徴兵制非合理論者がこういうデマを蔓延させてるのが問題だと思う。

この人が徴兵制非合理論者かどうかは知りませんが、コメント内容はそれを示唆してますのでタイトルのように言っても問題ないでしょう。

入隊というモチベーションが高く、身体に自信のある受験者を5〜10倍程度の倍率で絞った連中でその結果ですから、徴兵制ではどれだけ非効率になることか、考えれば分かりますよね
政治,安全保障,stand_up1973のコメント2015/07/16 07:20

http://b.hatena.ne.jp/entry/259490289/comment/stand_up1973

要するに自衛隊入隊の受験倍率が5〜10倍程度と言っているわけですが、もちろんブコメした記事の内容からすると、兵卒/士としての入隊、つまり自衛官候補生としての受験倍率を指しているということになります。
さて、そうすると、自衛官候補生の受験倍率が5〜10倍程度というのは事実かという問題があります。
防衛白書で確認した限り(2009年のみ未確認)、2000年以降に受験倍率が5倍を超えたのは、2000年(5.8倍)と2010年(9.1倍)と2012年(5.6倍)の3回のみでそれ以外は全て5倍未満です。ですので、stand_up1973氏の発言は基本的にデマと言っていいシロモノです。

これって何回か言及してるんですけど、一度蔓延したデマってなかなか始末できないですから仕方ないですね。
自衛隊は志願者が多いので徴兵制は不要と主張する論者が言及しないこと
低い充足率に合せるように定員を減らすも現員も減ってしまう“いたちごっこ”

一応念のために言っておきますが、受験倍率が5倍を超えた2000年、2010年、2012年は別に応募者が増えたわけではなく、採用者が極端に少なかっただけです。上記期間、採用者数は概ね8000人〜10000人程度で推移しているのですが、2000年と2011年は4500人程度で、2010年に至っては2300人程度しか採用していません。受験倍率が最高の9.1倍を記録した2010年ですが、実際の応募者数は21000人程度で、これは同期間中最も少ない数です。

士(応募者数) 士(採用者数) 倍率
1980 44650 21007 2.13
1990 43805 21799 2.01
1999 30581 5758 5.31
2000 26748 4643 5.76
2001 27901 7173 3.89
2002 33896 9525 3.56
2003 30450 8540 3.57
2004 30567 8345 3.66
2005 30864 10007 3.08
2006 31687 11004 2.88
2007 29976 9775 3.07
2008 27699 8357 3.31
2009
2010 21055 2321 9.07
2011 23158 5180 4.47
2012 23968 4309 5.56
2013 34038 9963 3.42
2014 33534 9188 3.65

というわけで、「身体に自信のある受験者を5〜10倍程度の倍率で絞った」というstand_up1973氏の認識は間違っているとしか言いようがありません。
どうしてこういう人たちって防衛白書を読まないんですかね。

「入隊というモチベーションが高く、身体に自信のある受験者を5〜10倍程度の倍率で絞った連中」

どうも、stand_up1973氏は、志願兵は徴兵よりも優れているので、徴兵なら10年かかる訓練を志願兵なら半年で終えられるとか思っているようです。