「アジア太平洋戦争」という語

以前の記事の続き的な。

アジア・太平洋戦争―シリーズ日本近現代史〈6〉 (岩波新書)」吉田裕、2007/8/21
(p.v-vi)
 なお、本書では、四一年一二月に始まり、四五年九月の降伏文書調印で終わった戦争を「アジア・太平洋戦争」とよぶことにする。当時使われた「大東亜戦争」は、あまりにもイデオロギー過剰な呼称であるし、現在一般的に使われている「太平洋戦争」も、日米戦争本位の呼称で、中国戦線や東南アジアの占領地の重要性が見失われてしまう可能性がある。私も編集委員の一人である『岩波講座 アジア・太平洋戦争』全八巻では、満州事変、日中戦争、「太平洋戦争」という一連の戦争を、「アジア・太平洋戦争」という広義の概念で把握することを提唱している。あの戦争を、戦後をも組みこんだ時間的ひろがりと、「帝国」という空間的ひろがりのなかで、とらえ直そうという問題意識に基づいてのことである。その問題意識を継承しつつ、本書では、戦争の呼称としては、「アジア・太平洋戦争」を「太平洋戦争」にかわる戦争の呼称として、使用することにしたい。「大東亜戦争」「太平洋戦争」にかわる適切な呼称が、他に見出せないという理由からである。

まあ、右の人にはもちろん、“右も左も批判できる中立”なつもりの人にも理解は出来ないのでしょうけどね。