相模原事件の被告に死刑判決が出た件について。

死刑反対。
命を選別できるとして多数の障碍者を殺傷した被告の論理には一片たりとも理がありませんが、であればこそ、命の選別である死刑に賛成できません。
一個人による命の選別は罪だが、法に基づき裁判所で決定する命の選別は罪ではないとするならば、障碍者安楽死を推進したナチスの罪を問うこともできません。
被害者や遺族が賛同するのは理解はできますが、そうではない人が相模原事件の被告の死刑に賛同することは、命の選別は可能だとする被告の思想への賛同に他ならないと考えます。



とりあえず、WHOがどう“suspected case”を定義しているか報じるべきではないかな

この件。
「検査をもっとやれ」という日本へのメッセージではない。WHOの声明を伝える報道で不正確な情報が拡散(2020/03/18 19:11 千葉 雄登 岩永直子 BuzzFeed News Editor, Japan)

ここでこう述べられています。

「検査、検査、検査」そんなWHOのテドロス事務局長の言葉が日本でも報じられている。だが、注釈に触れられていない形で発信されたこれらの情報には注意が必要だ。

https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/who-message-mislead

で、確かにテドロス事務局長は“We have a simple message for all countries: test, test, test. Test every suspected case”と疑い症例を全て検査せよと言っています。
BuzzFeed はこれに対して「注釈に触れられていない形で発信されたこれらの情報には注意が必要」で「無症状の人にまで対象を広げ、検査を行うべきだという内容の声明ではない」と言っています。
そして、注釈付きの声明はこうだと述べています。

私たちは世界各国へシンプルなメッセージを伝えたい。検査、検査、検査です。全ての疑わしいケースで検査を行うべきです。

テストの結果、陽性と確認された場合は隔離を行い、発症の最大2日前までさかのぼって濃厚接触者を見つけ、彼らに対しても検査を行う必要があります。[注釈:WHOは感染が確認された人の接触者で、COVID-19の症状を示している場合においてのみ、検査を推奨しています]

(原文)
We have a simple message for all countries: test, test, test.
Test every suspected case.
If they test positive, isolate them and find out who they have been in close contact with up to 2 days before they developed symptoms, and test those people too. [NOTE: WHO recommends testing contacts of confirmed cases only if they show symptoms of COVID-19]

https://www.who.int/dg/speeches/detail/who-director-general-s-opening-remarks-at-the-media-briefing-on-covid-19---16-march-2020
https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/who-message-mislead

どうも、テドロス発言を“無症状の人も含めて検査せよ”と解釈した誤解があるという前提をおいた上で、それは間違いだと主張しているようではあります。しかし、そもそもそのような誤解は一般的なのかという疑問がありますし、BuzzFeedが言及しているAFP*1もテレ朝*2も、「疑いのある患者全員」「疑わしい例すべて」を検査せよという発言として報じています。

で、どうもこの「疑いのある患者全員」「疑わしい例すべて」である“every suspected case”が明確になってないのが誤解の原因であるように思います。

そこで調べてみると、WHOは“Suspect case”について、ちゃんと定義をしていることがわかります。

Suspect case とは何か?

WHOが毎日公表しているSituation Report にCASE DEFINITIONSとして書いてあるんですよね。

Suspect case

A. A patient with acute respiratory illness (fever and at least one sign/symptom of respiratory disease (e.g., cough, shortness of breath), AND with no other etiology that fully explains the clinical presentation AND a history of travel to or residence in a country/area or territory reporting local transmission (See situation report) of COVID-19 disease during the 14 days prior to symptom onset.

A. 急性呼吸器疾患(発熱および呼吸器疾患の少なくとも1つの兆候/症状(例、咳、息切れ)を有し、かつ、臨床症状を他の原因で完全に説明することができず、かつ、発症前14日間以内に COVID-19の流行地域への渡航歴・居住歴がある場合、

OR

B. A patient with any acute respiratory illness AND having been in contact with a confirmed or probable COVID19 case (see definition of contact) in the last 14 days prior to onset of symptoms;

B. 急性呼吸器疾患を有し、かつ、発症前14日間以内に、COVID-19患者(確定または可能性のある)と接触した場合、

OR

C. A patient with severe acute respiratory infection (fever and at least one sign/symptom of respiratory disease (e.g., cough, shortness breath) AND requiring hospitalization AND with no other etiology that fully explains the clinical presentation.

