2012年に大法院が高裁差戻し、2013年に高裁判決が出た後、2017年まで4年間放置したわけで

2018年10月30日に大法院が被告企業である新日鉄住金に賠償を命じた新日鉄住金強制徴用訴訟ですが、この事件について原告がソウル中央地裁に提訴したのは、2005年2月28日のことです。
3年後の2008年4月3日に原告敗訴の地裁判決が下り、原告はソウル高裁に控訴します。
しかし、1年後の2009年7月16日にソウル高裁も原告敗訴となる控訴棄却判決を下します。
原告はさらに大法院に上告し、3年後の2012年5月24日に原告勝訴となる原審破棄差戻し判決が下ります。

このとき、同時に判決が下った同種事件である三菱事件について、日弁連が判決の日本語訳を公表しています。
三菱事件大法院第一部判決

ここまで地裁提訴から既に7年以上も経過しています。

大法院が原審破棄差戻し判決を出し判決文の中でその論理を明示している以上、よほどのことがない限り差し戻された高裁はその論理に沿った判決を下します。
このときも同じく、大法院による破棄差戻しから1年後の2013年7月10日、ソウル高裁は被告新日鉄住金に対し原告に対する損害賠償を命じる原告勝訴の判決を下しています。

被告新日鉄住金はこれを不服として2013年8月に大法院に上告しますが、ここから裁判手続きが止まってしまいます。

言うまでもありませんが、大法院が原審破棄差戻しを命じた論理に沿った判決を高裁が出している以上、その高裁判決を不服とした上告がされてもほとんどの場合棄却されておしまいです。注目される裁判だと様々な批判や検証に耐えうる判決にするために時間をかけて審理することもあるでしょうし、本事件もそれに相当しますが、それにしても、2013年8月の上告から、文政権になって2018年10月30日に至るまで、実に5年以上経過しているわけで(文政権になるまででも4年近く)、これだけ見ても相当な異常事態であることが推認できます。

最初の上告(2009年)から最初の大法院判決(2012年)まででも3年足らずでしたから、2013年の上告から5年以上もかかるとはまず考えられないんですよね。
普通に考えれば、大法院が判決を下すことを回避するために審理をサボタージュしていたとしか言いようがありません。

このサボタージュに同期間中の大法院長・梁承泰が関与していたとして追及されているわけですが、そりゃ当然でしょうとしか言いようがありませんね。
政治的理由で司法判断を故意に遅延させたわけですから。
しかも、原告の徴用工4人のうち3人が、2013年の上告から2018年の大法院判決までの期間に亡くなっています。原告が全員死に絶えるまで判決を遅延させるつもりだったとすれば、相当悪質な犯罪行為ですよね。

その辺を理解していないと、こういう素っ頓狂なブコメをつける羽目になります。

徴用工裁判の判決を遅らせた疑いで梁承泰前最高裁長官が逮捕された。少なくとも文政権の言う「司法を尊重」は大ウソだろう。
aobyoutannのコメント2019/09/08 20:42

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