春暁(白樺)ガス田は日中共同開発の合意なんかしていない

安倍政権が憲法違反の戦争法案を衆院強行採決しましたが、支持率の低下傾向を回避する為か、反中世論を煽るメディア工作を行なっています。
「中国の脅威」に対する過剰演出で危機を煽り、戦争法案への賛同者を増やそうと意図しているのでしょう。
このタイミングで、東シナ海ガス田開発を槍玉に挙げましたのはわかりやすい動きです。

政府、中国による新たなガス田開発の証拠資料を公開 フジテレビ系(FNN) 7月22日(水)20時2分配信

もともと日本が境界と主張する日中中間線の中国側でのガス田開発ですから、中国が日本から抗議を受けるいわれは全くないんですけどね。

ところでこれらの報道に際して、「2008年に、日本と中国で共同開発することで合意した」云々と語られていますが、これは今回安倍政権がプロパガンダとして公表したガス田とは関係ありません。
外務省サイトには、共同開発区域について以下のような範囲が明示されています。

1.以下の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる区域を双方の共同開発区域とする。
(1)北緯29度31分東経125度53分30秒
(2)北緯29度49分東経125度53分30秒
(3)北緯30度04分東経126度03分45秒
(4)北緯30度00分東経126度10分23秒
(5)北緯30度00分東経126度20分00秒
(6)北緯29度55分東経126度26分00秒
(7)北緯29度31分東経126度26分00秒

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/higashi_shina/press.html


図示するとわかりやすいですが、今回公表しているガス田と2008年の共同開発区域は全く重なりませんし、距離的にも結構離れています(共同開発区域の正確な範囲の図示は末尾)。

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日本政府は中国に対してどんな要求をしているのか −東シナ海ガス田問題における日本政府のヤクザ論法−

東シナ海において日本と中国は尖閣諸島(釣魚列島)の領有権を争っていますが、それとは別に東シナ海の日中境界についても争っています。
中国側は大陸棚の延長として沖縄トラフまでを中国側と主張していますが、日本側は日中の200海里が重複する部分の中間線までを日本側と主張しています。いずれの主張も海洋法条約に反するものではありません(中国側の大陸棚自然延長の主張は、海洋法条約第6部(第76〜85条)に沿ったもの。)。

したがって、日本側が主張する日中中間線と中国側が主張する沖縄トラフに囲まれた部分が、日中間の係争領域となります。

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