アメリカ連邦最高裁判決を基に日本国憲法18条が徴兵制を明確には違反しないと解釈するのは無理があると思う。

伊藤建弁護士がそう主張しているわけではなさそうですし、実際に内閣法制局がどう考えているのはわかりませんし、こういう解釈もあろうというのもわかりますが。

最高裁は「意に反する苦役ではない」

 しかし、実際には、徴兵制が憲法18条に違反すると政府が考えているかは微妙なところです。1970年に行われた答弁では、当時の内閣法制局長官は、『(憲法)18条に当たるか当たらないかというのは、私どもから言いますと確かに疑問なんです』と明確に述べています。どういうことなのでしょうか。憲法問題に詳しい伊藤建(たける)弁護士は、次のように話します。
内閣法制局が、安倍総理のように『徴兵制は憲法18条に明確に違反する』と言わない理由は、とあるアメリカ連邦最高裁の判決にあります。アメリカ合衆国憲法修正13条は、日本国憲法18条とほぼ同じ文言なのですが、アメリカ連邦最高裁は、徴兵制は『意に反する苦役』にあたらない、と判断しているのです。修正13条は、南北戦争直後である1865年に奴隷制を廃止する目的で追加されたのだから、『意に反する苦役』とは奴隷制度に類似するものを意味し、徴兵制度はこれに当たらないというロジックです」
 このアメリカの解釈を参考にすると、憲法18条だけでは徴兵制が憲法に違反するという確信を持てないからこそ、1980年の政府答弁書では「個人の尊重」などを規定した憲法13条もあえて挙げていると考えられます。安倍首相は、この点について明確な説明はしていません。
「1980年の政府答弁書は、徴兵制は憲法13条や18条などの規定の『趣旨』に反すると述べるにすぎず、どこにも『憲法18条に明確に違反する』とは書いていません。つまり、明確に憲法違反であるとは言えないけれども、憲法13条や18条などの条文を一緒に読んで、その背後原理を推理すると、ようやく『徴兵制は憲法違反だ』といえるというわけです。そのため、『徴兵制は憲法上許されない』という政府見解は、砂上の楼閣にすぎず、いつかは解釈改憲により変更されてしまうという危険をはらんでいます」(伊藤弁護士)

http://thepage.jp/detail/20150808-00000003-wordleaf

伊藤弁護士の説明による内閣法制局の理解ですが、要するに以下のロジックです。
1)アメリカ連邦最高裁判決が修正13条が徴兵制は『意に反する苦役』にあたらない、と判断
2)アメリカ憲法修正13条は、日本国憲法18条とほぼ同じ内容
3)日本国憲法18条は、徴兵制を禁止してるとは言えない

ただ、この解釈はかなり無理があると思います。そう考える理由を列挙しておきます。

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