日露戦争から第3次日韓協約に至るまでの簡単な流れ - 誰かの妄想・はてなブログ版
上記記事に対して以下のようなコメントがつきましてですね。
現代の倫理観で述べるのはなぁ。
https://b.hatena.ne.jp/entry/4674911112437684898/comment/mouki0911
mouki0911のコメント2019/09/25 22:47
まるで、当時の倫理観では許容されていたかのようなコメントでしたので、当時の倫理観を紹介しておきます。
1904年当時、日本に滞在していたドイツ人にエルヴィン=フォン=ベルツ(Erwin von Bälz)という医者がいます。草津温泉や伊香保温泉の近代化に功績のある医者でかなり有名な人です。
親日家で決して日本に批判的な人物ではありませんが、その彼でさえ、1904年の日本の韓国侵略に対しては次のように批判しています*1。
(1904年)7月26日
(前略)
韓国における対日感情の悪化は、日増しに加わってゆく。京城では、日本人の眼の前で、反日示威運動が行われている。そこへ、日本公使が公然と後押しをした、不可解きわまる請願事件が起きて、火に油を注ぐ結果となった。長森某なる者が、韓国全土の未開墾地全部を、五年間免税で払い下げてほしいと願って出たのである。こんなものを要求する厚顔振りにいたっては、まったく沙汰の限りである。韓国政府も一応は簡単に拒絶しておいて、直ちに名目だけの会社を設立し、これに日本人の望んでいた土地をそっくりそのまま譲渡してしまった。こんな前代未聞の要求により、親日感情の最後の残り火まで、日本人が自身で踏み消してしまうのだ。最近のこと、日本側は強制的にある集会を解散させ、幹部を逮捕した。そして今度は、守備隊を増強し、憲兵隊を接収しようとしている。しかもそれでいて、定評のある新聞ですら、韓国は日本から恩義をこうむっている!と称するのだ。
9月5日
(前略)
韓国では、今や日本人はすこぶる思い切った行動に出ている。かれらは韓国政府から、軍事上の目的に土地を提供させた-つまり強制的に、そうせざるを得ぬようにしたのである。そして今度は、はなはだ重要な協約が発表された。この協約によれば韓国は-
(略:第一次日韓協約の内容)
これでいて、日ごろの決まり文句は、韓国の主権を侵害しない!である。この協約により、韓国は日本の属国となるのだ。
(後略)
9月19日
(前略)
韓国に『コリア・デーリー・ニュース』という、日本の息のかかった新聞が発行されている。この新聞が、図々しくも主張していわく「日本は数百万の金と、幾千の人命をなげうって、韓国の独立のために戦っている!!」と。その韓国の自主性を、日本が今ではもう、あっさりと奪ってしまっているのに。
(後略)「ベルツの日記 下 (岩波文庫 青 426-2)」P138、166、182
というわけで、当時の倫理観でも日本のやり口は批判されていたわけですね。
何故か現代の方が日本のやり口を正当化する連中が多いようですが、日本社会の倫理観が退化したんですかね。
*1:ちなみにこの部分は10年以上前にも紹介しています。https://ameblo.jp/scopedog/entry-10102274844.html