離婚後共同親権を日本会議の陰謀呼ばわりする人は主要な諸外国が軒並み離婚後共同親権を容認していることをどう思っているのだろう?

この件。
離婚後の「共同親権」是非を議論 法務省、年内に研究会(2019年9月27日17時59分)

個人的には安倍政権下でまともに進められるのかという懸念は抱いていますが、離婚後共同親権そのものには賛成です。
実際、知ってる範囲でもアメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス、ドイツ、韓国が、離婚後共同親権を認めています。離婚後単独親権しか認めていないのは主要国では日本くらいしかありません。
日本が導入するとしたら法体系が日本と似ている韓国の制度あたりがやりやすいと思います。

しかしながら、日本のリベラルには何故か離婚後共同親権に反対している人が多いんですよね。

なかには日本会議案件呼ばわりする人もいます。
主要諸外国が軒並み導入している離婚後共同親権を日本でも導入しようとすることが“日本会議案件”とか訳が分かりません。

というかリベラル的な思考であれば、離婚後共同親権に賛成して当然だと思うんですけどね。

例えば、女性の再婚禁止期間違憲訴訟を担当した作花知志弁護士は、離婚後単独親権制度の違憲を訴えています。

離婚後共同親権/法務省が法改正を検討する研究会を立ち上げました
「共同親権」最高裁は憲法判断せず 作花弁護士「残念だが、将来への大きな一歩」(2019年03月01日 15時06分)


離婚後共同親権に賛成というわけでもなくても、離婚後共同親権関連の問題を左右の対立の問題とみなすのはおかしいという人もいます。
オウム事件で命を狙われた滝本弁護士はこんなツイートをしています。

どうも、離婚後共同親権や離婚後親子交流の話をすると、“あいつは日本会議の仲間だ”とレッテルを貼って中傷して回るEoH-GS氏のような人が離婚後共同親権反対派には多いような気がします。

まあ、離婚後の親子関係の在り方について自分の頭でちゃんと考えて、その上で離婚後共同親権について賛成や反対を表明するならそれでよいと思うんですが、自民党や維新が賛成しているから反対とかはやめてほしいですね。そんなのは“共産党が賛成するなら反対”とか言ってた保守派の地方議員と同じレベルですから。


ちなみに現在、立憲民主党代表である枝野幸男氏ですが、11年前の2008年に福田内閣へ以下のような質問を挙げています。

民法第七六六条及び第八一九条、ならびに、非親権者と子の面接交流に関する質問主意書

 多くの先進国では、離婚後の共同親権は、子にとって最善の福祉と考えられており、虐待などの特別な理由がない限り、子と親の引き離しは児童虐待と見なされている。また、日本が一九九四年に批准している、いわゆる『国連子どもの権利条約』第九条第三項では、父母の一方もしくは双方から分離されている児童が、定期的に父母のいずれとも直接の接触をする権利について規定している。
 ところが、日本では、民法第七六六条及び第八一九条によって、離婚後の共同親権は認められず、また、面接交渉についての明確な規定やこれを担保する手続が不十分であるために、一方の親と面接交渉できない子が少なくない。
 特に、離婚後の親権者、あるいは、その配偶者(内縁を含む)を加害者とする児童虐待事件によって、子の命が奪われるケースも多々見られている。面接交渉についての明確な規定に基づき、子供と同居していない親が子供と定期的に会って、子供の身体面、心理面についての変化を目にしていれば、こうした事件は、相当程度防げるはずである。

(以下略)

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a169357.htm


あと、国連子どもの権利委員会も2019年2月に離婚後共同親権を認める法改正を求める勧告を出していますね。

Family environment

27. The Committee recommends that the State party take all necessary measures, supported with adequate human, technical and financial resources to:
(抜粋)
(b) Revise the legislation regulating parent-child relations after divorce in order to allow for shared custody of children when it is in the child’s best interests, including for foreign parents, and ensure that the right of the child to maintain personal relations and direct contact with his or her non-resident parent can be exercised on a regular basis;

家庭環境

27.委員会は、締約国が、以下のことを目的として、十分な人的資源、技術的資源および財源に裏づけられたあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
(抜粋)
•(b) 子どもの最善の利益に合致する場合には(外国籍の親も含めて)子どもの共同親権を認める目的で、離婚後の親子関係について定めた法律を改正するとともに、非同居親との個人的関係および直接の接触を維持する子どもの権利が恒常的に行使できることを確保すること。

https://www26.atwiki.jp/childrights/sp/pages/319.html
https://tbinternet.ohchr.org/_layouts/15/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CRC%2fC%2fJPN%2fCO%2f4-5&Lang=en

ネトウヨに近いレッテル付け」(滝本弁護士ツイートにある表現)に乗せられて“離婚後共同親権賛成派は日本会議の手先”だとか思い込む前に、諸外国が離婚後共同親権制度をとっている事実、国連子どもの権利委員会が離婚後共同親権を認める法改正を求める勧告を出している事実、リベラル系の人士も少なからず離婚後共同親権に賛成している事実を踏まえて、自分の頭で考えてほしいところです。