「不適切事案」は韓国から第三国への具体的な輸出案件を念頭に置いたものではないし、政府もそんな説明をしてないという話。

こういう増田。

日本 「韓国さんを信頼して戦略物資の輸出を簡略化する優遇措置をとるよ」
韓国 「日本が貿易で大きく黒字をだしてるはずの韓国を優遇するのは当然のこと!」
日本 「韓国さん、戦略物資の使途不明分があるんだけど、協議をもって、どこに行ったか説明してもらえる?」
韓国 「・・・・・」
~1年後~
日本 「やっぱり戦略物資の使途不明分があるよね。もう一度頼むんだけど、どこに行ったか説明してもらえる?」
韓国 「・・・・・」
~2年後~
日本 「そろそろ使途不明分を説明してもらえないと、本当に困るんだよね。協議に応じてもらえないかな?」
韓国 「・・・・・」
~3年後~
世界 「おう、日本。てめぇんとこの戦略物資がイランとか北朝鮮に漏れてる恐れがあるんだが?瀬取り監視の前に輸出管理出来てんだろな?」
日本 「韓国さん、瀬取り疑惑もあるし、本当にまずいって、安全保障上の問題になる前に説明をしてよ」

https://anond.hatelabo.jp/20190801140836

まあ、安倍政権や翼賛メディアがそういう印象を抱かしめるプロパガンダを日本国内で垂れ流しているから、情弱な連中や嫌韓傾向のある連中はコロッと騙されるんでしょうけどね。

で、この増田の認識自体が日本政府の説明と全く合致していません。

例えば、日本政府が繰り返し言及しながら具体的な説明を一切拒否している「不適切な事案」ですが、「韓国から第三国への具体的な輸出案件を念頭に置いたものではありませんし、今までもそういう説明は全く行ってきていない」と世耕経済産業大臣自身が記者会見で明言していますね。

Q: 12日の事務会合で、経産省としては、不適切な事案というのは北朝鮮など第三国への不正輸出ではないことを説明しました。韓国側は、北朝鮮の問題ではなく二国間であるという点を含めて、輸出管理は適正であり日本の措置を不当と主張する可能性がありますが、御所見を伺わせてください。

A: まず、それぞれの事案の詳細については、個別の社の取引に関する内容でありますし、また、日本側の輸出管理の執行に支障が生じる懸念がありますので、個別具体的にお答えすることは控えたいというふうに思いますが、今回の対象となった3品目に関する輸出管理の運用見直しに関連する不適切事案は、韓国から第三国への具体的な輸出案件を念頭に置いたものではありませんし、今までもそういう説明は全く行ってきていないわけであります。一度も我々はそんなことを申し上げたことはないわけであります。プレスの皆さんに対しても申し上げたことはありません
その上で、これら製品分野については、日本が主要な供給国として国際社会に対して適切な管理責任を果たす必要があるということ、そして、この製品分野は、特に輸出先から短期間・短納期での発注が繰り返される慣行があるということ、そして、現に不適切な事案が発生をしているということなどから、我々は運用の見直しをすることになったというものでありまして、この運用見直しが何か不当であるというような指摘は全く当たらないというふうに思っています。

https://www.meti.go.jp/speeches/kaiken/2019/20190716001.html

さらに言えば、輸出管理にかかわる問題で日本側が韓国側に問題提起すらしていない疑惑が濃厚です。

Q: すみません、ちょっと前の話で恐縮なんですけれども、22日に韓国の産業通商資源省の報道官の会見で、日本側は、ただ一度も我が国のキャッチオール制度の問題点を公式にも、非公式にも問題提起してきたことはなかったと発言しているんですけれども、事実関係はいかがでしょうか。

A: 韓国側のいろいろなこれまでの発言は、私達も、もう何回もその誤りを指摘してきているわけであります。また今回もやらなければいけないのは大変残念だと思いますけれども、そもそも輸出管理制度の具体的な制度や運用というのは、大量破壊兵器や通常兵器の不拡散などに責任を持っている各国が自らの責任の下で行うものでありまして、そもそも、日本から言われたか言われていないか、他国から問題提起を受けたかどうか、他国に責任転嫁をするような主張そのものにまず、とにかく論理構成に違和感を覚えるわけであります。

https://www.meti.go.jp/speeches/kaiken/2019/20190729001.html

韓国側が「日本側は、ただ一度も我が国のキャッチオール制度の問題点を公式にも、非公式にも問題提起してきたことはなかった」と発言したことに対して、世耕経済産業大臣はそれを否定することなく、日本側から問題提起したかどうかについては答えていません。

実際には、日本政府による対韓国輸出規制はそれを正当化できる事情など無く、単に韓国に対して不満を持った安倍政権が仕掛けた貿易戦争ということでしょう。
規制を正当化できる事情が無い以上、政府はそれがあると公言はしにくく、その公言しにくい部分を嫌韓メディアがヘイトまじりに創作して垂れ流し、日本国民に韓国に対するヘイト感情を植え付けたと。

そのひとつの表れが、冒頭引用した増田の存在であろうと。

正直、ここまで社会全体がヘイトに塗れて狂った以上、今さら治療する術など無いでしょうね。
狂った日本社会がどういう終焉を迎えるのか、こちらに火の粉がかからないように注意しながら見守りたいところです。