「河野談話見直しではない」という主張はまず国内に向けてやるべき

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河野談話見直しではない」 日韓代表が国連で応酬

2014年3月7日01時38分
 旧日本軍の従軍慰安婦を巡る河野談話の検証作業を韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相が批判したことに対し、日本政府は6日、ジュネーブでの国連人権理事会で「談話を見直すとは一度も言っていない。菅義偉官房長官も政府の立場は河野談話の継承だとしている」と反論した。韓国も反論し、主張の応酬になった。

http://www.asahi.com/articles/ASG365QFSG36UHBI028.html

安倍首相は河野談話を見直すとは一度も言っていない、という日本政府の反論です。

さて、国立国会図書館は「レファレンス」という雑誌を発行しており、その2013年9月号にこんな記事が載っています。

タイトル 従軍慰安婦問題の経緯 : 河野談話をめぐる動きを中心に
著者 山本 健太郎
出版年 2013-09
別タイトル The History of the Comfort Women Issue : Mainly about the Trend of Kono Statement
対象利用者 一般
資料の種別 記事・論文
資料の種別 国立国会図書館刊行物
資料の種別 立法情報

http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I024893798-00

国立国会図書館調査及び立法考査局外交防衛課の山本健太郎氏による記事ですが、その中でこう記載されています。

(4) 2006 年には、河野談話の見直しを主張していた安倍晋三氏が首相に就任し、その対応が注目されたが、安倍首相は政権発足直後に、河野談話の踏襲を表明した。
(略)
同年(註:2012年)末には河野談話の見直しを主張してきた安倍氏が再び首相に就任し、河野談話に関する議論が起きた。

元々安倍首相は以前から「Yes, we remember the facts.」事件(2012年11月4日)の首謀者の一人としても知られているくらい河野談話見直し論者であることは有名です。安倍信者が「安倍政権は2007年に河野談話を否定する閣議決定を行った」という都市伝説を吹聴して回っているのも、それを安倍氏らが黙認しているのも周知の事実です。国会図書館の刊行物でも「河野談話の見直しを主張していた安倍晋三氏」と認識されるくらい周知です。

要は誰がどう見ても、安倍氏が自らの信者・支持者に河野談話見直しを主張させているのは明らかだということです。自ら言葉として発していないがたとえ事実だとしても、信者・支持者に代弁させているだけなのが見え見えである以上、屁理屈でしかありません。「談話を見直すとは一度も言っていない。」などという日本政府の反論では、日本国内のメディアを黙らせることはできても海外を納得させることなど不可能です。

安倍政権が「談話を見直すとは一度も言っていない」ことを海外に納得させたいのなら、まず国内に向けて河野談話を一字一句といえども否定するつもりはないと明言し、政権内・与党内に対し、河野談話見直しを二度と主張しないよう厳命すべきですね。
維新などの議員が勝手に主張する分には止めようがありませんが、日本政府として安倍政権としては、河野談話を見直しするつもりはない、見直し論に与することもない、と釘を刺すことくらいはできるはずです。

でも、安倍政権はその程度のこともやらないでしょうけどね。
当然、海外からの非難が止むこともないでしょうね。