親子断絶防止法案に反対している人たちが、子どもと引き離されている親の権利はどのように守られるべきだと考えているのかわからない

多分、子どもと引き離されている親は全てDV加害者だとみなす暗黙の前提を共有しているのではないかと思うんですが。
まず、以下の2点は最低限押さえておくべき視点です。
・子どもと引き離される親がDV加害者とは限らない
・子どもと引き離される親が父親とは限らない

DV加害者どころかDV被害者であるにもかかわらず、子どもを連れ去られた母親の事例が以下です。

カムパネルラ(反核!! 反原発!!) ‏@campanella0202 · 10月18日
何度も言うのは辛いけれどまた書きます。
私は夫にある日突然子どもを連れ去られ、話し合いも調停もらちが明かず、2年かけて親権の裁判をしました。結果その2年間はまるまる夫側の養育実績となり、親権は夫側に決定しました。高裁に控訴もしましたが無駄でした。続)

2)弁護士曰く、高裁では一審の家裁で出た判決はよほどそれをひっくり返すような「新事実」でもない限り、覆ることはないそうです。
子どもの連れ去り問題には、父親も母親もなく、どちらが有利もなく、どちらも被害者になり得るのです。それなのに皆やれ男が女がと相争っている。あまりに無知です。

3)私は結婚している間DVも受けていてうつ状態で数年に渡り通院もしたしカウンセラーにもかかっていました。何とか解決したかった。普通に家族で穏やかに暮らしたかっただけでした。裁判では医師もカウンセラーもカルテと意見書を出してくれ、提出しました。続)

4)一時、耐えきれずシェルターに子どもと逃げたこともあったので(今でも不可解ですが子どもを連れて他県まで逃げて警察に駆け込み、保護のもとシェルターに避難。でも相談員の方に貴女は県民でもないしこの街で暮らしていくという訳でもないよね、とりあえず実家に身を寄せたらと言われたのです続)

5)ああシェルターも所詮お役所仕事なんだなと絶望し、仕方なく実家に帰りました。夫が押し掛け土下座の勢いで謝罪し、両親にも説得され戻ってしまいました)、警察からその時の記録も出してもらいました。それでも裁判では「当事者の一方的な申告に基づくもので客観性に欠ける」と言われました 続)

6)そのことで以降これまで、相談センターや弁護士などに話しても「どうして戻るかな。そんな甘い考えだから子どもをとられるのよ」と、「信じて戻った時点であなたの負け」と言われ続けです。皆さん分かっているんですよ、子どもを連れて逃げるしかないこと。裁判はアテにならないのだと。続)

7)日本の親権の考え方について一番問題なのは、連れ去りの事実と前後の経緯を裁判所がきちんと個別に判断せず、「現在、手元に子どもがいる側が有利っていうのが判例」「家裁の裁量で子どもが今いる環境を変える決定を下し、あとで何かあったら責任とれない」というドグマです。続)

8)だから卑怯な人は子ども確保してDVを捏造するし、逆に真実DVを受けていても子どもを奪われていると「客観性に欠ける」などと否定されてしまう、おかしなことになるんです。連れ去ったもん勝ちが変わらない限り、弁護士も支援者も「とにかく子どもを連れて逃げろ」としか言えない。続)

9)私は子ども連れ去られたあとに震災があり、1ヶ月くらい全く見動きがとれませんてした。やっと動けるようになったらもうタイムアウト。その後、何冊も著書を出されている著名な女性相談のカウンセラーさんにもはるばる相談に行きましたが「連れ去られたらもうアウト」と言われて終わりでした。続)

10)ある日子どもを連れ去られ、親権を奪われる現実は、父親にも母親にもあるんです。それなのにいつまでも男が女が捏造DVがと性別分かれて言い争っている。私は医者にも支援者にも弁護士、裁判所にも連れ去られ親の当事者会にも救いを求めて関わりましたがもうウンザリです。#DV #親子断絶

https://twitter.com/campanella0202/status/788284488149180416

もちろん、DV加害者でも被害者でもないのに、子どもと引き離されて全く面会できていない父親や母親、DV被害を受けた挙句に子どもと引き離された父親もいます。リアルでも何人か知ってますので決して無視できるほど少ない稀な事例というわけでもありません。
国際結婚の破綻でこういったことが問題になった事例がハーグ拉致条約であり、当然、ハーグ拉致条約で問題となったような事例が国内結婚の破綻でも起きているわけです。
こういう実態・事例を知っていると、離婚に伴う子の連れ去り行為を一概に“DVからの自力救済”などと容認することはできません。

親子断絶防止法案に反対している人たちにお願いしたいこと

まず、上記のような現行法下での子の連れ去り被害者は、どうやったら救済されるのか具体策を提示してほしいです。
被害者の存在すら認めない、あるいは、数が少ないから無視して構わない*1、または、DV被害者が救済されるならばこれらの被害者を犠牲にしても構わない、とお考えなら、そういう人に対して特に話すことはありません。

なお、法案中の個別の記載に対して賛同できないとかなら、具体的に指摘し、上記の被害者の存在も考慮したうえでどうすべきかを提案した方が良いと思いますよ。
千田氏のような一方的で不適切な根拠を挙げて、全否定するようなやり方は間違っています。

*1:少ないという根拠も特にありませんし、個人的な心象としてはかなり多いという認識です。