「左翼文化人が日本を支配していた時代」って基本的にずっと自民党政権だったんだけどね

舛添氏がこんなことを言っていました。
https://twitter.com/MasuzoeYoichi/status/1269429507917705216

抗議されたのは正式国名を言わないからではなく、「北朝鮮」という呼称が蔑視や“正式な国として認めない”という日本政府の態度を反映したものだからだと思うのですけどね。

個人的には“朝鮮半島の北部にある国”という意で“北朝鮮”と呼んでいますので、他者が同じ呼称を使っていても私自身はさほど気にしないのですが、元々は「朝鮮半島の北半分」という地域名であって国名として使われたものじゃありませんよね。
韓国と国交成立するまでは、北朝鮮を「北鮮」、韓国を「南鮮」と呼び、韓国と国交が成立すると北朝鮮のみを「北朝鮮」と呼ぶようになった経緯からも、公式に使われる「北朝鮮」表記は“国として認めていない”という意図が込められたものとは言えます。

東ドイツはどうなんだ!”みたいな正当化もありますが、東ドイツドイツ民主共和国)とは1973年に正式な国交を日本は結んでいますので、少なくとも東ドイツと呼ぶこと自体に“国として認めていない”という意図は生じません。
日本と東独が正式国交樹立したのとほぼ同じ時期である1971年、札幌冬季オリンピックの前年のプレオリンピックで北朝鮮五輪組織委員会に正式名称の使用を求め、これを受けてメディアでは「朝鮮民主主義人民共和国」名称が併記されるようになりました。
少なくとも、正式名称が併記されることで、日本政府としては公式に国として認めていなくとも、メディアとしては北朝鮮が国として存在する事実を踏まえて報道していたわけです。

そしてこの1970年代から1990年代までの20年間については、「政府が『右』と言うものを『左』と言うわけにはいかない。政府と懸け離れたものであってはならない」*1などと述べた2014年のNHKとはかけ離れた態度を日本メディアは取っていたわけですよね。
政府としては国と認めていなくても、それは政治の論理であって、報道の論理としては国として存在している事実をもって報じるのが筋でしょう。

メディアが狂い始めるのは1990年代半ばからで、まず1996年に産経が「北朝鮮」呼称に戻り、1999年に読売が続き、2002年に北朝鮮が拉致を認めて謝罪した後、朝日、毎日、日経、NHKも「北朝鮮」表記に戻りました。
要するに北朝鮮が拉致を認めて謝罪したことで、日本社会は北朝鮮を公敵として扱って構わないという認識に染まったわけですね。

日本政府ばかりかメディアまでもが北朝鮮を国として認めないという態度に変わったわけですから、当然のように日朝交渉は暗礁に乗り上げ、何の進展もないまま日本は“毅然とした態度”を続けることしかできなくなっています。

ところで言うまでもない話ですが、舛添氏のいう呼称問題が「拉致問題の背景」であるというのは荒唐無稽もいいところです。仮に日本メディアが1970年代以降も「北鮮」や「北朝鮮」という呼称のみを使っていたら拉致は起こらなかったのか、と考えてみればその荒唐無稽さがわかるでしょう。

「左翼文化人が日本を支配していた時代」だから拉致問題が起きたのだと本気で考えているのなら、同時期の韓国軍事政権のように北朝鮮と通じてると目される在日朝鮮人らを片っ端から逮捕すべきだったと思っているのでしょうかね。
まあ、そもそも「あんな国ですから」という理由で正式国名を拒否し、わざわざ抗議される呼称を意図的に使うのは非常に子どもっぽい感性としか言いようがありませんが。

いくら何でもイーストアジア・リサーチセンターを参照するとかおかしいでしょうに

この件。
韓国総選挙にデジタル不正疑惑か? 中国から開票機を操作した可能性(6/1(月) 16:14配信 ニューズウィーク日本版)

この記事、いかにも疑惑があるみたいに書かれてますが、情報元はイーストアジア・リサーチセンター(https://eastasiaresearch.org/)だけです。
このイーストアジア・リサーチセンター(https://eastasiaresearch.org/)ですが、文大統領をスパイだと告発する内容をそのまま報じているようなところなんですよね。

A South Korean Citizen Reports President Moon Jae-in as a Spy - East Asia Research Center
The Republic of Korea Can Only Live by Throwing Away Moon Jae In - East Asia Research Center

その一方で、朴前大統領を擁護していたり。
A Response to JTBC, Part II: The Truth about the Impeachment of South Korea’s President Park Geun-hye and the Rule of Law - East Asia Research Center

どう見ても、韓国進歩派政権を嫌悪している保守派(というより右翼かな)のサイトですよね。

その延長で選挙詐欺だとかも主張している感じ。
A Response to JTBC’s Fact Check, Part I: 2020 Election Fraud in South Korea - East Asia Research Center

内容も乏しいんですよね。

イーストアジア・リサーチセンターによると、不正行為はデジタル面に関するものだ。開票機やコンピューターのハードとソフト、そして中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)が製造した情報ネットワーク通信機器が不正に操作されたのではと疑われている。郵便投票と期日前投票に使われたQRコードにも疑惑が持たれている。
同センターによれば、開票機を操作するのに必要な指示は「期日前投票QRコードやインターネットを介して、外部からメインサーバーに送ることができた」という。
選挙管理当局は期日前投票に使うWi-Fiに、ファーウェイの機器を使用するLGユープラスの5Gを選んでいた。イーストアジア・リサーチセンターは「投票所のサーバーを中国につなげ、開票機を操作できた」としている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1213b1b659c72d39e56c6fe9302e20a98eed9dfb