C. 重度の急性呼吸器感染症(発熱、呼吸器疾患の少なくとも1つの兆候/症状(例:咳、息切れ))を有し、かつ、入院が必要で、かつ、臨床症状を完全に説明できる他の病因がない場合

https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/situation-reports/20200318-sitrep-58-covid-19.pdf

A、B、C いずれの場合も症状があることが前提ですから、確定患者との接触者であっても症状が無ければ定義上は Suspect case にはならず、テドロス発言につけられた注釈はそれを指しているわけですね。
だからと言って、これらの条件を満たす患者を日本は全て検査できているかというとそうも思えません。

Aは、急性呼吸器疾患を有していて、2週間以内に流行地への渡航歴があり、症状を他の原因で完全に説明できなければ、検査対象ということですが、この症状を他の原因で完全に説明できるかというのはかなり厳しい条件です。

例えば、細菌性肺炎だと判明した症例であっても細菌性肺炎とCOVID-19が併発している可能性を排除するには、抗生物質を投与して細菌性肺炎の症状が治まることを確認しなければできません。普通は細菌性肺炎か非定型肺炎かの簡易な鑑別を行なった上で、それぞれに見合った治療を行い、それで効果が無ければ他の薬剤を使いますが、そうするとそんな完全にCOVID-19の可能性を排除するのが容易ではないのはわかりますよね。

Bは、COVID-19の確定患者(あるいは可能性のある患者(Probable case))との接触者ですが、急性呼吸器疾患の症状のあるという条件はAと変わりませんが、症状を他の原因で完全に説明できるかという条件は無くなっています。つまり、確定患者との濃厚接触者であって急性呼吸器疾患の症状があれば、疑い症例となるわけです。

Cは、渡航歴も確定患者との濃厚接触の有無も条件から外れています。入院が必要な重度の急性呼吸器感染症であって、COVID-19以外の原因で完全に症状を説明できる場合を除いた症例が対象となります。COVID-19併発の可能性も完全に排除するのは困難であることを考慮すると、入院した重症の呼吸器“感染症”患者は全て検査対象と見るべきでしょう。

日本で、こういった人たちを全て検査できているかと言えば、まあ、できていないとしか言いようがないと思うんですけどね。



*1:「WHOは各国に対し、「検査、検査、検査。疑いのある患者全員を検査するよう」勧告している」https://www.afpbb.com/articles/-/3273689

*2:「WHO・テドロス事務局長:「すべての国に訴えたい。検査、検査、検査だ。疑わしい例すべてに対してだ」」https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000179228.html

死者数も信用できるとは限らないという話

この件。
日本が新型肺炎に強かった理由(3/16(月) 15:11配信 ニューズウィーク日本版)

まだ、完了形で「日本が新型肺炎に強かった」などと言える状況ではないと思うんですけどね。

個人的には、イベント自粛や一斉休校の措置は感染拡大を阻止する上で一定の効果があったとみていますが、それを踏まえても日本で確認されている感染者数は少なすぎる印象はあります。

“死者数が少ない”ことを強調する人もいますが、これも個人的にはあまり信用できないだろうと見ています。“死者数は正確だ”という主張もその根拠は、COVID-19を疑わせる患者が亡くなった場合は医療機関は院内感染を心配して必ず検査する、というものだったりしますが、これもあまり信用できません。

例えば、肺炎・誤嚥性肺炎の年間死者数が13万人からいて1日あたり350人程度になりますが、生存している重症患者の数も含めたこれらの患者を全員検査することは日本の検査能力を考慮すればまず不可能ですよね。明らかにCOVID-19以外の肺炎患者を除外するとしても、既知の細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別だって、それほど確定的なものではなく*1、一般的には細菌性肺炎・非定型肺炎いずれの原因に対しても効果のある薬剤を処方するなどして、それで効果が無い場合に他の可能性を考慮するというのが多いかと思います*2

COVID-19特有の症状を医師が見極めることができるかというと現時点でそこまでの特徴は判明していないでしょうし、細菌性肺炎とCOVID-19を併発しているような場合に、COVID-19かどうかをどうやって判断するのかという問題もあります。結局のところ、検査しなければ判断できないわけですが上述した通り、日本の検査能力上、肺炎患者を全て検査するなんてことはできません。

すると、COVID-19かどうか不明のまま、軽症者には既知の肺炎の治療薬を出して自宅療養させ、重症者は入院させ人工呼吸器なども使った治療をせざるを得ないわけですよね。仮にSARS-CoV-2の検査をするにしても検査結果が出るまではそうせざるを得ません。

