北朝鮮問題が争点だというなら、米朝戦争勃発時に自衛隊を参戦させるのかどうかをはっきりさせてほしい

防衛大臣がこんなことを言いまして。

米が来月、北に厳しい対応も~小野寺防衛相

10/10(火) 14:46配信
 核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応をめぐり、小野寺防衛相は10日、アメリカのトランプ大統領が来月中旬に圧力の効果を見極めた上で、「厳しい対応を取る可能性がある」と述べた。
 小野寺防衛相「11月の中旬には、おそらくトランプ大統領として(北朝鮮への)圧力の効果が、外交努力の効果がどの程度になるのかという判断をされると思います。それでも北朝鮮に変化がなければ、厳しい対応をアメリカが取る可能性もある」
 小野寺防衛相はまた、「トランプ大統領の発言をみれば、全ての選択肢がテーブルにある」と述べ、北朝鮮に対して軍事力を行使する可能性もあるとの認識を示した。その上で「どの選択肢が取られたとしても国民の生命・財産を守る態勢をとる」と強調した。

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20171010-00000036-nnn-pol

よく読むと具体的なことは何一つ言ってませんね。11月にトランプ大統領が「外交努力の効果がどの程度になるのかという判断をされる」とか、その程度の判断をなぜ11月まで待ってるのかというのもよくわかりませんし、「それでも北朝鮮に変化がなければ、厳しい対応をアメリカが取る可能性もある」とかも、「可能性」なら、今だってあるでしょう。
「小野寺防衛相はまた、「トランプ大統領の発言をみれば、全ての選択肢がテーブルにある」と述べ」というのもトランプ発言を繰り返してるに過ぎません。

具体的な情報も新しい情報も何一つありませんが、こういう発言を衆院選公示日というこの時期にやるのが重要なんでしょうね、国内政治的に。日本政府の防衛大臣としての発言というより選挙戦に突入する自由民主党の議員としての発言と見るのが一番適切な気がします。

それはともかく、「「どの選択肢が取られたとしても国民の生命・財産を守る態勢をとる」と強調した」という点について。

米朝戦争が勃発した場合、「国民の生命・財産を守る態勢をとる」程度のことは、別に共産党でも社民党でも立憲民主党でも言える話で、これでは選挙の争点とはみなせません。
北朝鮮問題が選挙の争点だというのなら、具体的にどのように「国民の生命・財産を守る態勢をとる」を明確にするべきでしょう。

例えば、安保法制と称する戦争法を強行採決した自民党公明党やそれに賛同している維新や希望の党は、米朝戦争勃発時には米国を守るために日本も参戦し自衛隊を派兵するという方針なのか、その辺をはっきりさせてほしいものです。

共同通信による衆院選立候補者に対するアンケートによれば、「北朝鮮に日米両政府が圧力を強めても、平和的解決が最終的に困難な場合」の米軍による北朝鮮侵攻に賛同したのは、自民39.6%、公明3.6%、希望21.3%、維新77.5%といった感じです。
米軍が北朝鮮を攻撃した場合、当然、北朝鮮による反撃があり得るわけですが、その反撃を受けうる米軍を守るために、憲法違反の閣議決定と戦争法で容認された集団的自衛権を行使するのか否か。
これは重大な争点ですが、自民党はなぜその辺を明確にしないのでしょうか。

堂々と、“米朝戦争が勃発した場合は、安倍政権は参戦し自衛隊を派兵するつもりである”と主張して、国民の信を問うべきだと思うんですけどね。当然、日本参戦・自衛隊派兵した場合は、北朝鮮は日本に対して反撃を加える可能性がありますが、そのリスクは許容するということも明確にすべきですよね。最悪の場合は核攻撃を受けて、20万~94万人の死者を出すリスクもある*1が、そのリスクは毅然として受け入れるとも有権者に説明してほしいところです。


ちなみに、戦争法を違憲だとして廃止すべきと主張している共産党などは当然、米朝戦争が勃発しても集団的自衛権の行使を認めない立場ですから参戦も自衛隊派兵もあり得ず、外交的解決を目指すことになりますね。