Wi-Fiに、ファーウェイの機器を使用するLGユープラスの5Gを選んでいた」というのは事実かも知れませんが、だからと言って「投票所のサーバーを中国につなげ、開票機を操作できた」というのは飛躍しすぎですし、機能としてできるという話とその機能を実際に使用して中国から操作したという話にも大きな乖離がありますし・・・。
選管の目を盗んで「投票所のサーバーを中国につなげ、開票機を操作」できるくらいなら、韓国国内でやった方が早いし安全でしょうし。


それをろくにチェックせずにニューズウィーク日本版はそのまま取り上げるんですね・・・。
まあ、遠藤誉氏を重用してるのを見ればさもありなんと思わなくもないですが・・・。

ちなみに元記事はこんな感じです(他にはQRコードネタとか)。

The IT Network

The National Election Commission chose LG U+ 5G, which uses Huawei equipment, to provide internet and wifi for handling the pre-vote ballots. Instead of establishing its own secured network, which it could have had by using the very secure Gwangju/Daejeon Information Data Center (IDC), NEC chose an unsecured network, and worse, used a network that uses Huawei equipment notorious for control by China. (2:00) Here is what is possible: The servers used at the election sites can be connected to servers in China (or elsewhere), and the user on that end in China can send the instructions to the central server in South Korea, which in turn sends a message to the vote counting machines. It would be even more helpful for the server operator on the other end in China, if those with access to the central server in South Korea sent the user ID, password, and the port number to the server in China, which is also a possibility. The “other end” does not necessarily need to be in China. Again, this is a potential scenario.

https://eastasiaresearch.org/2020/05/06/early-votes-digital-vote-counting-machine-and-digital-election-fraud-in-south-korea/

言い逃れできるように「this is a potential scenario」とか言ってますけど、まあ、フェイクニュースだと言って良さそうです。
ニューズウィーク日本版がこんなものをひいて記事にしたというのが、どうにもひどいのですが。



刑法改正に至った背景としてあった「n番部屋事件」以外の事件

m.lawtimes.co.kr
これは韓国の法務部長官を一時期務めた冑国氏が青瓦台の民情首席だった2018年に書いた記事ですが、ここにこんな記載があります。

최근 발생한 사건으로 2017년 경남 진주의 32세 초등학교 여교사가 12세 초등학교 6학년 남학생을 유혹하여 성관계를 맺은 사건이 있는데, 이 여교사는 형법 제305조 위반으로 유죄판결을 받았다. 그런데 도덕적 기준으로 보아선 유사한 다른 사건의 결론은 달랐다. 예컨대, 2015년 서울의 영어 학원의 31세 여성 강사는 수강생인 13세 중학생을 유혹하여 성관계를 맺었는데, 중학생의 나이가 13세이었기에 형법 제305조 위반으로 기소되지 못하고 아동복지법 제17조 위반으로 기소되어 유죄판결을 받았다. 2016년 대구의 33세 중학교 여교사는 15세 중학교 남학생과 합의 성관계를 맺었지만, 남학생이 형법 제305조 구성요건의 나이보다 많았기에 처벌될 수 없었다. 42세 연예기획사 대표자와 15세 여중생의 성관계 사건에서 대법원은 최종적으로 강간죄 무죄판결을 내렸다(대법원 2014.11.13. 선고 2014도9288 판결). 이상의 사건 모두 사회적으로 큰 관심과 논란을 일으켰다.

最近発生した事件で、2017年慶南真珠の32歳小学校女性教師が12歳小学6年生の男子生徒を誘惑して性的関係を結んだ事件があり、この女性教師は、刑法第305条違反で有罪判決を受けた。ところが、道徳的基準で見て線類似した他の事件の結論は違った。例えば、2015年ソウルの英語学校の31歳の女性講師は受講生の13歳中学生を誘惑して性交を結んだが、中学生の年齢が13歳だったので、刑法第305条違反で起訴されずに児童福祉法第17条違反で起訴され、有罪判決を受けた。2016年大邱の33歳中学校の女教師は15歳の中学校の男子生徒との合意の性交を結んだが、男子学生が刑法第305条の構成要件の年齢よりも多かったから処罰されることがなかった。42歳芸能企画社代表と15歳女子中学生の性的関係事件で最高裁は、最終的に強姦罪無罪判決を下した(最高裁2014.11.13。宣告2014も9288判決)。以上の事件はすべて社会的に大きな関心と議論を起こした。

https://m.lawtimes.co.kr/Content/Article?serial=144021

・32歳の女性教諭が12歳の小学生男子と性的関係を結んだ事件(刑法305条違反で有罪)
・31歳の女性教諭が13歳の中学生男子と性的関係を結んだ事件(刑法305条では起訴されず、児童福祉法17条違反で有罪)
・33歳の女性教諭が15歳の中学生男子と性的関係を結んだ事件(刑法305条では起訴されず)
・42歳の男性芸能関係社長が15歳の中学生女子と性的関係を結んだ事件(最高裁で無罪判決)