院内感染が心配なのは別にCOVID-19に限らず他の肺炎(マイコプラズマ肺炎等)でも対応すべきことですから、“COVID-19の疑いがある患者が来たら検査して確定させないと何もできない”なんてことはないでしょう。アルコール除菌が有効だとわかっているのですから、COVID-19かどうかわからないが、COVID-19だとしても大丈夫なくらいの院内感染対策をとればよいだけです。
もし患者が亡くなったとしても、死因として肺炎と書けばよく、それがCOVID-19であるかどうかを確認しなければならないこともありません。COVID-19だったかもしれないと医師が思ったとしても、遺体や病室に残留したSARS-CoV-2が他者に感染しないよう除菌と消毒を徹底すればよいだけです。おそらく、MRSAマイコプラズマ肺炎で亡くなった場合も同じように除菌と消毒をしているはずです。

“COVID-19患者を確認したら国に報告の義務があるから”という理由で、COVID-19での死者数は正確だと主張する人もいますが、あくまでも確認したらの話で、検査できず確認できないのであれば報告の義務はありませんよね。それどころか、もし検査して陽性だとなれば、病院関係者に対する調査や消毒などで病院を一時閉鎖する必要が出てきますから、病院経営的には検査することにメリットがありません。

そもそも“治療薬がないのだから検査することに意味はない”といって検査不要論を主張している人もいますが、その理由は病院が検査したくない理由にこそ適用されますよね。

国の態度も明らかに検査を推奨するようなものではありませんから、重症の肺炎患者が入院直後に亡くなったとしても病院としては院内感染を防ぐための除菌・消毒を徹底するだけで、それ以上のことはしたくないんじゃないじゃないですかね。

何といっても、COVID-19だとわかったところで治療法はないし(既に死亡しているなら尚更)、PCR検査を求める手間もかかるし、もし陽性だった場合には国に報告する義務があるし、場合によっては病院を一時閉鎖する必要があるしで、病院にとっては何のメリットもありませんよね。

こういったことを考慮すると、果たして日本のCOVID-19による死者数もどれほど正確だといえるのか、と疑わざるを得ないのですよねぇ。



*1:https://www.osaka-med.ac.jp/deps/in1/res/memo/infection/cap/Cap2005JRS/AtypicalTable.htmlhttp://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/040120929j.pdf

*2:2002年の日本呼吸器学会市中肺炎ガイドラインでは、起炎菌不明の時点で細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別を行い、非定型肺炎が疑われる場合はマクロライド系やテトラサイクリン系薬剤を、細菌性肺炎が疑われる場合はβ-ラクタム系薬を推奨するやり方。高齢者や持病のある人がCOVID-19に罹患した場合、ガイドライン的には細菌性肺炎が疑われる流れになることが多くなりそう。

安倍政権を批判するフリをして民主党政権に責任を押し付ける橋下氏と同様の論調

この件。
「決定的な落ち度といえます」櫻井よしこが喝破する“新型コロナで露呈した日本の弱点”(3/16(月) 6:00配信 文春オンライン)

まあ所詮、櫻井よしこだからなぁ。

以下の部分とか嘘八百だし。

 ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「こうした法律の不備は、2009年に203人もの犠牲者を出した新型インフルエンザの際にも露呈していました」と指摘する。
 いまに至るまで尾を引いている、新型インフルエンザ発生の際の問題点について櫻井氏が語る。 
 当時、新型インフルエンザに対応していたのは検疫法だ。これは戦後まもない1951年(昭和26年)に制定された法律であり、21世紀型の大規模感染症に対応するには時代遅れの面は否めなかった。
「そのころ、国会で検疫法の改正に向けた動きがありました。ところが、さんざん議論を重ねたにもかかわらず、当時の鳩山由紀夫政権は煮え切らず、半世紀以上前に作られた法律がほぼ残ってしまい、結果として多くの犠牲者を出してしまったのです」

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200316-00036621-bunshun-pol

まるで鳩山政権が検疫法をちゃんと改正しなかったから2009年の新型インフルエンザ流行で203人が死んだかのように櫻井よしこ氏は書いていますが、2009年の新型インフルエンザ感染が日本国内で最初に確認されたのは2009年5月9日(成田空港の検疫で確認。国内で感染した最初の事例は5月16日)で、この当時は麻生政権(2008年9月24日~2009年9月16日)です。
鳩山政権が成立した時には既に国内での感染拡大が進んでいて、検疫法とかで対応する段階じゃありませんでした。

というわけで、いつもの通り息を吐くようにウソをつく櫻井よしこ氏でありました。

まあ、この人はウソをついて他人の名誉を毀損しても裁判所によって愛国無罪が認められていますから味を占めてるんでしょうねぇ。いわば政府公認の嘘つき許可証をもった煽動屋といったところでしょうか。



これに関しては山尾志桜里議員の論理の方が矛盾していると思う

この件。
山尾志桜里が造反理由を独白「党の方針と折り合えなかった」〈週刊朝日〉(3/18(水) 8:00配信 AERA dot.)

