% ▼0.4 12ヶ月
現在      2018年12月 2.4% ▼0.3 12ヶ月
2012年12月基点 2018年12月 2.4% ▼1.9 72ヶ月

第二次安倍政権になってから2018年12月までに完全失業率は1.9ポイント低下しています。
ですが、72ヶ月もかけての話です。
麻生政権が崩壊した2009年9月の完全失業率は5.4%と惨憺たる状況でした。その惨状の建て直しからはじめざるを得なかった民主党政権ですが、2012年12月までの39ヶ月間に完全失業率を1.1ポイント低下させています。中でも菅政権はわずか15ヶ月で1.0ポイント低下させていて、東日本大震災といった大災害に見舞われた状況としては驚異的です。

第二次安倍政権での完全失業率の低下は最初の1年こそ0.6ポイント低下させたもののそれ以降はペースが鈍っています。もちろん、完全失業率の指標の性質上、低下するほど低下しにくくなるという点は考慮されるべきでしょうが、1年間で0.1~0.4ポイントという変化では、政策の効果なのか景気の自然変動の範囲なのか、ちょっと判断しにくいところでしょうね。




安倍首相「政治で大切なのは雇用」=アベノミクスの成果強調-参院予算委

2019年03月04日17時32分

 参院予算委員会は4日午後、2019年度予算案に関する基本的質疑を続行した。安倍晋三首相は、金融緩和を柱とするアベノミクスに関し「2%の物価安定目標に届いていないのは事実だが、政治の場で大切なのは雇用だ」と述べ、好調な雇用情勢を理由にアベノミクスの成果を強調した。自由党森裕子幹事長への答弁。
 森氏は、物価上昇率目標の未達成などを引き合いに「アベノミクスは失敗だったのではないか」と指摘。首相は「大胆な金融政策を行わなければ、デフレが続いていた。金融政策によって雇用を改善できるというのが私たちの考え方だ。事実そうなっている」と反論した。(2019/03/04-17:32)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019030400734&g=pol