挙げられている4事例のうち3件が女性による性的虐待と見られる事件なのが興味深いところですが、日本でも法律上、強制性交の加害者は男女ともなりえるものですからねぇ。

ちなみに4つ目の事件は最高裁で無罪になっていますが、その理由は、同意が無かったという主張の根拠が被害者の証言のみであり、他の証拠は同意が無かったとは考えにくいことを示している、とされています。
判例:最高裁2014.11.13宣告 2014も9288判決」にそのあたりの詳細が書かれていますが、確かに判決文の言う通りであるなら、これを有罪にするのはどうかと思えます*1

日本では性暴力事件になると“疑わしきは被告人の利益に”という刑事司法の原則をネグる世論が見られ、性暴力事件で無罪判決が出ると非難されることが多いんですが、どうも韓国も似たような状況ではあるようです。



*1:高裁で有罪判決が出たものを最高裁が差し戻している

韓国の性交同意年齢に関する刑法改正

この件。
性行為の同意年齢を13歳から16歳に。韓国で性犯罪を厳格処罰する法改正が施行へ 女性に対する性搾取「n番部屋事件」を受けて処罰の水準を高める内容。(ハフポスト日本版編集部 2020年05月14日 16時56分 JST | 更新 2020年05月15日 08時48分 JST)

以前も言及しましたが、私自身は刑法上の性交同意年齢を単純に引き上げるのには基本的に反対です。

改正前後の韓国刑法305条はこんな感じです。

제305조(미성년자에 대한 간음, 추행) ① 13세 미만의 사람에 대하여 간음 또는 추행을 한 자는 제297조, 제297조의2, 제298조, 제301조 또는 제301조의2의 예에 의한다. <개정 1995. 12. 29., 2012. 12. 18., 2020. 5. 19.>

第305条(未成年者に対する姦淫、わいせつ) ①13歳未満の人に対して姦淫やわいせつ行為をした者は、第297条、第297条の2、第298条、第301条又は第301条の2の例によるである。 <改正1995. 12. 29.、2012年12 18、2020. 5. 19>

② 13세 이상 16세 미만의 사람에 대하여 간음 또는 추행을 한 19세 이상의 자는 제297조, 제297조의2, 제298조, 제301조 또는 제301조의2의 예에 의한다. <신설 2020. 5. 19.>

②13歳以上16歳未満の人に対して姦淫やわいせつをした19歳以上の者は、第297条、第297条の2、第298条、第301条又は第301条の2の例による。 <新設2020. 5. 19.>

http://law.go.kr/%EB%B2%95%EB%A0%B9/%ED%98%95%EB%B2%95/

13歳以上16歳未満の未成年との性交等について同意の有無に関わらず罪を問われるのは19歳以上の成年のみとなっています。冒頭ハフポスト記事も言及している通りですね。
これだと中学生同士や中学生と高校生の間で同意の上で性交等をしても罪に問われないので、その意味で適切な制限だと思います。

日本で性交同意年齢を上げることを求める団体の改正案では「(抜粋)性交等を16歳未満の者に対して行った者は、若年者不同意性交の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。但し、16歳未満同士の場合は除く。」となっているのですが、その辺をよく検討した形跡がうかがえません。
日本の団体の改正案だと、中学生同士の同意の下での性交等は違法性阻却されますが、中学生と高校生の間では違法性が阻却されません。つまり、15歳と14歳が性交等を行っても違法ではないのに、1年後に同じことをすれば違法になるわけで、明らかに不適切です。
表にするとこんな感じです。

経過 Aの年齢 B1の年齢・違法性 B2の年齢・違法性 B3の年齢・違法性
0年 13歳 14歳・合法 15歳・合法 16歳・違法
1年後 14歳 15歳・合法 16歳・違法 17歳・違法
2年後 15歳 16歳・違法 17歳・違法 18歳・違法
3年後 16歳 17歳・合法 18歳・合法 19歳・合法

年齢差が1歳でもあると、違法となる時期が生じてしまいます。


韓国の改正刑法では中学生と高校生の間でそれは起こりえません。ただし、18歳と14歳の組み合わせだと1年後に違法性が発生し、2年後に違法性が消滅するということになります。
表にするとこんな感じですね。

  • 韓国改正刑法(同意のある性交等の違法性)
経過 Aの年齢 B1の年齢・違法性 B2の年齢・違法性 B3の年齢・違法性 B4の年齢・違法性 B5の年齢・違法性 B6の年齢・違法性
0年 13歳 14歳・合法 15歳・合法 16歳・合法 17歳・合法 18歳・合法 19歳・違法
1年後 14歳 15歳・合法 16歳・合法 17歳・合法 18歳・合法 19歳・違法 20歳・違法
2年後 15歳 16歳・合法 17歳・合法 18歳・合法 19歳・違法 20歳・違法 21歳・違法
3年後 16歳 17歳・合法 18歳・合法 19歳・合法 20歳・合法 21歳・合法 22歳・合法

年齢差が3歳までであれば、違法となる時期は発生しません。年齢差が4~5歳であると、合法→違法→合法、という不自然な時期が発生します。年齢差が6歳以上になるとAが16歳以上になるまで違法であり適切ですね。
年齢差が4~5歳の場合において不自然な時期が発生しますが、中学1年生と高校2年生の組み合わせとか、あるいは中学生と大学生といったセーラームーン(TV版)みたいな組み合わせ*1とかの場合ですから、一般的な感覚では問題視されないかも知れません。
とは言え、13歳と18歳では許容された関係が1年後の14歳と19歳では許容されないというのは、全体から見て少数の組み合わせであったとしても、やはり不適切であろうとは思います。本来なら違法性阻却される加害者の年齢要件は固定せず、被害者との年齢差で規定すべきだと思いますね。



