30年前の“普通の日本人”が起こした事件

1987年5月3日、朝日新聞阪神支局が散弾銃を持った者に襲撃され、小尻知博記者、犬飼兵衛記者に向けて発砲、小尻記者が死亡、犬飼記者が重傷を負いました。
朝日新聞阪神支局襲撃事件と言います。
赤報隊を名乗る右翼テロリストによるテロ行為で、1987年1月24日の朝日東京本社銃撃事件から1990年5月17日の愛知韓国人会館放火事件まで足掛け3年にわたって起きた7件の事件のひとつです。赤報隊事件とも言います。

犯人は捕まっていません。

5月3日の阪神支局襲撃の3日後、1987年5月6日、犯行声明が時事通信共同通信に届きます。

1987年5月3日 朝日新聞阪神支局襲撃事件の犯行声明文

われわれは ほかの心ある日本人とおなじように
この日本の国土 伝統を愛する。
それゆえにこの日本を否定するものを許さない。
一月二十四日 われわれは朝日新聞東京本社東がわに数発の弾を発射した。
だが朝日は われわれが警告文をおくった共同時事と共謀して それを隠した。
われわれは本気である。
すべての朝日社員に死刑を言い渡す。
きょうの関西での動きはてはじめである。
警告を無視した朝日は 第二の天罰をくわえる。
ほかのマスコミも同罪である。
反日分子には極刑あるのみである。
われわれは死後の一人が死ぬまで処刑活動を続ける。

ニ六四七年 五月三日
                    赤報隊一同

http://yabusaka.moo.jp/sekiseimei2.htm

「普通の日本人」とか「日本が好きなだけ」とかのフレーズが大好きな人たちと同じですね。
反日分子」という言い回しも30年前は右翼くらいしか使わなかったように思いますが、今や“普通”の新聞社も平気で使っていますね。

2015.1.3 06:53更新

【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 「安倍たたき」反省?

マスコミが好んで登場させてきた日本人といえば、村山富市鳩山由紀夫小沢一郎の3氏や共産党志位和夫氏など、野党指導者や反日が大好きな左派知識人ばかり。
黒田勝弘

http://www.sankei.com/world/news/150103/wor1501030005-n1.html

ところで朝日新聞労働組合阪神支局襲撃事件から30年となる2017年5月3日に開かれる「言論の自由を考える5・3集会」に池上彰氏を招くそうです。

支局襲撃から30年、来月5・3集会 池上彰氏ら招き(2017年4月7日16時27分)

池上氏は「売国」っていう言葉をメディアは使うべきではないという一方で、「反日」と言う言葉は許容しているようです*1

売国」っていう言葉は、メディアとして使うべきではないと思います。

http://ironna.jp/article/828

産経では黒田勝弘氏のコラムのように「反日」表現を野党など産経が政治的に受け入れない相手に対する批判用語として頻繁に使われています。ですが、池上氏は“産経さんは他の右派週刊誌などと違うよね”と擁護します。

逆に言えば、産経さんはこの件に一切関与していないにもかかわらず、なんとなく植村さんへの個人攻撃から娘さんの写真をさらすことまで、全部ひっくるめて朝日をバッシングしているのが、産経さんであるかのようにみられてませんか? 産経さんの誰かが書いていましたよね。うちはちゃんと分けているのに、全部ひっくるめて批判するのはおかしいって。そんな風になってしまったのは、これまた不幸なことだと思いますね。

http://ironna.jp/article/828

(※:産経が植村氏バッシングに加担あるいは中心的な役割を果たしてきたことは周知の事実なんですが「うちはちゃんと分けている」とか意味不明の自己弁護をそのまま真に受けて、「産経さんはこの件に一切関与していない」とか、いくらなんでも池上氏の認識は偏りすぎでしょう。)

赤報隊が犯行声明で使った「反日」表現を許容する池上氏が阪神支局襲撃事件30年の集会に招かれる、というのには何とも形容しがたいものがありますね。