「韓国政府だけで問題を解決するのは難しい」のは当たり前の話。

この件。
「徴用」問題 韓国首相「政府の対応策には限界がある」(2019年5月15日 17時51分)

既に賠償を命ずる大法院判決が出ている以上、韓国政府にできることには大きな限界があります。

日本側が期待しているのは被告企業に課された賠償の支払いを韓国政府が全額肩代わりすることなのでしょうが、韓国政府が動かせる予算は言うまでもなく国民のものですから、韓国政府の一存で一被告企業の賠償金肩代わりに使うことはできません。使うためには法的根拠が必要ですが、立法府において与党はもちろん、野党もそのような立法に賛同はしないでしょうし、ひいては国民自体も納得はしないでしょう。
旧宗主国の加害企業に課された賠償金を何故旧植民地国の国民の税金から払わねばならないのかという当然の疑問が生じるからです。それも韓国の司法のトップである大法院判決で確定しているのに、です。

仮に韓国政府が賠償金の肩代わりの予算を確保したとしても問題は残ります。
大法院判決で確定した以上、韓国国内法的に被告企業は原告に対する債務を負っていることになります。同時に原告側は被告企業に対する債権を有しています。韓国政府が原告側に賠償額と同額を支払うと申し出たとしても、それにより債権が消滅することに原告側が同意しなければ、被告企業の債務は消滅しません。
今から法律を制定して大法院判決を無効にすることも、原告の債権を事後的に消滅させるまさに事後法ということになり、不利益不遡及の原則に反します。

現実問題として、大法院の確定判決が出た後になってからじゃ政府側の取れる手段は少なく、被告企業に圧力をかけて和解に応じさせず大法院判決まで突っ込ませた安倍政権の失態でしかないんですが、嫌韓感情に目が曇っている日本社会ではそれを自覚すら出来ないんですよね。

そして常日頃、日本側が主張してる“司法の独立”だの“法の遡及適用の禁止”だのを綺麗さっぱり忘れ去り、韓国政府に対して司法介入や遡及適用を要求して恥じないという、何なんですかね、この国。


あ、あと何度も言っていますが、今回の大法院判決の論理は2012年の差戻判決と同じですから、文政権が介入して賠償判決を出させたなんてことはありえません。どうもこのデマを信じている人が多く、元駐韓大使の武藤氏などが積極的に流布してもいるので困ったものです。




「徴用」問題 韓国首相「政府の対応策には限界がある」

2019年5月15日 17時51分

太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で日本政府が適切な対応を求める中、韓国政府は、日本企業に賠償を命じた司法判断を尊重する姿勢を示すとともに、政府だけで問題を解決するのは難しいという結論に至ったことを明らかにしました。
太平洋戦争中の「徴用」をめぐって、韓国では去年10月以降、日本企業に賠償を命じる判決が相次ぎ、差し押さえられた資産の売却手続きが始められるなどしています。
これに対して日本政府が再三抗議し、適切に対応するよう求める中、韓国政府で対応策を検討していましたが、取りまとめにあたってきたイ・ナギョン(李洛淵)首相は15日、首都ソウルで開かれた討論会で、司法判断を尊重する従来の立場を改めて示しました。
そして「司法手続きが進行している事案であり、結論は、政府の対応策には限界があるということだった」と述べ、韓国政府だけで問題を解決するのは難しいという結論に至ったことを明らかにしました。
一方で、イ首相は、「徴用」をめぐる問題が2国間の関係全体に影響を及ぼすことのないよう、日本政府と知恵を出し合いたいとして、来月下旬に開かれるG20大阪サミットで日韓首脳会談が開催されることに期待を示しました。

官房長官「解決策を示すべきは韓国側」

官房長官は午後の記者会見で、「現在、日韓関係は非常に厳しい状況にあるが、これは旧朝鮮半島出身労働者の問題をはじめとして、韓国側による否定的な動きが相次いだことにより引き起こされているものであって、解決策を示すべきは韓国側にあることは明快に申し上げたい。わが国としては、これらの問題について、一貫した立場に基づき、引き続き韓国側に適切な対応を強く求めていきたい」と述べました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190515/k10011917051000.html