まあ、新型インフルエンザ特措法の危険性についての指摘という点では同意できる点も多いのですが。

 改正特措法で緊急事態が宣言されると、住民の外出自粛こそ要請ですが、学校や保育園、老人ホームなど施設の使用制限や禁止、イベント・催事の中止などを指示できることになっています。人権が著しく制限される懸念があるのです。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200317-00000028-sasahi-pol

ただ、上記のような言い方ですと、まるで改正前の特措法には人権制限の懸念が無かったかのように読めてしまいます。
今回の法改正は既存の新型インフルエンザ特措法の対象にCOVID-19を2年間の期限付きで明示的に追加しただけで、緊急事態関連の規定は以前から存在しています。

そこで気になるのは山尾議員は、2012年3月の新型インフルエンザ特措法成立の採決の際に反対したのかどうかという点です。共産党などは委員会採決の際に明確に反対していますが*1衆院本会議での採決の時、山尾議員は衆議院議員だったはずですが、起立せずに反対したのでしょうか?(起立多数で採決されていたので、個々の議員の賛否が不明*2

いずれにせよ、山尾議員の論理に沿うとCOVID-19の追加に反対するだけではなく、改正前の新型インフルエンザ特措法に対しても反対(または緊急事態条項部分の改正を主張)しなければおかしいです。
山尾議員がCOVID-19の適用についてだけ反対しているのなら、ともかく以下の部分を見るとそうではないことがわかります。

 期間は2年が上限で、その後1年ごとに延長でき、回数に制限もない。いったん宣言が発令されると、いつまでも戒厳令のような状態が続く可能性がある。市民から「長すぎる」「禁止が厳しすぎる」などの疑念や不満が出ても反対集会ができない恐れもある。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200317-00000028-sasahi-pol

今回の法改正は附則に、法の対象にCOVID-19を追加するというもので、その期限は最大2年と明記され延長の規定はありません。新たに法改正しない限り、施行から2年後にはCOVID-19は法の対象外となり、緊急事態に関する規定もCOVID-19に対しては無効になります。

新型コロナウイルス感染症に関する特例)
第一条の二 新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。第三項において同じ。)については、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律(令和二年法律第四号。同項において「改正法」という。)の施行の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、第二条第一号に規定する新型インフルエンザ等とみなして、この法律及びこの法律に基づく命令(告示を含む。)の規定を適用する。
(略)

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=424AC0000000031#L

ですから、少なくともCOVID-19に関して安倍政権が緊急事態宣言を出しても、本法改正施行から2年を超えて緊急事態を延長させれば、それは違法行為となります。
すると、山尾議員の主張の対象は、本法改正以前の新型インフルエンザ特措法であると考える以外にありません。

ただ、それは民主党政権下で提出された提出時法律案に既に存在していた規定ですから、立憲民主党としてか、あるいは衆院議員山尾志桜里として*3、同法に対する見解を明確にして、今後法改正を求めるということでなければ筋は通りませんね。



なんか中国が隠蔽したから日本の対応が遅れたみたいな言説があるけど

2019年12月31日時点で中国は武漢で起きている原因不明の肺炎について以下のように公表していて、WHOにも通報しています。

武汉市卫健委关于当前我市肺炎疫情的情况通报

发布机构: 武汉市卫生健康委员会 | 发布时间: 2019-12-31 13:38:05

近期部分医疗机构发现接诊的多例肺炎病例与华南海鲜城有关联,市卫健委接到报告后,立即在全市医疗卫生机构开展与华南海鲜城有关联的病例搜索和回顾性调查,目前已发现27例病例,其中7例病情严重,其余病例病情稳定可控,有2例病情好转拟于近期出院。病例临床表现主要为发热,少数病人呼吸困难,胸片呈双肺浸润性病灶。目前,所有病例均已隔离治疗,密切接触者的追踪调查和医学观察正在进行中,对华南海鲜城的卫生学调查和环境卫生处置正在进行中。

