「「テロとの戦い」を口実とした武力の使用を慎むべきであり、各国内における表現の自由をはじめとする権利の制限を正当化してはならない」

以下、もっともな意見です。
日本のメディアは既に萎縮していて表現の自由に対する安倍政権の抑圧に対抗する力として期待できませんので、少しでもこういう意見を紹介しておこうと思います。

アムネスティ日本

日本:戦争犯罪である人質処刑を強く非難する

2015年2月 2日[日本支部声明]
 「イスラム国」は、1月24日に人質となっていた湯川遥菜さんを殺害したと見られる画像をインターネット上で公開したことに続き、2月1日、ジャーナリストの後藤健二さんの遺体の映像を公開した。
 アムネスティ・インターナショナル日本は、イスラム国による民間人の誘拐および即決処刑を強く非難するとともに、殺害された湯川遥菜さん、後藤健二さんのご家族に深い哀悼の意を表する。そして、現在も拘束されている民間人を無条件かつ即時に釈放するよう、「イスラム国」に求める。また、ヨルダン人空軍パイロットを含む捕虜の身の安全を保障するよう、呼びかける。
 紛争当事者である「イスラム国」による民間人の誘拐、拷問、即決処刑は戦争犯罪であり、言語道断である。さらに、処刑した遺体の映像をインターネット上で公開することは、被害者のご家族に言い知れぬ苦しみを与えるものであり、このような行為に対しても強く抗議する。
 「イスラム国」はその軍事的勢力をシリア及びイラクで拡大する中、欧米のジャーナリスト、人道支援活動家、また数千人にのぼる地元住民を誘拐し、拷問にかけ、処刑している。多くの女性、とりわけ非アラブ系、スンニ派以外のイスラム教徒の女性は性奴隷とされ、性的暴力に晒されている。「イスラム国」がどのような大義名分を主張しようが、民間人を標的としたこれらの行為が戦争犯罪であることは疑いようもない。
 アムネスティ日本は、「イスラム国」をはじめとするシリア及びイラクの紛争当事者が、民間人、報道や人道支援に携わる人びとの身の安全を保障するよう、繰り返し強く訴える。そして、「イスラム国」に影響力を持つ国や組織は、人質となっているすべての人びとの解放と民間人の保護のためにあらゆる交渉を行うよう、求める。
 一方、日本政府をはじめ各国政府は、「テロとの戦い」を口実とした武力の使用を慎むべきであり、各国内における表現の自由をはじめとする権利の制限を正当化してはならない。アムネスティは、すべての紛争当事国、また各国政府に対して、人権の保護を基本に置いた姿勢を堅持するよう求める。
アムネスティ日本支部声明
2015年2月2日

http://www.amnesty.or.jp/news/2015/0202_5098.html

国際ペン・日本ペンクラブ共同談話

声明文 国際ペン・日本ペンクラブ共同談話

後藤健二氏の残酷な殺害は世界中の現場にいるジャーナリストや作家が直面している危険を示している」

 国際ペンは、日本のジャーナリスト、後藤健二氏(42)が、「イラクとシリアのイスラム国」(ISIS)と称する反乱グループによって殺害されたことに衝撃を受けている。グループは、経験豊かな戦場ジャーナリストで作家の後藤氏を斬首するビデオを公開した。後藤氏は、ISISに捕えられていた治安コンサルタントの湯川春菜氏の安全と解放を求めて、シリアに向かい2014年10月に捕えられていた。
 ここ数カ月間でも、ISISによってイラクのジャーナリスト、モハナド・アル・アキジ氏、2名の米国ジャーナリスト、ジェームス・フォレイ、ステファン・ソトロフ両氏ら、何人かのジャーナリストが殺害されている。 
 ジョン・ラルストン・サウル国際ペン会長は「後藤健二氏の残酷な殺害は、表現の自由という基本的な権利を実践したばかりに、命の危険にさらされている世界中のジャーナリストや他の人々の、もう一つの悲劇的な記憶となる。悲しいことに後藤氏の殺害は例外的ではなく、ジャーナリスト達が、世界の大部分で表現の自由が抑圧されているなかで活動を続けていることを示している」と語った。
 浅田次郎日本ペンクラブ会長は「日本ペンクラブ後藤健二氏の残虐な殺害を最も厳しい言葉で非難する。私たちは後藤健二氏のご家族に深い同情とお悔みの言葉を送らせていただくとともに、このような難しい状況においても、紛争解決のための平和的対話を求める」と述べた。
 堀武昭国際ペン専務理事(日本ペンクラブ常務理事)は「どのような状況であれ、ジャーナリストの安全は尊重されるべきで、ジャーナリストの活動を危険に陥れるどのような行為も全く許容できないものである。日本ペンは後藤健二氏の殺害に責任のある人々が正義の裁きを直ちにうけるよう求める」と述べた。
 国際ペンは世界に140のセンター(支部)があり、20000人以上の職業作家、ジャーナリストらが所属する国際市民団体です。
(2015年2月3日)
*英語版はロンドンで2日付で発表しました。

http://www.japanpen.or.jp/statement/2014/