白アリにたかる秦郁彦

アジア女性基金で補償したとみなす人たちはかなりいますが、そのアジア女性基金慰安婦問題否認論者にどのように侮辱されていたかの一例を挙げておきます。
秦郁彦氏の「現代史の対決 (文春文庫)」です。

(P122-123)
 この頃、女性基金は原文兵衛理事長が亡くなったこともあり、休眠状態になっていたが、その間に基金の実権は和田春樹理事とその一派に握られた。和田氏は東大社研の名誉教授だが、左翼陣営のなかをカメレオン的変針を重ねたすえに、慰安婦問題では国家補償派から転向して女性基金に入りこんだ人物である。
 最初は運営審議委員の一人にすぎなかったが、やがて委員長、ついで理事になり、政界を引退したばかりの村山富市社民党党首を基金の理事長に担ぎだし、二〇〇〇年十月から寄付金の追加募集キャンペーンに乗りだした。
 

大黒柱に食いこむ白アリたち

 そのお披露目を兼ねた事業報告会が十一月二十七日に開かれたので、傍聴に行ってみた。正面には副理事長(二人)、理事などの幹部がずらりと顔をそろえていたが、理事長の短い挨拶のあとは、説明も質疑応答も和田氏が一人で引き受け、その間に隣席の村山理事長はマイクの調節に気を使うありさま。私が『諸君!』九九年二月号に「『アジア女性基金』に巣食う白アリたち」を書いて警告してから二年近くたつが、白アリはついに大黒柱まで喰いこんだらしいと実感した。

秦氏は2000年頃になると嫌いな相手に対する嫌悪感を露骨に表現するようになりますが、右翼の後ろ盾がついて気が大きくなったのでしょう。和田氏を「白アリ」呼ばわりするなど名誉毀損や侮辱にあたるような侮辱表現を使っています。
アジア女性基金で日本は誠実に対応したとか、主張する人は、アジア女性基金が、右翼からこのように激しく侮辱されていたことをちゃんと知っておくべきでしょう。

さて、その秦郁彦氏は最近、アジア女性基金の元理事らと並んで韓国側団体を侮辱する論陣を張っています。吉見氏との論戦で破れて益々右翼依存が激しくなったのかもしれませんが、自らが白アリ呼ばわりした人と同じ団体の理事を利用して存命を図っているようです。

白アリにまでたかる卑しさには呆れる他ありません。