*1:セーラームーン月野うさぎは当初14歳、タキシード仮面・地場衛は大学生という設定なので少なくとも4歳以上の年齢差がある

韓国で隔離違反の日本人が逮捕されたが、日本でも同様の事例は逮捕できるという話

この件。
韓国で2週間の隔離拒んだとして日本人逮捕 新型コロナ(2020年5月22日 4時58分)
20代の日本人を逮捕 韓国警察、自主隔離違反の疑い(5/21(木) 21:10配信 産経新聞)

なんかはてブでは誤解している向きもありますが、基本的に日本の現行法下でも韓国でのこの事件と同様の対応が取れます。
まず、韓国は中国湖北省からの渡航者については入管法で入国拒否していますが、それ以外については2週間の隔離を義務付けているものの入国は認めています(検疫法*1*2

この海外からの渡航者を隔離できる法律は日本の検疫法にもあります。

(汚染し、又は汚染したおそれのある船舶等についての措置)
第十四条 検疫所長は、検疫感染症が流行している地域を発航し、又はその地域に寄航して来航した船舶等、航行中に検疫感染症の患者又は死者があつた船舶等、検疫感染症の患者若しくはその死体、又はペスト菌保有し、若しくは保有しているおそれのあるねずみ族が発見された船舶等、その他検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある船舶等について、合理的に必要と判断される限度において、次に掲げる措置の全部又は一部をとることができる。
一 第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者を隔離し、又は検疫官をして隔離させること。
二 第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者を停留し、又は検疫官をして停留させること(外国に当該各号に掲げる感染症が発生し、その病原体が国内に侵入し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときに限る。)。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326AC0000000201

「船舶等」とは「外国から来航した船舶又は外国から来航した航空機」(同法5条)を指します。「第二条第一号又は第二号に掲げる感染症」とは感染症法に定める「一類感染症」又は「新型インフルエンザ等感染症」のことですが、検疫法34条の2で感染症法に定める「新感染症」にも、検疫法14条(1項1号~6号)は適用されますから、安倍政権が面子に拘らずにCOVID-19を新感染症と認めていれば適用可能でしたし、そうでなくとも検疫法34条で政令で指定する「検疫感染症以外の感染症」に対しても検疫法14条を含む2章部分が適用されます。
したがって、COVID-19対応のための入国者隔離・停留は、憲法改正はもちろん法律改正すら不要で実施できます。実際、2月13日の政令でCOVID-19に検疫法34条が適用されていて、停留期間を336時間(2週間)と規定しています。

つまり、日本の法律上でも既に韓国と同様に外国(流行地)からの入国する外国人に対して2週間の隔離措置(法律上の文言では「停留」)をとることができるようになっています。ただし、日本の場合は2週間の隔離を検疫法で定めている上に、さらに入管法による入国拒否をやっていますので、運用上は隔離にすらいたらないのですが。

韓国と日本の検疫法上の違いとしては、韓国が自宅を隔離施設として明記している*3のに対して、日本では「特定感染症指定医療機関」か「特定感染症指定医療機関以外の病院であつて当該検疫所長が適当と認めるもの」しか明記されていないという点ですね。
言うまでもなく、日本でも隔離・停留から逃亡した場合には罰則もあります。

(検疫法 抜粋)
第三十五条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
二 隔離又は停留の処分を受け、その処分の継続中に逃げた者

第三十六条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
五 第十四条第一項第一号から第三号まで、第六号又は第七号の規定により検疫所長又は検疫官が行う措置(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)を拒み、妨げ、又は忌避した者
十一 第三十四条の二第一項の規定により検疫所長又は検疫官が行う診察を拒み、妨げ、又は忌避した者

第四十条 第三十四条の場合においては、当該政令で準用する規定に係る前五条の罰則の規定もまた、準用されるものとする。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326AC0000000201#238

隔離・停留から逃げた場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、診断や検疫の措置を拒否した場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が規定されています。韓国の罰則は4月5日から強化されたものの、日本と同程度の「1年以下の懲役か1千万ウォン(約88万円)以下の罰金」となっています。

したがって今回の事件のように日本に入国した外国人が隔離・停留期間内に施設から外出を繰り返した場合は、日本でも同様に罰することが出来ます。実際問題としては、自宅隔離を認めている韓国と違い、病院での隔離・停留しか認めない日本では対象者が施設から抜け出ることは容易ではないでしょうが。

ところで今回の事件、各種報道でイメージされているような電子的に常時監視しているわけではないということを示唆していますね。

韓国では新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため海外からの入国者を対象に2週間の隔離を義務づけていますが、男性は保健当局の指示に従わず、合わせて8回にわたり外出して飲食店などを利用したということです。
自治体から告発を受けた警察は、監視カメラの映像や本人のクレジットカードの使用履歴などから外出した事実を確認し、男性が容疑を否認し逃亡のおそれがあるため逮捕したとしています。
ソウルにある日本大使館は、日本人男性が警察に逮捕されたことを確認したとしていて、韓国側と連絡をとって詳しい状況の把握に努めているとしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200522/k10012440001000.html

