面子対面を重視するのは日本も同様

こういうブコメ

dissonance_83 主義主張 国際 言うべき事は言うべきだが、中国ってのはそもそも面子体面を何より重視する国民性ってのは広く知られている訳で、名を捨てて実を取るくらいの狡猾さも日本にあっていいと思う。「双方」ともに強行策だけでは不毛。 2013/11/07

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20131106/1383737581

「中国ってのはそもそも面子体面を何より重視する国民性」ってステレオタイプに囚われている人は多いですね。“日本は恥の文化”などというのもありますが、これとほぼ同じなんですけどね。
もちろん、日本国内でも関東人・関西人で違いがあると言われ、関西人でも京都と大阪は違うと言われ、京都でも洛中と洛外では云々と地域的な違いというのはあるものですが、こういうのは中国でも北京と上海の違いなどいくらでもあります。飲みの席で郷土自慢でもするのならそういう話題もありでしょうが、政治・外交を考える時に本質的な「国民性」などを持ち出すと往々にして判断を誤ります。
例えば、1935年に中国で開始された幣制改革に関して日本では“中国人は銀を大事に抱え込む国民性を持っているから幣制改革は上手くいかない”という判断が主流でしたが、結果は幣制改革が軌道に乗り日本の対中政策が頓挫したという事例があります。国民性に対する誤算だけが要因ではありませんが、対中外交を失敗させた原因の一つではありました。

さて、国家・政府が面子対面を重視するということを考えると、それは別に中国だけに限ったことではなく、ほとんど全ての国がそうだと言えます。もちろん日本も例外ではありません。例えば沖縄密約問題について日本政府としては未だに認めていません*1
また一方で「名を捨てて実を取る」対応も多くの国で行われており、中国も例外ではありません。

中国は陸上国境での領土問題を次々と解決していますが、これは中国政府が「面子体面を何より重視する」ような外交的硬直性に囚われておらず「名を捨てて実を取る」対応を臨機に行っていることを示しています。領土問題の解決実績で見る限り、戦後ただの一件も領土問題を解決出来ない日本より、ロシア・ベトナムなどとの領土問題を解決してきた中国の方がよほど外交的に柔軟で実利的であったとさえ言えます。
「中国ってのはそもそも面子体面を何より重視する国民性」などというステレオタイプから抜け出せない人には理解できないでしょうけど。