オリンピック招致をきっかけに人権が後退する国・日本

政府、共謀罪創設を検討 組織犯罪処罰法改正で

 政府は10日、殺人など重要犯罪で実行行為がなくても謀議に加われば処罰対象となる「共謀罪」創設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を来年の通常国会に提出する方向で検討に入った。政府関係者が明らかにした。
 共謀罪が広く適用されれば、国による監視が強化される恐れがある。機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法に続く国権強化の動きといえる。秘密法成立で言論・情報統制が強まる不安が広がっているだけに、論議を呼ぶのは確実だ。
 政府は、2020年の東京五輪開催に向けてテロ対策の必要性が高まったと判断している。
2013/12/11 0:45

http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013121001003057.html

安倍政権は共謀罪にも手をつけるようです。まあ、これに喜ぶバカな軍ヲタもいるのでしょうが、そういうバカはほっといて。

共  謀  罪
―5つの質問―
2003年12月
自由法曹団
警察問題委員会
 法案による共謀罪は、死刑または無期もしくは長期4年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている「罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行なわれるものの遂行を共謀した者」を処罰するものです(法案第6条の2)。長期4年以上の刑を定める犯罪についての共謀は懲役2年以下、死刑または無期もしくは長期10年を超える刑を定める犯罪についての共謀は懲役5年以下の刑が定められています。

http://www.jlaf.jp/iken/2004/iken_20040115_02.html

10年前と同じような法案であれば、死刑または無期もしくは長期4年以上の懲役もしくは禁錮の刑に対して自動的に共謀罪が付加されることになりますね。ちなみに先ごろ成立した安倍秘密隠蔽法でも共謀罪の規定があります。

(via http://blogos.com/news/Secret_Protection_Law/
第七章 罰則
第二十二条 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。
2 第四条第三項後段、第九条又は第十条の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。同条第一項第一号ロに規定する場合において提示された特定秘密について、当該特定秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
4 過失により第一項の罪を犯した者は、二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
5 過失により第二項の罪を犯した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
第二十三条 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前二項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。
第二十四条 第二十二条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽せん動した者は、五年以下の懲役に処する。
2 第二十二条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。
第二十五条 第二十二条第三項若しくは第二十三条第二項の罪を犯した者又は前条の罪を犯した者のうち第二十二条第一項若しくは第二項若しくは第二十三条第一項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
第二十六条 第二十二条の罪は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。
2 第二十三条及び第二十四条の罪は、刑法第二条の例に従う。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/185/pdf/t031850091850.pdf

秘密隠蔽法(安倍法、あるいは特定秘密保護法)の罰則

まず、第22条1項で公務員が特定秘密を漏らした場合に10年以下の懲役に処されます。第22条2項では、特定秘密を提供された者(裁判官含む)が特定秘密を漏らした場合に懲役5年に処されます。これらについては未遂であっても罰せられます(第22条3項)が、どの時点で未遂となるのかは不透明ですね。過失の場合は、それぞれ懲役2年(公務員の場合)、懲役1年(提供された者の場合)となります。
次に、第23条1項で、許可なく特定秘密を意図的に取得した者は懲役10年を食らいます。手段として欺き、暴行、脅迫、窃取、侵入、傍受、不正アクセス、特定秘密管理者の管理を害する行為とされていますが、許可なく特定秘密を取得する行為は全て「管理を害する行為」ですから、事実上手段は関係ありません。この罰則の対象は一切限定されていませんので、公務員だけでなく、新聞記者や一般人でも適用されます。そして、これも未遂で罰せられます(第23条2項)が、どの時点で未遂になるかは全く不透明です。さらに第23条3項の規定により、特定秘密取得に用いた手段に対する既存の刑罰も適用され併合されます。

例えば、特定秘密管理者の手から特定秘密の書類を奪い取り、その際管理者が転んで擦り傷を負った場合、秘密隠蔽法第23条1項により懲役10年の他に暴行によって傷害を負わせたことにより懲役15年(刑法204条)が併合され、結果として懲役22年6ヶ月が科されますね(刑法47条)。

さて、第24条と第25条が共謀罪の規定です。公務員や一般人が特定秘密を漏らそうとあるいは許可なく取得しようとして共謀した場合あるいは漏らすべきだと唆した場合は第24条1項により懲役5年に処されます。特定秘密の提供を受けた者が特定秘密を漏らそうと共謀した場合あるいは漏らすべきだと唆した場合は懲役3年に処されます。いずれも公務員であろうと一般人であろうと同じく処罰対象となります。