自治体からの告発を受けるまで警察は動かず、自治体も少なくとも8回外出するまで対応を取らなかったようにも読めます(告発以前に自治体から本人に警告などを発していたのかも、ですが)。普通に飲食店や近隣住民からの通報を受け、本人に確認しても否認したため、監視カメラやクレジットカードの情報を確認して証拠を固めた、という感じではないかと思えます。
ちなみに監視カメラやクレジットカードの情報を警察が捜査目的で取得することも日本で事実上可能です。捜査関係事項照会は強制力はないものの刑事訴訟法で認められていますし、拒否された場合も裁判所の許可を得て改めて請求すれば、監視カメラやクレジットカードの情報が提供されないことはまずないでしょう*4

この事件で、韓国方式だの何だの言っている人もいますが、感染者とは限らない海外からの入国者に対する停留措置を病院以外に認めない日本よりも自宅隔離を認める韓国の方が個人の自由を認めているとも言えますから、その辺を理解していない意見にはあまり意味がないと思います。



李容洙氏が2020年5月7日の記者会見後に表明した立場文について

正義連(前・挺対協)を批判した李容洙氏を利用して、韓国政府や慰安婦問題そのものを貶めようとしている人たちが掃いても掃いてもきりがないほどいますが、そういった連中は5月7日の記者会見中の正義連批判部分のみを取り上げる傾向があり、逆に記者会見の5日後に李容洙氏が京郷新聞に送付し、翌5月13日には自らのFacebookにアップし、ハンギョレが報じた内容やそれを受けて李容洙氏にインタビューした中央日報記事は無視する傾向にあります。

具体的には以下の記事ですね。

(京郷新聞)【단독】이용수 할머니 논란 이후 첫 입장..."30년간의 투쟁 과정의 '오류' 극복해야"
Facebook이용수 | Facebook
ハンギョレ沈黙破ったイ・ヨンスさん「30年間の成果の無視・消耗的な論争はやめよう」 : 政治•社会 : hankyoreh japan
中央日報慰安婦被害者の李容洙さん「尹美香は良心もない、ありのままに話すべき」(1) | Joongang Ilbo | 中央日報慰安婦被害者の李容洙さん「尹美香は良心もない、ありのままに話すべき」(2) | Joongang Ilbo | 中央日報

京郷新聞で引用されてる李容洙氏の立場文の冒頭に前提として書かれている内容がこれです。

<5월 7일 기자회견 이후 관련 논란에 대한 입장문>

<5月7日の記者会見後の関連する議論に対する立場文>

저 이용수는 지난 5월 7일 기자회견 이후 우리 대한민국 사회에서 이뤄지고 있는 논란과 관련하여 몇가지 입장을 밝히고자 합니다.

私 李容洙は、5月7日の記者会見の後、我が大韓民国社会で行われている議論に関連して、いくつかの立場を明らかにしておきます。

먼저, 제가 겪은, 또 일본의 만행을 똑같이 온 몸으로 겪어왔던 할머니들의 아픔이 반복되지 않는 사회를 만들기 위하여, 가해국인 일본의 공식적인 범죄인정과 사죄, 당시 진상규명과 그에 따른 법적 배상, 당시 책임자에 대한 공식적인 처벌과 향후 재발을 막기 위한 법적 제도적 장치가 마련되어 저를 비롯한 피해자들의 명예와 인권회복이 이루어져야 함을 밝힙니다.

まず、私が経験した、また日本の蛮行を同じように全身で経験してきた女性たちの痛みが繰り返されない社会を作るために、加害国である日本が公式に犯罪であったことを認めて謝罪し、当時の真相究明とそれに伴う法的賠償、当時の責任者の公式処罰と今後の再発を防ぐための法的な制度が整備されて、はじめて私をはじめとする被害者たちの名誉と人権回復が行われることを明らかにしておきます。

저는 지난 30년간 이 문제 해결을 위하여 정신대문제대책협의회(정대협)와 그 이후 정의기억연대와 더불어 많은 활동을 함께 하여 왔습니다. 그간 활동을 통해 위안부 피해자 문제를 국내뿐 아니라, 전 세계적으로 주의를 환기하고 전 인류가 다시는 이러한 행위가 있어서는 안되겠다는 공감과 참여와 행동을 이끌어 낸 성과에 대한 폄훼와 소모적인 논쟁은 지양되어야 한다는 전제에서 몇 가지 말씀드리고자 합니다.

私は過去30年間、この問題を解決するために挺身隊問題対策協議会(挺対協)と、その後の正義記憶連帯とともに多くの活動を一緒にしてきました。その間の活動を通じて慰安婦被害者問題を国内だけでなく、全世界的に注意を喚起して、全人類に再びこのような行為が繰り返されてはならないという共感と参加と行動を導き出した成果があり、それに対する蔑視と消耗的な論争は止揚されるべきという前提で、いくつかの話したいと思います。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1134254890267971
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?art_id=202005131115001

上記は特に日本において、慰安婦問題を否認し貶めるために李容洙氏の5月7日の記者会見を利用して韓国政府や正義連を攻撃している連中にとっては、決して引用したくない意見でしょうが、李容洙氏はまさに“慰安婦問題は日本政府による犯罪行為であり、日本政府が公式謝罪と法的賠償等を行なうことで初めて被害者たちの名誉と人権が回復される”という立場を前提とした上で正義連を批判しています。
日本の慰安婦問題否認論者は、その都合の悪い前提を無視して、李容洙氏による正義連批判部分のみをチェリーピッキングしているわけです。

