外務省によるASEAN10か国における対日世論調査の結果に関するちょっとした話

調査期間:2015年12月1日〜24日で、ASEAN10か国における対日世論調査が行われました。
この中に「次の国のうち最も信頼できる国はどの国ですか」という質問がありまして、G20を対象としていますが地域的に考えると選択肢は事実上、日米中の三択になっています。

国名 最も信頼する国 割合
ブルネイ 中国を最も信頼 日本:14、米国:0、中国:24
カンボジア 中国を最も信頼 日本:14、米国:6、中国:22
インドネシア 日本を最も信頼 日本:33、米国:17、中国:12
ラオス 中国を最も信頼 日本:14、米国:1、中国:17
マレーシア 中国を最も信頼 日本:19、米国:17、中国:29
ミャンマー アメリカを最も信頼 日本:27、米国:34、中国:14
フィリピン アメリカを最も信頼 日本:12、米国:75、中国:1
シンガポール アメリカを最も信頼 日本:5、米国:28、中国:24
タイ 中国を最も信頼 日本:34、米国:13、中国:35
ベトナム 日本を最も信頼 日本:41、米国:20、中国:2、ロシア:20

外務省のまとめとしては、日本はASEANで最も信頼されている国となっていて、まあ全体の平均を取るとそうなるようですが、個々の国別にみると、日本を最も信頼できる国と選んだ国は、インドネシアベトナムの2国で、ミャンマーとフィリピンとシンガポールはアメリカを選び、残りの5か国(ブルネイカンボジアラオス、マレーシア、タイ)は中国を選んでいます。

興味深いのが“親日国”と呼ばれるタイで、34%が日本を最も信頼できる国と選んだ一方で、35%は中国を最も信頼できる国だと選んでいます。タイにとっては、日本も中国も同等という認識なのかもしれません。
同じく“親日国”と呼ばれるシンガポールで、こちらは日本を選んだのはわずか5%、中国を選んだのは24%です。アメリカが28%で存在感を示していますが、シンガポールの日本に対する信頼は中国よりもかなり低いと言えますね。

ベトナムは中国に対する信頼が低いのですが、一方でロシアに対する信頼が他のASEAN諸国に比べて格段に高い傾向が見られます。歴史的経緯が現れるようで興味深いところです。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000209368.pdf