法によらない圧力をかけて都合の悪い報道機関を潰すのが日本流

この件。

前ソウル支局長起訴 「韓国は先進国とは思えない」橋下氏が痛烈に批判

産経新聞 10月9日(木)11時49分配信
 産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領に関するコラムをめぐりソウル中央地検に名誉毀損で在宅起訴されたことについて、維新の党共同代表の橋下徹大阪市長は9日、「非常に恐ろしい。先進国、民主主義の国とは思えない」と批判し、日本政府に「全力を挙げて毅然とした対応を取り、韓国にもっと民主主義を重んじてもらうよう申し入れなければならない」と注文した。
 橋下氏は「選挙で選ばれた公選職が批判を受けるのは当然。表現の自由を重んじる国なら公選職への名誉毀損(の適用)は可能な限り狭める」と指摘。
 「こんなことが許されるなら、僕なんかメディア全部逮捕ですよ」と述べ、在宅起訴を非難した。市役所で記者団の取材に答えた。
 また、大阪府松井一郎知事は9日、「(政権に)批判的なことに対して、権力を使って罰を与えることは間違いだ」と述べ、韓国当局の対応を批判した。府庁で記者団に語った。
 松井知事は「自国に不利なことは一切報道させないというのは、韓国は本当に民主主義の国なのか」と指摘。「表現の自由は、どこの国でも、全ての人に認められる権利であるべきだ」と語った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141009-00000522-san-pol

橋下氏は自分に都合の悪い記事を書いた週刊朝日に対し、法的手続きに基づく抗議ではなく、親会社である朝日新聞などに執拗な政治圧力をかけて連載記事を中止させ社長を辞任に追い込んでいます。現在絶好調の安倍ファシズムのプロトタイプのような事件でしたが日本のリベラルは、週刊朝日の記事の内容が差別である、という点のみに捉われ、政治権力による言論弾圧という重大な側面には気づきませんでした。おそらく今も気付いていない人の方が多数でしょう。
弾圧は、多くの人が眉をひそめることに対して、本来なされるべき以上の対応がなされることから始まります。
例えば、ほとんど見逃されているわずかな速度違反などの軽微な違反について、特定の集団にだけ厳格に適用される場合があります。違反であることは確かであり反論も擁護もしにくいことです。あるいは、本来懲役10年で済むような犯罪に対して、微罪を併合させ15年を求刑する場合もあります。これも犯罪内容の非道さを訴えることで反論しにくくなります。
週刊朝日の記事は差別を含んでおり、擁護しにくいものでした。しかし橋下氏が政治圧力をかけたやり方は、犯した罪に見合ったやり方だったとは言えません。しかし、そう指摘しても「お前は差別を擁護するのか」というバッシングで黙らされてしまいました*1。反差別のリベラルが週刊朝日に政治圧力をかける橋下氏のやり方を黙認したわけです。

韓国政府批判ではなく韓国に対する民族差別を繰り返す産経新聞は、その下品な記事を韓国右翼団体に告訴され韓国政府は起訴まで持っていくことを容認しました。
韓国人にとって産経記事は擁護しにくい下品なものでしたが、それでも韓国メディアは韓国政府による起訴を批判しました。
「お前は日本を、産経を、産経によるセクハラ記事を擁護するのか」という声はほとんど聞こえてきません。
それは産経新聞ネトウヨが流布して回っている“韓国は反日が国是の国”という主張がいかにデマであるかを物語っていますが、ほとんどの日本人はそう受け取らず、韓国政府の対応をだけを見て“韓国は異常な反日の国”という妄信を強くするでしょう。
しかし、政府とメディアの関係という点においては、韓国は今の日本よりよほど正常です。

ですが、もう日本人にはそれが理解できないでしょうね。
日本では現在進行形で朝日新聞などの政権に都合の悪いメディアに対する弾圧が行われていることを踏まえると、韓国の件は国民の目をそらすには格好の材料と言えます。思う存分、目をそらせばいいと思います。私の知ったことではありません。