ハンギョレはそのあたりを外さず、記事に書いていますね*1

 イさんは13日、自分のフェイスブックに「女性人権活動家イ・ヨンス」としての立場文を掲載し、現在起きている様々な議論と今後の願いについて意見を述べた。イさんは文の冒頭で加害国である日本に対し、犯罪の認定と謝罪、真相究明と法的賠償金、再発防止のための制度的装置づくりなどを求めると共に、「これを通じて被害者の名誉と人権回復が実現しなければならない」と強調した。これまで自分をはじめ挺身隊問題対策協議会(挺対協)、正義連などが堅持してきた立場を再確認したわけだ。イさんはまた、最近メディアを中心に、共に市民党のユン・ミヒャン比例代表当選者と正義連の活動方式をめぐり様々な疑惑が持ちあがっていることについて、「既成メディアの根拠のない憶測と非難、対立助長」だと指摘した。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/36620.html

「既成メディアの根拠のない憶測と非難、対立助長」というくだりもFacebookのなかで「기성 언론에서 제기하고 있는 근거없는 억측과 비난, 편가르기 」と述べられている内容ですね。

中央日報は5月13日に李容洙氏にインタビューしており、そこではこんなことも言っています。

--今の率直な心境は。

「私は長生きしすぎたのではないかと、そういう気がしながらも、金学順(キム・ハクスン、※91年に慰安婦被害事実を最初に公開証言した被害女性。97年に亡くなった)が始めたが、李容洙が終えなければなければならないと決心すると心が軽くなった」

--金学順さんが始めたことを李さんが終えるということはどういう意味なのか。

「運動を終わらせようというのではない。安倍(晋三)首相の悪行を見ても日本に免罪符を与えることはできない。安倍首相はいつも嘘をつく。独島(ドクト)はまたなぜ竹島(日本が独島領有権ごり押し主張をして付けた名称)と言うのか。ただし運動する方法を変えなければならないということだ。それでこそ私たち次世代が日本に対して堂々と声を出すことができる。またそのようにしてこそ先に空に昇ったおばあさんに堂々と『私のやるべきことは終えた』と話せる」

https://s.japanese.joins.com/JArticle/265909

これらの李容洙氏の発言を踏まえずに、李容洙氏の5月7日の記者会見のみをもって慰安婦問題を貶めるような記事を書く連中は全て歴史修正主義者と断じて構わないでしょうね*2

さて、5月25日に李容洙氏は改めて記者会見を開くようですので*3、そこでの発言が注目されるところです。




李容洙氏の立場文(2020/5/12)

<5월 7일 기자회견 이후 관련 논란에 대한 입장문>
저 이용수는 지난 5월 7일 기자회견 이후 우리 대한민국 사회에서 이뤄지고 있는 논란과 관련하여 몇가지 입장을 밝히고자 합니다.
먼저, 제가 겪은, 또 일본의 만행을 똑같이 온 몸으로 겪어왔던 할머니들의 아픔이 반복되지 않는 사회를 만들기 위하여, 가해국인 일본의 공식적인 범죄인정과 사죄, 당시 진상규명과 그에 따른 법적 배상, 당시 책임자에 대한 공식적인 처벌과 향후 재발을 막기 위한 법적 제도적 장치가 마련되어 저를 비롯한 피해자들의 명예와 인권회복이 이루어져야 함을 밝힙니다.
저는 지난 30년간 이 문제 해결을 위하여 정신대문제대책협의회(정대협)와 그 이후 정의기억연대와 더불어 많은 활동을 함께 하여 왔습니다. 그간 활동을 통해 위안부 피해자 문제를 국내뿐 아니라, 전 세계적으로 주의를 환기하고 전 인류가 다시는 이러한 행위가 있어서는 안되겠다는 공감과 참여와 행동을 이끌어 낸 성과에 대한 폄훼와 소모적인 논쟁은 지양되어야 한다는 전제에서 몇 가지 말씀드리고자 합니다.
첫째, 이러한 문제해결 과정은 가해국의 책임과는 별도로 직접 당사자인 한일 국민들 간 건전한 교류 관계 구축을 위한 미래 역사를 준비하는 관점이 필요합니다. 이러한 점에서 양국 학생들에 대한 교육이 중요하다 생각합니다. 한일 양국의 미래 관계를 구축해 나갈 학생들 간 교류와 공동행동 등 활동이 좀 더 확대되기를 바랍니다. 이러한 과정을 통해 인권과 평화의 가치가 좀 더 널리 퍼질 수 있기를 기대합니다.
둘째, 지난 30여년간 진실을 밝히기 위한 투쟁 과정에서 나타났던 사업 방식의 오류나 잘못을 극복하기 위한 과정이 필요하다 생각합니다. 이것이 누군가를 비난하는 과정이 아니라 현 시대에 맞는 사업방식과 책임 있는 집행 과정, 그리고 투명한 공개를 통해 국민 누구나 공감하는 과정을 만들어가야 합니다. 새로운 사업이 아닌 필요한 사업들을 집중하여 추진하고, 그 성과들을 정리하여 누구나 과정을 쉽게 이해하고 공감할 수 있도록 해야 한다 생각합니다.
셋째, 지난 2015년 박근혜 정부 당시 한일 간 졸속 합의와 관련하여 정부의 대민 의견 수렴과정과 그 내용, 그리고 정대협 관계자들의 정부 관계자 면담 시 대화 내용 등 관련한 내용이 조속히 공개되어 우리 사회의 신뢰가 회복되어야 합니다. 기성 언론에서 제기하고 있는 근거없는 억측과 비난, 편가르기 등이 우리를 위해 기여할 것은 아무것도 없습니다. 오직 우리 국민들의 믿음을 바탕으로 합의 과정 전반을 공개하고 국민들의 평가에 기반하여 문제를 해결해 나가야 한다 생각합니다.
그간 우리의 활동은 많은 이들의 공감에 바탕하여 조금씩 조금씩 앞으로 나아왔습니다.
아픔은 또다른 아픔으로 치유되는 것이 아니라, 감싸고 보듬어주는 마음에서 치유된다 생각합니다.
그간 국민들께 많은 도움과 치유를 받아왔습니다.
자랑스런 국민들과 함께 만들어온 성과를 디딤돌 삼아 우리 사회 공통의 가치인 인권과 평화, 화해와 용서, 연대와 화합을 이루어갈 수 있기를 희망합니다.
저 이용수는 그러한 가치를 세워나가는 길에 남은 여생, 미력이나마 함께 할 것임을 말씀드리며 많은 분들의 공감과 손잡음을 기대하는 바입니다.

