いかがなものかって言われてもなぁ

この件。

産経前支局長起訴 「産経だけ訴追したのはいかがなものか」下村文科相

産経新聞 10月10日(金)11時22分配信
 産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(48)が書いた朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領に関するコラムをめぐり、ソウル中央地検が在宅起訴したことについて、下村博文文部科学相は10日の閣議後会見で「民主主義国家として司法のあり方が問われる。韓国の民主主義を考えている人たちには、よく考えてもらいたい」と述べた。
 コラムの主要部分は朝鮮日報を引用する形で執筆されているにもかかわらず、同紙が処罰の対象になっていないことに触れ、「産経だけ訴追したのはいかがなものか。韓国メディアを引用して名誉毀損(きそん)に当たるのであれば、外国の報道機関は韓国の記事を参考にしては書けなくなる」と話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141010-00000518-san-kr

そもそも告訴したのは、韓国政府ではなく韓国の右翼団体ですからねぇ。日本人右翼団体グレンデール市を告訴したり、朝日新聞の告訴を求めたりしているようなものですよ。
いや、朝鮮日報も告訴されているとかなら、まあわからないではありませんが。

“山谷えり子国家公安委員長、排外差別団体のオトコとホテルで密会!”とか報道しても「報道の自由」ということですね。

タイトルで言い切った感。

産経前支局長起訴 「報道の自由は本当に大切なこと、遺憾に思っている」山谷氏

産経新聞 10月10日(金)10時18分配信
 山谷えり子国家公安委員長は10日の記者会見で、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長による朴槿恵韓国大統領に関するコラムをめぐり、ソウル中央地検が情報通信網法の名誉毀損(きそん)で在宅起訴したことについて「報道の自由は本当に大切なことなので、遺憾に思っている」と述べた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141010-00000509-san-pol

「言論の自由」を守るという「リベラル」な外交は有効か

この件。
<産経前支局長在宅起訴>日韓関係改善に冷水…与野党反発
事件そのものに対する考えは「秘密保護法廃案要求を足蹴にした安倍政権とは違う選択を求めたい」で述べたとおりです。
まあ、国内外から批判されるのは当然のことではあります。いかに下品なメディアであろうと事実上、政府が言論機関を弾圧するに等しい行為が批判に値しないわけもありません。
言論の自由を重んじる国際的な機関からも批判されているのも事実で、韓国政府の国際的なイメージを損ねることは間違いありませんん。

ただ残念ながら、国際的なイメージの低下など大して効果のあるものでないことも確かです。
実際、安倍政権が強行採決した秘密保護法に対しても、日本国内メディアのみならず国外からも多くの批判があがりました*1。ですが、国外からの批判はさざなみ程度に過ぎず、国内での批判も既に低調で、結局既成事実化してしまっています。

今回の韓国の措置に対する批判も、国外からの批判も日本以外では一過性に終わりそうに思えます。日本だけは執拗に批判し続けるでしょうが、それこそ慰安婦問題に関する韓国からの批判を無視し続けた日本のやり口を見る限り、韓国政府が日本からの批判を無視しても大したことにはなりそうに思えません。
報道や言論の自由という理念を使った国際的な圧力が功を奏するという期待は、国際関係論ではリベラリズムと言える考え方ですが、普段「リアリスト」を自称するような連中がこういう時にはリベラリスト的な発言をするというのは節操がないですね*2

韓国政府にしてみれば、国外からの「憂慮」や「懸念」など無視しても大したことはないと、リアリズム的に判断するかもしれません。実際、国外からの批判を無視している隣国があるわけですから。
それとも、醜聞ネタで起訴された産経新聞を守るために経済制裁や軍事的圧力をかけるほどの覚悟があるんでしょうか。そこまでの覚悟もなしに、中途半端な人権外交をするのは、「リベラルの妄想」と誰かが言ってたような事態を惹起するかもしれませんね。
今の安倍政権やその支持者だと、そっち方向に向いかねないという懸念はありますが。

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