チンピラがわめいて虚構の対立の構図を描くことで第三者を忌避させるという手法はアメリカでも有効

慰安婦像設置に動く米加州の地元紙発行人 朝日の撤回は把握」という記事があります。
ここにこう書かれています。

 同紙には興味深い寄稿も掲載された。加州立大フラトン校のビンス・バック名誉教授(政治学)が執筆した『本当は平和を唱えていない平和モニュメント』(9月上旬号)と題した文章にはこうある。
慰安婦像建立を求める団体(加州韓国系米国人フォーラム)のウェブサイトを見ると、『日本政府は謝罪せよ』という目的に終始していて、女性の人権問題はそのための口実に過ぎない。下院決議121号(※注)を金科玉条のように主張するが、議会全体のコンセンサスではないし、ましてや米国政府の公式見解でもない。この団体はフラトン市を利用して日本政府に圧力をかけることが狙いであることは明白だ」
 そうした米国知識人の意見、そして強制連行の根拠となった朝日報道が虚報となった事実を、フラトンの推進派はどの程度理解しているのか。像の設置案に賛成したチャーフィー市長や市議、そして博物館理事に見解を求めるべく直撃したが、締め切りまでに回答は得られなかった。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141023-00000005-pseven-int

これだけ読むとVince Buck氏が、慰安婦問題を韓国団体による日本攻撃の手段とみなし、まるで慰安婦問題そのものを否定・軽視しているかのようにも読めます。
Vince Buck氏の実際の発言は以下のようなものです。

FULLERTON OBSERVER Page 5, EARLY SEPTEMBER 2014
If we are to proceed, the monument should have a full public vetting. The goal of the Korean American Forum of California is clear: to put pressure on Japan by placing a monument in Fullerton. This seems unlikely to be an effective tactic, but it is effective in creating dissention and division. No matter how worthy the ultimate goal of the Korean American Forum campaign, it is not one destined to strengthen community in Fullerton. The council should think twice before unnecessarily allowing an external group to embroil the city in controversy. We have enough controversies of our own.

http://www.fullertonobserver.com/#!services/cee5

フラトン市は解決すべきフラトンの問題を十分に抱えている。外部の対立を持ち込むべきではない、というのがVince Buck氏の結論です。単純な平和記念碑の話ではなく、日韓対立が持ち込まれることを懸念しているわけです。それでも記念碑設置を進めるなら十分な調査する必要がある、と言っています。韓国団体の目標は、記念碑設置によって日本政府に圧力をかけるというものだが、フラトンのコミュニティの結束を強化するものではなく、むしろ不和と分裂を生むとVince Buck氏は懸念しているわけですが、さりとて『日本政府は謝罪せよ』に否定的なわけでもありません。“No matter how worthy the ultimate goal of the Korean American Forum campaign”と部分からもそれがわかりますし、前段には以下のようにも述べています。

FULLERTON OBSERVER Page 5, EARLY SEPTEMBER 2014
Japan committed many horrendous war crimes in WWII some of which have gone unpunished. Sexual slavery was one of those crimes and Japan has not done a good job of acknowledging responsibility for these crimes; Japan is also inclined to deny or rewrite history.

http://www.fullertonobserver.com/#!services/cee5

第二次大戦時に裁かれなかった日本の戦争犯罪があり、従軍慰安婦という性奴隷制もそのひとつであり、日本政府はその責任を取るための十分な対応をしてこなかったばかりか、その歴史を否定し書き換えようとしている、とVince Buck氏は明確に述べています。
もちろん「在米ジャーナリスト・高濱賛氏」はその部分については口を閉ざし、日本の読者に伝えようとはしません。ジャーナリストではなくデマゴギーであるので当然ではありますが。

Vince Buck氏は慰安婦問題について日本の戦争犯罪であり、現在の日本政府の対応を歴史修正主義であることを認識しているようですが、それでも他所の揉め事に巻き込まれたくない、という主張をしているわけです。在米日本人右翼が難癖をつけて、対立の構図を描く行為はアメリカでも有効だということですね。

ちなみに、FULLERTON OBSERVERにはもうひとつ日系退役軍人による寄稿があります。これもVince Buck氏と同じ理由で慰安婦像の設置に反対していますが、慰安婦問題に対する見解は明確に書かれています。

My objection to this monument in no way means I condone or defend the actions of Japan. I am merely defending the integrity of our Japanese American communities across our nation. An apology for this issue is due from Japan for any atrocities it committed and not by governmental agencies in the U.S. or by individuals.

http://www.fullertonobserver.com/#!services/cee5

慰安婦問題に対する謝罪はこの残虐行為を行った日本によって為されるべきで、アメリカの政府機関や個人によって為されるべきではない、と日本社会以外ではごく真っ当な見解です。