감사합니다.

2020년 5월 12일
여성인권운동가 이 용 수

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1134254890267971
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?art_id=202005131115001

*1:ただし、同記事後半で言及されているチェ・ボンテ弁護士(大韓弁護士協会、日帝被害者人権特別委員長)の発言「2015年合意以降、政府が慰安婦問題を事実上放置しているのも、イさんの怒りの原因」というくだりについては、中央日報によるインタビューで「チェ・ポンテ(弁護士)は(7日)記者会見以降は会ってもない。その人がメディアのインタビューで、私が政府の無責任な態度のせいで記者会見を開いたというが、それもその人の意見にすぎない」と否定的な回答をしています。

*2:特にこいつらとか。

*3:[단독]이용수 할머니·윤미향 당선인 회동…이 할머니 25일 기자회견 - 경향신문

安倍政権下第198回国会及び第200回国会での強行採決数

2019年1月~6月の通常国会(198回)と同年10月~12月の臨時国会(200回)における政府提出法案での強行採決について簡単に調べました。
ちなみに間の第199回国会は5日間のみの臨時国会で成立した法案は無かったため省略です。

強行採決の定義

以前検討した内容を踏まえて、衆議院参議院とも本会議のみを対象とし、本会議における野党会派の半数以上が反対・欠席した場合を強行採決と定義します。なお、参議院での各派に属さない議員は会派とみなさず除外します。また、会派内で賛否分かれた時は、賛成・反対のいずれにも加算しません。会派内の一部が欠席した場合は出席議員の賛否のみを参照します。会派全員が欠席した場合は、会派の欠席とみなし反対会派としてカウントします。衆議院での賛成会派、反対会派のいずれでも無い場合は会派欠席とみなし反対会派としてカウントします。

第198回国会(通常):2019年1月28日~2019年6月26日(150日間)

この国会で提出された政府提出法案数は57本、前国会からの継続法案は1本で、合計58本が政府提出法案です。
このうち、この国会で成立したのは55本(94.8%)、継続審議となったのが2本、審議未了が1本です。

衆議院本会議での強行採決
会期 提出番号 法案名 議決日 反対会派数/野党会派数
198 3 所得税法等の一部を改正する法律案 2019/03/02 8/8
198 4 地方税法等の一部を改正する法律案 2019/03/02 8/8
198 5 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案 2019/03/02 8/8
198 7 地方交付税法等の一部を改正する法律案 2019/03/02 6/8
198 13 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案 2019/03/12 4/8
198 14 防衛省設置法等の一部を改正する法律案 2019/04/11 5/8
198 16 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案 2019/04/23 4/8
198 23 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案 2019/04/23 5/8
198 31 国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案 2019/05/21 4/8
198 45 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案 2019/05/10 8/8

8つの野党会派中4つ以上が反対した法案は上記10本。そのうち野党会派中5つ以上が反対した法案は7本。野党会派中6つ以上が反対した法案は5本。全ての野党会派が反対したのが4本。
採決された法案55本(全て可決)のうち、立憲民主党*1が賛成したのは41本(74.5%)、国民民主党*2が賛成したのは45本(81.8%)、共産党*3が賛成したのは27本(49.1%)、維新*4が賛成したのは47本(85.5%)、社会保障を立て直す国民会議が賛成したのも47本(85.5%)、社民*5が賛成したのは34本(61.8%)、希望の党が賛成したのは50本(90.9%)、未来日本が賛成したのも50本(90.9%)でした。

参議院本会議での強行採決(2020/5/21訂正)
会期 提出番号 法案名 議決日 反対会派数/野党会派数
198 3 所得税法等の一部を改正する法律案 2019/03/27 5/6
198 4 地方税法等の一部を改正する法律案 2019/03/27 5/6
198 5 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案 2019/03/27 5/6
198 7 地方交付税法等の一部を改正する法律案 2019/03/27 4/6
198 13 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案 2019/03/27 4/6
198 14 防衛省設置法等の一部を改正する法律案 2019/04/24 3/6
198 15 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案 2019/05/10 3/6
198 16 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案 2019/05/17 4/6
198 19 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案 2019/04/19 3/6
198 21 大学等における修学の支援に関する法律案 2019/05/10 3/6
198 22 学校教育法等の一部を改正する法律案 2019/05/17 3/6
198 23 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案 2019/05/17 4/6
198 31 国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案 2019/06/05 3/6
198 34 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律等の一部を改正する法律案 2019/05/17 3/6
198 37 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案 2019/05/31 3/6
198 45 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案 2019/06/19 5/6