例えば、安倍首相が天皇暗殺を特定秘密として計画し、それを知った公務員が事の重大さからリークすべきかどうか同僚に相談した時点で共謀罪が成立します。

第25条は、共謀を密告すれば免除するという密告奨励の規定です。
第26条1項は、公務員、元公務員に対して国外であっても特定秘密を漏らせば罰するという規定です。これはさすがに公務員だけに適用かと思いきや第26条2項で第23条・第24条が刑法第2条に従うとされています。刑法第2条は以下の通りです。

第二条  この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。
一  削除
二  第七十七条から第七十九条まで(内乱、予備及び陰謀、内乱等幇助)の罪
三  第八十一条(外患誘致)、第八十二条(外患援助)、第八十七条(未遂罪)及び第八十八条(予備及び陰謀)の罪
四  第百四十八条(通貨偽造及び行使等)の罪及びその未遂罪
五  第百五十四条(詔書偽造等)、第百五十五条(公文書偽造等)、第百五十七条(公正証書原本不実記載等)、第百五十八条(偽造公文書行使等)及び公務所又は公務員によって作られるべき電磁的記録に係る第百六十一条の二(電磁的記録不正作出及び供用)の罪
六  第百六十二条(有価証券偽造等)及び第百六十三条(偽造有価証券行使等)の罪
七  第百六十三条の二から第百六十三条の五まで(支払用カード電磁的記録不正作出等、不正電磁的記録カード所持、支払用カード電磁的記録不正作出準備、未遂罪)の罪
八  第百六十四条から第百六十六条まで(御璽偽造及び不正使用等、公印偽造及び不正使用等、公記号偽造及び不正使用等)の罪並びに第百六十四条第二項、第百六十五条第二項及び第百六十六条第二項の罪の未遂罪

要するに公務員であろうがなかろうが、国内であろうが国外であろうが罰すると言う内容です。

「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」

何をもって管理を害する行為というのか極めて不明瞭ですが、例えば秘密隠蔽法第9条により外国政府に提供された特定秘密が、日本国内で特定秘密のままであるにもかかわらず外国政府によって公開され日本人がその公文書を取得した場合でも、「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」に該当するかも知れません。沖縄密約のように米国公文書館で公開された資料を日本に持ち帰った途端、逮捕されるというのも条文上はあり得る話です。
それどころか、その目的で渡航しようとしただけで未遂で逮捕されるかも知れませんし、アメリカでは公開されているみたいだから調べに行ってはどうかと助言するだけでも共謀罪が成立しえます。

とまあ、条文を見ながら改めて書いてみると無茶苦茶な法律であることがわかりますね。


今見たら、通常国会では提出しないようですね。

共謀罪」関連法案 通常国会提出せず
12月11日 21時16分菅官房長官は、午後の記者会見で、テロなどの重大な組織犯罪の計画の謀議に加わった場合に処罰の対象となる、「共謀罪」を新設するための関連法案について、来年の通常国会に提出する考えのないことを明らかにしました。

共謀罪」は、テロなどの重大な組織犯罪について、実行していなくても、犯行の計画の謀議に加わった場合に処罰の対象とするものです。
政府は平成12年、テロなどの組織犯罪を防ぐための国連の「国際組織犯罪防止条約」に署名し、条約の批准に必要な国内法の整備として、「共謀罪」を新設するための関連法案を、平成15年以降、国会に3回、提出しましたが、いずれも廃案になっています。
これについて菅官房長官は午後の記者会見で、「『何も検討していない』と申し上げている。国会に提出する予定はない」と述べ、来年の通常国会に法案を提出する考えのないことを明らかにしました。
一方、政府筋は、「特定秘密保護法に対する反発を考えると、来年の通常国会への提出はなかなか難しいだろう。ただ、東京オリンピックも控えているので、提出の検討は続けなければならない」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131211/t10013761631000.html

でも、秘密隠蔽法に既に共謀罪規定がありますから、安倍政権としては国民を食い殺す時期を多少先延ばししただけでしょう。どうせ既に国民の手足は奪ってありますから急ぐ必要もありません。