武汉市组织同济医院、省疾控中心、中科院武汉病毒所、武汉市传染病医院及武汉市疾控中心等单位的临床医学、流行病学、病毒学专家进行会诊,专家从病情、治疗转归、流行病学调查、实验室初步检测等方面情况分析认为上述病例系病毒性肺炎。到目前为止调查未发现明显人传人现象,未发现医务人员感染。目前对病原的检测及感染原因的调查正在进行中。

病毒性肺炎多见于冬春季,可散发或暴发流行,临床主要表现为发热、浑身酸痛、少部分有呼吸困难,肺部浸润影。病毒性肺炎与病毒的毒力、感染途径以及宿主的年龄、免疫状态有关。引起病毒性肺炎的病毒以流行性感冒病毒为常见,其他为副流感病毒、巨细胞病毒、腺病毒、鼻病毒、冠状病毒等。确诊则有赖于病原学检查,包括病毒分离、血清学检查以及病毒抗原及核酸检测。该病可防可控,预防上保持室内空气流通,避免到封闭、空气不流通的公众场合和人多集中地方,外出可佩戴口罩。临床以对症治疗为主,需卧床休息。如有上述症状,特别是持续发热不退,要及时到医疗机构就诊。
2019年12月31日

http://wjw.wuhan.gov.cn/front/web/showDetail/2019123108989

On 31 December 2019, WHO was informed of a cluster of cases of pneumonia of unknown cause detected in Wuhan City, Hubei Province of China.

https://www.who.int/westernpacific/emergencies/covid-19

台湾はこれを受けて即日、武漢からの渡航者に対する検疫を強化しています*1
台湾が対応できていた以上、日本の対応が遅れたのは日本政府の責任であって、中国政府の隠蔽に責任転嫁することはできませんね。



そこは特に批判すべきところではないと思うが

この件。
緊急事態宣言、「事前報告」で立憲など妥協 特措法案(3/12(木) 6:00配信 朝日新聞デジタル)

立憲民主党がこの法改正に賛成したことに対して、安倍政権に批判的な層から立憲民主党を批判する声が出ています。
それもまあ理解できなくはないのですが、この法改正に賛同しないという選択肢は、旧民主党系の政党にはまずありませんので、その批判には同調できません。

理由の一つは、この法改正の対象となる新型インフルエンザ等対策特別措置法民主党政権時代に成立した法律だという点です。問題視されている緊急事態宣言に関する条文もこの新型インフルエンザ等対策特措法に既に存在しています。民主党政権当時にその緊急事態宣言を含めて成立させた法律であるのに、COVID-19を含める法改正似対して緊急事態宣言条文を理由に反対するのは筋が通りません。
また、理由の二つ目は、立憲民主党は政府のCOVID-19対応の当初より、COVID-19を新感染症として感染症法・検疫法・新型インフルエンザ等対策特措法が適用できると主張していたはずです(その点は私も同意見です)。それはつまり現行法のままでも緊急事態宣言ができるという解釈に他なりませんので、その意味でも緊急事態宣言されかねないから法改正反対というロジックがとれないということになります。

安倍政権は自らの法律の適用遅れの責任を回避するために現行法では対応できないと強弁しているにすぎません。
要するに安倍首相が愚図って駄々をこねているために新型インフルエンザ等対策特措法に関わる措置がCOVID-19に一切適用できず、ゆえに日本の感染症対応が遅れて日本国民に被害が及ぶ以上、旧民主党系の野党としては、国民に被害が及ばないように安倍首相をあやさざるをえないわけです。

その意味では、立憲民主党や国民民主党が取れる対応は、あくまで現行法で適用可能だから法改正には応じないという姿勢を貫くか、現行法で適用可能だが国民に被害を与えないために譲歩して法改正に協力するしかありません。世論を踏まえれば、後者を選択するしかないでしょう。

もちろん、もともと新型インフルエンザ等対策特措法成立時から反対していた政党であれば、今回の法改正にも反対して当然で筋が通っています。共産党などは当時から緊急事態条項を批判していたはずですから、今回も反対しているのは当然の展開でしかありません。

しかし、旧民主党系は緊急事態条項を理由とした反対はできませんから、そこで野党の判断が割れるのも当然で、それ自体を深刻にみる必要もないと思います。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、首相による「緊急事態宣言」を可能とする法案が11日、衆院内閣委員会で可決された」という表現もどうかなと思いますね。

緊急事態宣言は民主党政権時代に作った法律に既に含まれていたもので、今回新たに安倍政権にその権限を許容したというわけではないですからねぇ。