6つの野党会派中3つ以上が反対した法案は上記16本。そのうち野党会派中4つ以上が反対した法案は9本。野党会派中5つ以上が反対した法案は4本。
採決された法案55本(全て可決)のうち、立憲民主党*6が賛成したのは41本(74.5%)、国民民主党*7が賛成したのは43本(78.2%)、共産党*8が賛成したのは26本(47.3%)、維新*9が賛成したのは48本(87.3%)、無所属クラブが賛成したのは55本全て(100%)、沖縄の風が賛成したのは33本(60.0%)でした。

強行採決数(2020/5/21訂正)

定義通り、野党会派の半数以上が反対・欠席した場合を強行採決とすると、第198回国会での政府提出法案の強行採決数は26本。衆参での重複を除く法案数では16本となります。
衆参両院で可決され成立した法案55本中、強行採決の割合は 29.1% になります。


第200回国会(臨時):2019年10月4日~2019年12月9日(67日間)

この国会で提出された政府提出法案数は15本、前国会からの継続法案は2本で、合計17本が政府提出法案です。
このうち、この国会で成立したのは16本(94.1%)、継続審議となったのが1本です。

衆議院本会議での強行採決
会期 提出番号 法案名 議決日 反対会派数/野党会派数
200 2 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案 2019/11/07 2/4
200 14 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案 2019/11/19 2/4

4つの野党会派中2つ以上が反対した法案は上記2本。
採決された法案17本(全て可決)のうち、立憲民主党・国民民主党*10が賛成したのは16本(94.1%)、共産党*11が賛成したのは6本(35.3%)、維新*12が賛成したのは12本(70.6%)、希望の党が賛成したのは17本全て(100%)でした。

参議院本会議での強行採決
会期 提出番号 法案名 議決日 反対会派数/野党会派数
200 14 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案 2019/12/04 5/7

7つの野党会派中4つ以上が反対した法案は上記1本。
採決された法案16本(全て可決・衆議院で可決したが参議院で継続審議となった1本は除く)のうち、立憲民主党・国民民主党*13が賛成したのは15本(93.8%)、共産党*14が賛成したのは6本(37.5%)、維新*15が賛成したのは11本(68.8%)、沖縄の風が賛成したのは12本(75.0%)、れいわ新選組が賛成したのは5本(31.3%)、碧水会が賛成したのは15本(93.8%)、みんなの党が賛成したのは16本全て(100%)でした。

強行採決

定義通り、野党会派の半数以上が反対・欠席した場合を強行採決とすると、第200回国会での政府提出法案の強行採決数は3本。衆参での重複を除く法案数では2本となります。
衆参両院で可決され成立した法案16本中、強行採決の割合は 12.5% になります。

考察と限界

現実問題としてすべての法案審議状況を網羅して強行採決か否かを判定していくのは困難ですので、国会のサイトから得られる会派別の賛否状況から会派単位で機械的に判定する手法をとっています。この手法で、戦争法、共謀罪法、特定秘密保護法などの審議状況を判定すると強行採決と判定されますので、それなりの精度はあると思います。
ただし、野党再編の動きに合わせて会派数が増減するため、第200回国会の衆議院のように野党が4会派しかいない場合は2会派の反対のみで強行採決と判定され、逆に第198回国会の衆議院のように野党が8会派ある場合は3会派が反対しても強行採決と判定されない可能性があり、実態と乖離する恐れがあります。
また、政府提出法案の全てに賛成している会派を判定にあたって野党会派とみなすべきかについては検討が必要かも知れません。
強行採決か否かの判定を野党会派の動向のみで判定しているため、賛否議席数や審議日数などが考慮されておらず、これも実態と乖離する可能性が否定できません。
さらに、委員会採決を省略するなど特異な運用がされた場合についても考慮できない点、会派内で造反があった場合に賛否分裂として賛否会派数に正確にカウントできない可能性もあります(例えば198回国会参議院の採決で国民民主党・新緑風会27名中25名賛成、1名反対の状況がありますが、この会派としては賛成とみなすべきかもしれません。同様のことはこの採決での立憲民主党・民友会・希望の会28名でも起こっており、反対27名に対して賛成1名となっていますが、これは反対としてカウントしていません。))。
今回の強行採決数のカウントは国会で審議された法案数をベースにしており、一つの法案で複数の既存法を改正させる束ね法案については考慮しておらず、影響範囲の大きさを踏まえることができません。
以上の限界はあるものの、国会のサイトから得られる情報を元に機械的に判定する手法は恣意的な判断の入る余地がなく、有用であろうと思います。
今後の課題としては、民主党政権時の採決についても同じ手法で判定してみる必要があるということが考えられます。




*1:立憲民主党・無所属フォーラム

*2:国民民主党・無所属クラブ

*3:日本共産党

*4:日本維新の会

*5:社会民主党市民連合

*6:立憲民主党・民友会・希望の会

*7:国民民主党・新緑風会

*8:日本共産党

*9:日本維新の会希望の党

*10:立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム

*11:日本共産党

*12:日本維新の会

*13:立憲・国民・新緑風会・社民

*14:日本共産党

*15:日本維新の会